レビューメディア「ジグソー」

心躍る22 nmプロセスルール ~QSV2の効果は如何に?~

《1. 緒言:Ivy Bridge》
Core i第二世代であるSandy Bridgeが世に出てから一年と半年が経つ。
Sandy Bridgeでは、Core i第一世代で登場したTurbo Boost機能やマルチコアのハイパースレッディングなどを引き継ぎながら、メインストリーム製品にはGPUを内蔵したCPUが出現した。
このGPUを活かしたIntel Quick Sync Video、通称QSVと呼ばれる動画変換支援機能により、特に動画編集能力には旧世代CPUに対してはっきりとアドバンテージを示した。
そして四月末には、本製品にも使用され、Corei第三世代に当たるIvy Bridgeが登場した。
何といっても22 nmという新プロセスルールで注目を集め、更に内臓GPUも強化されている。
同時にQSVもアップデートされており、動画変換速度が更に上昇しているなどとにかく話題に事欠かない。
発熱等の問題でSandy Bridgeからの乗り換えを疑問視する意見も散見されるが、現在最も注目されているCPUの一つであることは間違いなく、筆者もその例に漏れない。

ユーザー待望のインテル最新CPU“Ivy Bridge”がついに解禁!(kakaku com Magazine)
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3Dトライゲートトランジスタによる消費電力の低減、駆動倍率がSandy Bridgeから上昇していることなども注目を集める一つの要因となっているだろう。


《2. 実験》
PCの構成は以下の通りである。

 CPU: Intel® CoreTM i7-3770(CPUクーラーは本製品に付属しているものを使用)
 Memory: CFD W3U1600HQ-4G
 M/B: ASRock Z77 Pro3
 HDD: Western Digital WD10EALX
 光学ドライブ: LG BH10NS38BL
 グラフィックカード: ASUS ENGTX560 DC2 OC/2DI/1GD5
 ケース: Thermaltake V3 BlacX Air Flow Edition
 電源: Antec EarthWatts Green 650W
 OS: Windows 7 Professional

一方で、Sandy Bridge


で組んだPCの構成はE3-1290の記事中で詳解しており、このPCとの動画編集能力等の比較を行う。


《3. Sandy Bridgeとの比較》
PCを起動し、CPU-Zで動作状況を確認すると、

 アイドル時: 1.6 GHz
 通常時: 3.4 GHz
 高負荷時: 3.7~3.8 GHz

で動作していた。

CPU-Z
CPU-Z



流石は動作が保障されているCPUとチップの組み合わせで、以前に動作が保障されていないCPUとチップセットの組み合わせ(Xeon E3-1290/Z68)で組んだ際には公証値の4.0 GHzが出ずに随分悩まされた。
この結果を見ると、やはり以前のPCで最高クロックまで達することができなかったのは動作保証の無いCPUとチップセットの組み合わせに原因があったか。


以下の動画のエンコードを行った。

 容量: 946 MB
 長さ: 27:40
 フレーム: 720x480
 データ速度: 9571 kbps
 総ビットレート: 9827 kbps
 フレーム率: 29 fps

この動画の詳細はXeonE3-1290の項に記している。

まず、Windows Live Movie Maker(WLMM)を使用して

 形式: .wmv
 容量: 1200 MB
 長さ: 27:40
 フレーム: 640x480
 データ速度: 7000 kbps
 総ビットレート: 7128 kbps
 フレーム率: 29 fps

という設定(WLMMの推奨設定)でエンコードした結果が以下の通り

 Core i7 3770(本PC)  4 min. 38 sec.
 Xeon E3-1290(旧PC) 3 min. 58 sec.

このスコアに関しては、旧PCに差をつけられてしまった。
この点に関して已む得ないところもあり、WLMMではQSVが機能しないために純粋なクロック数の観点から3770の方が不利であることと、旧PCの方にはSSD


を使用しておりこの点からも新PCの不利は否めない。

一方で、QSVが機能する動画編集ソフト、TMPGEnc Video Mastering Works 5(2.4.68)を用いて

 形式: .mp4
 容量: 2.83 MB
 長さ: 27:40
 フレーム: 720x480
 データ速度: 14535 kbps
 総ビットレート: 14660 kbps
 フレーム率: 29 fps

という設定でエンコードを行った結果が

 Core i7 3770(本PC)  22 min. 30 sec.
 Xeon E3-1290(旧PC) 24 min. 01 sec.

のようになった。

3770に軍配
3770に軍配



こちらではQSVの影響が有ってか、WLMMを使用したときとは結果が逆転している。
その差は一分半だが、 先述の通りCPUのクロック数や起動ドライブが不利な状況下での一分半であるので上出来だろう。
ただし、CPUに負担をかけたときの本PCの温度の上昇振りは半端ではない。
高負荷時には余裕で80℃を超える。
本実験はCPU付属のクーラーを用いたが、静穏クーラーに慣れていると騒音の方にも悩まされる。
CPUクーラーは換装したほうが良さそうである。


《4. 謝辞》
本レビューはIntel株式会社、zigsow株式会社ならびにアプライド株式会社の製品提供の下行われました。
この場を借りて厚く御礼申し上げます。

  • 購入金額

    0円

  • 購入日

    2012年06月27日

  • 購入場所

    アプライド

17人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (6)

  • M.T.オーエンさん

    2012/08/04

    QSVが効いてないような気がします。
    流石にCPUエンコとQSVの差が1割にも満たないなんて事は…。
    その程度の差なら使う意味ないですしね。
  • トム様さん

    2012/08/04

    >>M.T.オーエンさん

    うーむ…QSVってもっと効果が大きいのですか…?
    上記の通り、元々一割強のディスアドバンテージが有る状況から、一割弱の差があ有るところまで好転したので上出来かと思ってたのですが。
    もうちょい調べてみますかね…
  • M.T.オーエンさん

    2012/08/04

    言われてみれば総合的には2割短縮だったんですね。
    QSVの有無を同じ条件で比較する為、1GB程度のファイルで比べてみました。
    MediaEspresso6.5高速設定
    QSVあり136秒(623MB)、QSVなし168秒(633MB)
    HD3000では19.0%でした。
    i7とE3の比較で-16.8%→+6.3%だとHD4000での差は23.1%
    (条件が違うので間接的な比較になりますが…)
    EUの差が12基と16基で25%、単純比較で19%の1.25倍は23.75%、
    GPUのクロックがやや低い分はQSVのバージョンアップで埋めた感じでしょうか。
    QSVはちゃんと効いてそうですね。失礼しました。
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