ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による疾患、AIDS。現在でも完治は難しいが、かなり治療法とコントロール法が確立され、早期発見されればウイルスと折り合いを付けながら、過ごすことができるようになっている。しかし、1980年代の発見当時は発症すると致死率の高い不治の病と思われていた。また、衛生状態が悪く、保健系の知識の低い地域では現在においても罹患率、死亡率とも高い疾患。
そんなAIDSが日本でも大きく取り上げられるようになったのが90年代。そのAIDSに対する啓蒙キャンペーン&チャリティとして企画されたのが本作。
ヒットメーカー小林武史がプロデュースし、当代最も声に「アク」がある二人、Southern All Stars(SAS)の桑田佳祐とMr.Children(ミスチル)の桜井和寿が歌う。曲としては作詞作曲が桑田でアレンジを小林とミスチルの面々が手がける(英語部分の補作詞はGODIEGOのドラマーTommy Snyder)。演奏はミスチルのメンバー+小林+ブラス隊その他という感じ。
表題曲「奇跡の地球(ほし)」。ここまで明確に訴える曲、最近はないなぁ...♪I'm listening to the radio/All by myself/変わりゆく街は明日なき無情の世界/Surrounded by the stereo,/No sound is felt/壊れゆく No,no,no,no,brother/奇跡の地球(ほし)♪桑田が創っただけあって桑田節なんだけど、桜井のこえのなじみがよくて掛け合いの所なんか背筋が震えるほど「来る」。世を憂うこの曲、単なる「美声」だと流れてしまうかな。
基本チャリティー曲なので他の曲は収められず残りは「奇跡の地球 (Instrumental Version)」。これはいわゆる「オフヴォーカル」。ガイドメロディが入っていないだけに、小林の構築されたアレンジがよく聴こえる。クラビのような音がガッツがある感じでイイナ。あとこれはミスチル自身のアレンジだと思うが、中川敬輔のベースラインが絶妙。「濃い」ヴォーカルがあるとあんまり目立たないが、二人が消えるとよく動いてるのが分かる。ブラス隊(山本拓夫、荒木敏男、村田陽一)もいい仕事してるなー。
本作は限定生産であり、その印税、レコード会社の売り上げなど全ての利益はユニセフを通じ寄付されたという。そういう「いわく」の曲だからか、SAS、ミスチルのどちらのアルバムにも収録されず、7年後に桑田のベストアルバム“TOP OF THE POPS”に収められるまで、幻の曲だった。
この曲を聴くと音楽で世界を動かそうと、世界に訴えかけようとした「あの頃」が蘇る。歌はこの頃のように再び力を持てるのだろうか。
【収録曲】
1. 奇跡の地球
2. 奇跡の地球 (Instrumental Version)
YouTube、ニコ動にはないので、動画リンク(dailymotion)
-
購入金額
700円
-
購入日
1995年頃
-
購入場所
ZIGSOWにログインするとコメントやこのアイテムを持っているユーザー全員に質問できます。