松岡直也。ラテンピアノの大御所。そのプレイはロマンチックで劇的、情熱的でリリカル。大ヒットアルバム「午後の水平線」でポピュラーシーンの表舞台に出てきたが、さらに一般的に知られるようになったのは中森明菜の情熱的で妖艶なダンスも印象的なシングルヒット「ミ・アモーレ〔Meu amor e・・・〕」のあたりだろうか。
このアルバムは彼のそんな華やかなりし頃の最後のあたりに位置する。当時の松岡のアルバムの方程式通り、一線のイラストレーター(本作はちょうど「ハートカクテル」でコラボしていたわたせせいぞう)のさわやかな青系のイラストをジャケットに用い、中にはキャッチーで覚えやすく、情熱的なラテンフュージョンが散りばめられている、というもの。ただ、時代背景なのか、制作側の方針か、かなり打ち込みや音の加工が多く、松岡ならではの熱いプレイが少ないのが残念!
「A FIRST FLIGHT」。ギターオリエンテッドな曲。和田アキラの太い音が、少しラテンっぽい悲しげなラインを採る。松岡のピアノのラインをなぞっているようでもあり、PRISMのようでもあり。イントロ最後と、間奏のシメの連続した6連符のキメがテクニカル!
「A MIDNIGHT LAMENT」は明らかにリズムマシン然とした打ち込みのビートに元PRISM
の中村哲のちょっとダーティな音色のサックスが乗り、松岡のエレピがCOOLに絡む。このCOOLさ、マシンとの融合度はCandy Dulfer
っぽいな。ここまで機械とサックスが目立つともはや松岡のアルバムという感じじゃないけど。
「ペリエにレモン」。パッキングは典型的な松岡ラテン。カルロス菅野こと菅野真吾のとるボーカルラインは少しテンションがかかって物悲しげ。ティンバレスの達人ウィリー長崎のプレイがネ申!
全体としてホットなアルバムで、キャッチーな曲も多く、楽しめるんだけど、「A FIRST FLIGHT」なんかは松岡直也というよりはむしろPRISM色が強いような仕上がり。もう少し松岡のプレイを前に出してもらいたかったが...
このあと松岡は少し活動のペースを落として、でも相変わらずラテンピアノの大御所としてコンスタントに活動している。そして今年(2012年)はなんと音楽活動60周年を迎えた。そしてまだまだダンディで洒落っ気のあるキャラクターと情熱的でリリカルな音を届けてくれてる。
これからの季節はナオヤだ!
【収録曲】
1. ワクワク・ソンゴ!
2. A FIRST FLIGHT
3. TANGO RENGUE
4. A MIDNIGHT LAMENT
5. SUN DOWN
6. ペリエにレモン
7. MAMBO ISLAND
8. WATERMELON DANDIES
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2015/02/08
この記事を書いたあと(2014年4月)、直也さんは鬼籍に入られました。
ご冥福をお祈りします。
そしてあちらでも陽気なラテンピアノを響かせてください( ー人ー)
「A FIRST FLIGHT」
(ギター主旋律なので和田アキラの方が目立ってるけど在りし日の直也さん)
松岡直也公式HP
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購入金額
3,200円
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購入日
1986年頃
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購入場所
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