絶対的な性能の低さは当然でしたが、そのほかのPC-9800シリーズの泣き所としては、
・ストレージ系インターフェースの弱さ(原則的にPIO転送のIDEのみ)
・サウンド出力の負荷の高さ
・USBやIEEE1394等の端子が存在しない
などがありました。
一応このCHANPON3-PCI自体はPC/AT互換機に対応する製品でしたが、上記の事情を抱えたPC-9800シリーズのユーザーに対して、特に配慮した製品となっています。このボードは下記の構成となっています。
・Ultra 2 Wide SCSI (Initio INIC-1060Pに加えてバス変換チップ53C141を搭載し、68P端子のみLVD転送対応)
・AC97対応サウンド (C-Media CMI8738-6ch)
・USB 2.0 (NEC μPD7200100)
実際のところはCMI8738の出来はあまり芳しくなく、USB 2.0のCPU占有率の高さも問題になるなど、ボード全体の完成度は今ひとつとしかいいようはありませんでした。それでもINIC-1060Pに53C141を組み合わせたことで、Wideコネクタ側のみLVD転送に対応し、50P側はパラレル転送対応という、SCSIボードとしての使い勝手だけで十分価値のある製品でした。
ちなみに当初提供される予定だったPC-9821ブート対応のSCSI BIOSは玄人志向からは提供されずに終わってしまい、正体不明の同人BIOSが代わりに提供されたことで辛うじてPC-9800でも使えるようになりました。このBIOSはMOからの起動に対応しないなど、機能面での不備はありましたが、それでも存在しないよりは遙かにマシでした。
比較的短時間で開発され、またユーザー側の要望を取り込むことに重点を置いたこともあり、ボードの不良率の高さも問題ではありました。私の手元にもサウンドが不調のボードが1つ残っています。
色々と問題点や課題を残して発売されてしまった製品ではありますが、それでもユーザーの要望を極力取り入れて製品化しようとしてくれた玄人志向の姿勢には好感は持てましたし、我々ユーザーからすれば発売されただけで感謝したい製品だったといえます。
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購入金額
29,800円
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購入日
2001年12月頃
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購入場所
ガトーさん
2012/05/14
数少ない拡張スロットとドータボードを買わないと増設出来ないメモリーに色々と思い出があります(笑)
jive9821さん
2012/05/14
コメント有難うございます。アイ・オー・データのSecondBusなど、拡張性を補う苦肉の策は至る所で見られていましたね。
そもそもPC-9800シリーズにPCIスロットが用意されたこと自体が、CPUにPentium世代を搭載してPCIチップセットを使うようになって以降ですからね。私が今でも持っている本体の多くは1995年以降発表のモデルで、PCIスロットが2本以上あるものですから、比較的現代的な構成というべきなのでしょう。
ちなみに今でも使えるようにセットされているPC-9821Rv20/N20は、もともとPCIスロット3本、Cバススロット4本という拡張性を誇っていた本体でしたが、現在ではCバスは根元から撤去され、その空間に玄人志向 CHANPON ZERO3-PCIで増設されたPCIスロット2本、AGPスロット1本が追加されています。
なお、このCHANPON ZERO3-PCIにつきましては、後日改めて掲載する予定です。