レビューメディア「ジグソー」

P400が動くZ77

私は困っていた。

一体、何に対して困っていたかというと・・・・

 

こいつの相性問題についてである。

 

我が家では、Windows Home Server が、データ保管を一手に担う。

サーバにHDDを集中配備し、RAID5+スペアドライブ構成で冗長化を図り、HDD破損時のダメージを少しでも減らす。フルバックアップと比較すれば耐久性は劣るものの、データ容量とコストとの兼ね合いから、このへんが自分としての妥協点。

で、そのサーバの根幹を成すのが、このHP-P400なのであるが、いかんせんHP製サーバ専用の業務用RAIDカードって事もあり、相性が中々厳しい。

とにかく、動かないマザーでは認識すらしない代物なので、動くと判っているマザーボードを探すとなると、中々に骨が折れるのだ。

 

そこで、最初にサーバの大型化に踏み切った際は、丁度P400の導入直前に入手して動作確認済みであった、ASUS P8Z68-V Pro/GEN3の下位にあたる、P8Z68-V/GEN3を採用した。

実際、このP8Z68-V/GEN3は問題無くP400を認識したのだが、私が入手したP8Z68-V/GEN3、ぶっちゃけるとスカであった。

HD Graphics Driverを入れたらOSが起動しなくなる上、オンボードLANを使うと強烈に不安定になるという、どう考えても完全な不良品。

 

だが、このP8Z68-V/GEN3へたどり着く前に、三枚のマザーボードでP400が認識不可であったという事実から、どうせWHS運用ならHDGraphic無しでも、QSVが使えない事以外は大して困らない(MS標準ビデオドライバなら安定して動く)し、LANの不具合はLANカードを追加すれば回避出来るということで、暫くそのまま運用していたのだ。

 

だが、事はそう単純でもなかった。

QSVが利用出来ないことから、MediaConverter7により「フォルダに放り込むだけで、勝手にエンコード」してくれる全自動作業が、全てCPU処理と化した結果、サーバー本来の目的であるファイル転送処理やバックアップ機能の動作全てに支障を来す結果となったのだ。

また、もともとATX化に踏み切った最大の理由である、DualNICによるLAG接続(2Gbps転送機能)への移行も断念する羽目になった。

後に、ちょもさんのご厚意でBroadcomのDualNICを譲ってもらったことでこの点は解消する目途が付いたが、どっちにせよQSV利用不可という状態は、本来想定していた構成から外れるものであり、この状況は単なる妥協であることに変わりなかったのである。

 

そこで、いくつかP400を動作させている環境を調べてみた。

ところが・・・というか、やはりというか、P400はあくまでHPサーバ専用。

余りにも利用者数が少なすぎて、運用情報などちっとも引っかかってこない。

 

もう一枚P8Z68‐Vを買うにしても、ぶっちゃけ型落ちのくせに中古市場でも軽く一万円近くもする高いマザーボードを二枚も買いたくない。買う余裕もない。

第一、初期不良マザーを修理に出して治ったとしても、使いもしないZ68マザーがまた一枚増える事になる。このような無駄、流石に私も許容出来るコストと割り切れなかった。

 

 

そして、五か月が過ぎた先日、何気なく巡っていたマスタードシードの直販サイトにて、修理上がりのB品マザーが掲載されていた。

 

Z77採用、ATX、PCI-E/GEN3とGEN2が混在する、普通そうでちょっと変な板。

それが、この ASRock Z77 Pro3 である。

 

いままでP400を弄ってきた経験から、「PCI-E/GEN3への接続」と、「PCI‐E x16の先頭スロットへの接続」が、CPUの対応・非対応に関係なく相性が出やすくなる条件というか、傾向だというのはある程度判っていた。

もしこの予想が正しいなら、「PCI-E x16の二本目がGEN2」という本製品なら、もしかしたら相性が出ないのでは無かろうか?

 

幸い、値段のほうもZ77としては破格に安い。

また、修理上がりとはいえ、メーカー検証が済んでいる品だ。ヤフオクで中古を漁るより、遥かに信頼性は高い。

それに、P400が動かなかったとしても、先日レビューさせてもらったi5-3570Kを移植してやれば、Ivybridge完全対応のPCが一台でっち上げられる。PS2には余ってるセレロンでも入れりゃいい。

 

こうした思惑から、今回の調達に踏み切ったのである。

 

結果からいうと、この判断は大正解。

全く問題なくP400は認識され、PCI-E x16#1へNC380Tを搭載しても問題なし。

HD Graphicsのドライバを入れても問題なく動作し、QSVによるエンコード機能も見事に復活させることができた。

 

 

拍子抜けするほど、問題点はあっさり解消されたのである。

流石は変態同士というか、ASRockが優秀なのだと言うべきか、とにかくP400はようやく安住の地を手に入れたのであった。

 

 

内部全景。板のサイズは一般的なATXと比較してスリム。

 

 

・・・・・・・・ん? 肝心のマザーについて?

特に言及すべき点は無い、としか答えようがない。

 

ビデオカードを一枚しか使わない、余計なお金は使いたくない、余計な機能は使わない、それでいてIvybridge対応マザーが欲しいって人は、間違いなくこのマザーだけで十分。

UEFIの動作も軽いし、OS起動に入るまでの間隔も短いし、動作は安定しており、品質も悪くない。

サウンド回りの品質も、最安値とか言われてる割にノイズもなく、良好。

 

買いかどうかと言われたら、間違いなく買いですよ。

Z77として必要な機能は全て揃ってます。

 

まあ、唯一の問題としては、やっぱ電源回りが普通なので、OCにゃ向いてないってこと。

Kなし型番のCPUでもOCする機能とかもあるが、基本的に遊びの機能くらいに考えたほうがいいかと。

 

 

  • 購入金額

    5,650円

  • 購入日

    2012年10月頃

  • 購入場所

    マスタードシード直販サイト

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