それがWindows 95で曲がりなりにも通常使用ではユーザーがDOSを認識することがなくなった。キーボード入力のコマンド主体からマウスによるGUI操作に。今までと違う「いくつも窓を開いて複数のアプリを同時に動かす環境」。PCというものはひとつの作業しかできない、という概念が消失したとき。現在も続く概念である「デスクトップ」にいろんな資料を広げ、表計算の結果を参照しながらワープロを打ったり、WMPで音楽流しながらメールしたり、という事が可能となった。
これが98⇒98SEときてcybercatにとって次のハードルはリアル32bit-OSであるWindows 2000だった(Meは飛ばしたのでほとんど触っていない)。いろんなフォルダやファイルの置き位置が変わり、より強固になったマルチタスク、マルチユーザーを念頭に置いたシステムファイルとユーザーファイルの棲み分けとセキュリティ対策。この「だれもがPCを触る時代」になって求められた、複数の人でのPCの共有とプライバシーとセキュリティ。それをさらに推し進めたxp⇒Vistaときて、重くなった動作をシェイプアップしたのが7。ここまでは少なくとも外面は大きな変更がなかった。
そして2012年。PCに新たな変革が来た。Windows 8。16bitの足枷を捨てたWindows 2000からひとまわり(12年)。その時はPCを使う人の裾野が広がり、同じPCを家族みんなで共有するという事象が発生し、「みんなのPC」が求められていた。
時は流れ技術は進み、PCは「特別なもの」から汎用的な「道具」になった。ここ数年で爆発的に普及したスマートフォン、キーボードもマウスもない新しいデバイス「タブレット(スレート)」...もはやPCのカテゴリーと呼べるデバイスをひとりで複数台持つことは珍しくなくなった。
ここで“Windows”は大きく舵を切った。Windows 8。今までのWindowsではTablet PC EditionやTablet用機能の追加ということでマイノリティだったタブレット(スレート)での使用にフォーカスされたチューニング。この「みんなで使うPC」からパーソナルなデジタルデバイスへの回帰ともいえるPC界への流れに応えた最新OSを検証してみよう。まずこの新OSをインストールすることにしたのは、そのタッチパネル機構を活かしてチャームなどWindows 8の新機能を堪能しようと、スレートPC「ONKYO TW3A-A31C77H」。
プリインストールOSはWindows 7 Home PremiumでCPUはSandy Bridge世代の超低電圧モバイル向けCPU「Core i7-2677M」、メモリーは増強してシングルチャンネルながらDDR3-1333の4GB、
元々の構成での最大のネック、ストレージの狭さは120GBに拡張するとともにSATA6GBに対応させ、
スクリーンは当然タッチ対応の1,366×768ドット(タッチは2点タッチ限定)。
Windows 8のシステム要件にも対応万全だ。
■Windows 8 のシステム要件
・CPU:1GHz 以上(PAE、NX、SSE2 をサポートするもの)
・メモリ:1GB (32 ビット版の場合)/2GB (64 ビット版の場合)
・ハード ディスクの空き領域:16GB (32 ビット版の場合)/20GB (64 ビット版の場合)
・グラフィック カード:Microsoft DirectX 9 グラフィックス デバイス (WDDM ドライバー付き)
元々プリインストールされていたのは32ビット版のWindows 7 Home Premium SP1、評価版
でも(一部の不具合はあったが)おおむね動作していたので/and/ONKYOのサイトにはドライバなどサポートツールがなく、メーカー製でしかもスレート型と独自機能のドライバ入手などに苦労しそうだったので、そのまま32ビット版への移行とした。
.. が。
スレートPCは入手時期から1200円アップグレードの対象ではなかったので、手持ちのDSP版Windows 8で「アップグレードインストール」を選択したが....なぜかタッチパネルが動作しない!評価版(Windows 8 evaluation for developers)では上手くいっていたポイントだったので、もう一度リカバリーディスクからWindows 7を再インストールしたり、(評価版時には別パーティションにインストールしていたので)DSP版なので前回同様別パーティションへのインストールをしたり、「いっそのこと」と7を完全に消して新規インストールしたりしてもNG。
この作業を行ったのが、Windows 8発売(2012年10月26日)直後の11月初め。評価版で動いていたものが製品版で動かないということで、イロイロ手を尽くしたけれど結局ダメ。スレート(タブレット)PCでタッチパネルが使えないのは致命的なので、7に完全リカバリーして放ってあった。
ただ、Windows 8の乗り換えキャンペーン終了間近になってもう一度トライする気になって、今度はアップグレードパッケージを入手して実行した。 というのも、今回スレートPC、TW3A-A31C77Hに導入することにしているのは前述のようにドライバなどにつぶしがききそうな32ビット版だが、実はcybercat家でスレートPC以外で稼働しているPCでは32ビット版があとひとつしかない。もし今回のトライが不発に終わった場合、これ以上32ビット版はいらないから。DSP版は購入時に64ビット版か32ビット版かを指定する。キャンペーンのダウンロード版は基本、アップグレード元のOSのビット数に縛られる。パッケージのアップグレード版は64ビット版と32ビット版のDVDが同梱されるため、仕切り直しが効くかと思って。ちなみにDSP版で殺人的な細かさだったプロダクトキーの文字は白いカードへのより大きな文字の印刷で読み取りやすい。←ココ大事wTW3A-A31C77HにはUSBポートがひとつしかないので、例によってセルフパワーのUSBハブをつないで、そこにUSB-DVDドライブとトラックボールつきワイヤレスキーボードの受信機をぶら下げた。アップグレードインストールなので、元OSのWindows 7が立ち上がっている状態でWindows 8アップグレード版DVDを挿入するとアップグレードが始まる。
互換性チェックが始まって...引っかかるのが一つ。・Intel PROSet/Wireless Software for Bluetooth Technology
これはアンインストールしないと進まないのでアンインストールすると....
再起動され⇒⇒⇒最終設定。
すると、Microsoftアカウントの設定画面に。もちろん今までのように任意のローカルアカウントでも使うことはできるんだけど、基本Windows 8はインターネット接続して、クラウドを利用することを前提に設定されている。またアプリケーションの入手にも必要なので、Microsoftアカウントを利用したログイン方法とした。すると、Windows 8に特徴的な「タイル」を備えたスタート画面が現れてインストール終了。
で、問題のタッチパネルは.....今度は作動した!この2ヶ月の間にドライバができあがってそれをインターネットから拾ってこれたのか、前回何らかの不具合があったのか、DSP版とアップグレード版に(あるいは2ヶ月の購入時期のズレによって)何らかの違いがあるのかわからないが....(なお、Windows 8は10マルチタッチまでサポートするが、本機はディスプレイ側の制限もあり、2点タッチにとどまる。)ただ不具合もある。現時点では照度センサーの制御に不具合があるようで、画面が起動数秒後に暗くなるとセンサーを覆おうが、光を当てようが画面の明るさは暗いままで明るくならない。これでは非常に使いづらいので、現在はバッテリーには優しくないが設定を切って固定輝度で使っている。また重力センサーはオンになっているにもかかわらず、このスレートPCの特徴だった画面回転ができない。これは少し残念だが、Windows 8の「どちらの方向からスワイプしたか」で動きが変わる(後述)という機能とはやや相容れないかも知れない。この2機能は今後もウォッチを続け、変化があった場合はここに記すこととする。では早速Windows 8を同7と比較しながらみていこう。まず気づくのは起動が速いことだ。POST画面のあと、ほとんど間を置かず立ち上がってくる。その速さはスマートフォンのアプリ並、とまでは言わないがPCの起動としては異様に早い。
【Windows 8 起動】
特にPOST画面からようこそ画面への遷移が早い。以前同一ハードで実施した Windows 7と比較すると...
【Windows 7 起動】
ノートパソコンと同時操作のため、多少もたついているが、このときはパスワードを1文字にしてすぐ立ち上がるようにした部分は有利なはず。それらの多少の誤差はあるが、
・起動⇒パスワード入力⇒ファイルをダブルタップしてPowerPoint起動⇒使用可まで
の比較をした。終了も瞬速だ。
【Windows 8 終了】
画面右からスワイプして設定チャームを出し、終了⇒シャットダウンを選ぶとほぼ瞬間的に画面は落ちる。パイロットランプやアクセスランプが消えるまでを計算に入れても約6秒。これでバッテリー節約のために電源を落としても、その行為や再立ち上げ時にストレスがない。OSがいくら軽快でも周辺アプリが使えなくては意味がない。互換性はどうだろうか。
Windows 8ではアプリケーションは旧来のDVD(CD)やダウンロードファイルを解凍してインストールする「デスクトップアプリ」とストアから入手する「ストアアプリ」に分かれた。
デスクトップアプリに分類されるものでは、セキュリティ系ソフトはWindows 8対応品を買わなければまずNG。スレートPCについていた「マカフィー・PCセキュリティセンター」も自分が常用している「カスペルスキー」もバージョンを対応版にあげないとOSのアップグレードインストールができない(互換性チェックでアンインストールされる)。
日本語入力システムに関しては、デスクトップアプリとストアアプリで制御が異なるらしく、cybercatの愛用するATOKは「2012」まではデスクトップモードでしか動かない。ストアアプリでの変換結果とデスクトップアプリでの変換結果が異なっており、キモチ悪かったが、最新のATOK 2013
ではストアアプリも作動した。
一方Office系は問題ない。手持ちのOffice 2003 Personalでも問題なく動作したし、これは最新のOffice 2013 Proffesional Plus
でも同じだ。スタート画面にショートカットタイルが貼り付く。ストアから購入(無料モノ含む)したストアアプリに関してはスタート画面にタイルが貼り付く。「ストア」から“Google Search”を導入してみよう。なお、タイルは長押ししてドラッグすると移動可能なので使い勝手の良い位置に持ってこれる。これはデスクトップアプリでも同様。アプリの起動は広くなったスタート画面により一発だ。
なお、Windows 8になって標準仕様のソフト構成に変更が加えられたので、注意が必要だ。
Windows 8ではそのままでは「DVDビデオの再生がサポートされない」。
これはWindows 7には標準で備わっていたDVDコーデックがWindows 8には含まれないからだ。これを可能にするためには方法は二つ。ひとつはサードパーティー製のDVD(ブルーレイ)再生ソフトを導入すること。あとひとつはWindows 8にWindows Media Center機能を追加する「Windows 8 Media Center Pack」
を追加インストールすることだ。本Packは期間限定(~2013年1月31日)で無償だったが、現在は有償オプションとなっている(840円)。この措置は映像ソフトの取得が、DVDという物理メディアからオンライン/ダウンロードによるものに比重が移りつつあるためオプション化した、とのことだが今までできていたことができなくなったのは後退と感じる。Windows 8をタッチパネルPCで使用した場合、「タイルを押せばアプリが一発起動」する。これは「ちょっと情報を確かめる」には最適で、zigsow旧LOUNGEのように新着レビューをジャンル関係なく表示できるストアアプリ、「zigsow Arch for Ultrabook」
等には適しているのではなかろうか。
このようにスタートボタンがスタート画面になって階層が減り、見通しが良くなって使い勝手が良くなった部分がある一方、概念や操作性が大きく変わったところもある。
「Windows」と名がついていながら特にストアアプリは「ウインドウ(窓)」ではない。まるでiPhoneやiPadのアプリのような全画面表示。ただiPhoneも複数のタブの切替はできたようにWindows 8でもこれは簡単にできる。この操作はスレート(タブレット)PCだと非常に快適だ。
【Windows 8 ウインドウ切り替え/タブ切り替え】左から右へウインドウを引きずり出すような感じにすればウインドウが切り替わる。
一方、Internet Explorerのタブの切替は上からスワイプするとサムネイルが並ぶので切り替えることができる。全画面表示とはいえ、各アプリはきちんと「Windows上で」作動している。ストアアプリには右肩に最小化や最大化、終了のボタンがないので、一つしかアプリが動いていないようだが、そんなことはない。
..ここで疑問。ストアアプリは「どう終了するのか?」。
デスクトップアプリは今まで同様右上に×印があるのでそれで閉じることができる。
しかし基本全画面表示のストアアプリにはこれがないのだ。もちろん前述のようにマルチタスクOSであるwindowsベースなので、複数のアプリの同時起動は可能だし、アプリの切り替えも可能。しかしこれでは際限もなく「開きっぱなし」になってしまう。使用終了したアプリを「閉じる」にはどうするのか。
スレートPCならではの新しいゼスチャーがある。
【Windows 8 ストアアプリの下へスワイプ】
慣れ親しんだ右肩の「×」印がないので戸惑うが、上から下にシャッターを閉めるようにスワイプすれば良い。ビデオでは「ストア」と「ゲーム」、「ブラウザ」の3画面を次々に切り替えているが、ブラウザで「シャッターを閉める」とスタート画面に戻り、今度はストアとゲーム画面しか呼び出せなくなる。
ただ×ボタンが有効なデスクトップアプリでは同じゼスチャーが異なる働きになる。
【Windows 8 デスクトップアプリの下へスワイプ】複数立ち上がっているデスクトップアプリを切り替えるのは、タスクバーで任意のアプリを選択するのだが、ストアアプリのように「シャッターを閉める」とスタート画面に復帰する。決してアプリが終了しているわけではなく、デスクトップモードが切り替わっているだけだ。もう一度デスクトップを呼び出すと、下にスワイプしたファイルがそのまま開きっぱなし。このあたりのWindows 8から導入されたゼスチャー、アプリ(ストアアプリ)の動きと、旧来のWindowsソフト(デスクトップアプリ)の動作が異なる、というのは慣れの問題もあるのだろうが、違和感を感じた。
ちなみに、ソフト切り替え時にはおもしろいモードもある。デスクトップアプリを上から下にスワイプする途中で横にアプリを放り込むと現在起動中のタブを切り替えるモードとなり、サムネイルをみながら直感的に操作ができる。
後慣れが必要だと感じのは「同じチャームが同じ内容を示さない」こと。その時の画面やモード、起動しているアプリによってよく使われる機能にに絞られて表示される。
例えば「設定」だと、スタート画面ではデスクトップだとInternet Explorerではと同じチャームを押しても「出てくるものが違う」。
まぁアプリに関してはそのアプリの設定だと覚えられるが、「この機能にはどこからアプローチするのか」という紐付けが「見通しが悪くなった」感じ。PCの知識がない人が「その」場面で必要になる機能に絞っている、ともいえるが....純正周辺機器ともいえる、チャームボタンを備えたまさにWindows 8のために作られたともいえるWedge Mobile Keyboard
とWedge Touch Mouse
はなんの問題もなく認識した。今回、cybercatにとっては、Windows 95、同2000以来のジャンプアップとなる最新Windows、「Windows 8 Pro」をスレートPCで使ってみた。
□利点としては...
・軽い動作
・長い(と思われる)セキュリティアップデート
・今までの慣れたアプリを使うことができる
・スレート(タブレット)PCに最適化されたゼスチャー
という様なことがあげられるが、一方
■気を付けないとならない点として..
・一部のWindowsソフトは作動しない
・同じゼスチャーで異なる動作が混在する
・同じチャームで出てくるものが違う
「慣れ」がある程度解決する部分もあるが、「直感的OS」としての錬られ具合はもう一つか。
今回スレートPCで使ってみたが、タッチパネルを備えたリビングPCやノートPCでは本領を発揮しそうだ。
「SP1」での熟成を期待したい。
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2013/02/11 リンク追加
2013/02/12 ATOK 2013 動作報告追加
2013/02/13 zigsow Arch for Ultrabook 動作報告追加
2013/02/17 Windows 8 Media Center Packへのリンク追加、動画修正
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購入金額
3,830円
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購入日
2013年01月26日
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購入場所
Amazon
リーダーさん
2013/02/06
いや、でも、まだあと数時間あるYO!
そこらへんは置いておいて、直感的に操作、というのが
もうちょっと考えてほしかったOS だと思いますね。
つい最近そういうのが得意なタブレットを買ってしまったので
余計にそう思ってしまいます。
cybercatさん
2013/02/06
>いや、でも、まだあと数時間あるYO!
いや、ホラ、今夜は別案件もあるしw
直観的操作、という点では過去の資産=windowsアプリとタブレットへの最適化を追求した結果、なんか中途半端感が拭えない。
だから「windowsアプリが使える別OS」って感じがする。
もう少しどっちかを切り捨ててもよかったカモしれませんね。
aoidiskさん
2013/02/06
慣れだけでは解決しない部分も あるような気がしてはいたんですが、
『「直感的OS」』であってほしいという思いがあって、これからやっとたのしめるかな
とおもっていたのですが、まだまだのようで残念です。
これからが楽しみでもありますが・・・
cybercatさん
2013/02/06
もう少し思い切りが必要だったかな。
(これをやると進化は遅くなると思いますが)タブレットスタイルとレガシースタイルとを分けた方がよかったのかもしれません。