Dell Studio 1536 はDellが2008年6月に発売したStudioシリーズに属する、AMDプラットフォームを採用した15インチクラスの2スピンドルノートPCだ。
筆者が過去に所有してきたノートPCの4世代目あたりに手に入れたと記憶している。
この当時、Dellの個人向けノートPCは3つのブランドに分かれており、ハイエンドのXPS、ミッドレンジのStudio、スタンダードのInspironというラインナップで展開された。このうち、XPSとInspironは現在もブランドが残っている。
当時も今現在と大きく流れは変わっておらず、ノートPCにおけるAMDプラットフォームは選択肢が限られていた訳だが、そんな中にあって本機は豊富なBTOメニューが用意され、細かなカスタマイズが用意されたモデルであった。
■ブランド戦略と訴求力
この次期のAMDはノートPC向けCPUとしてTurion X2をはじめとしたCPUを市場に投入していたが、Turionファミリの最上位であるTurion X2 Ultra、M780Gチップセット、ATI Mobility Radein 3000シリーズ、IEEE 802.11nドラフトに準拠した無線LANを組み合わせたプラットフォームを「Puma」というコードネームで呼んでいた。
これはIntelで言うところのCentrinoに該当するものだが、ご存じの通りIntelはこのプラットフォームを大々的に展開しその意味するところを理解しない一般購入層にも一定数認知が及ぶほどに浸透させた。
無論Intel程の規模を持たないAMDに同等の戦略を取れというのは無理な話ではあるが、訴求力を高めるアプローチとしてもう少し積極的にブランド名を展開しても良かった様に思う。
現在でもAMDは一般層への訴求力という意味合いにおいて、上手く宣伝活動が出来ているとは言えないと思う。 筆者の様な好き者以外にも知ってもらう為にはコマーシャルは重要だ。
是非ともAMDには製品開発以外にも頑張っていただきたいものである。
■BTOメニューの充実は素晴らしかった
話が逸れたが、製品の話に戻ろう。
目につく所では天板のカラーが豊富に用意され、いずれのカラーを選択しても価格は変わらず、自由に選択出来た。 各色はクール・ブラック、インテリジェント・ブルー、クラシック・レッド、プラム・パープル、グラファイト・グレー、オリーブ・グリーン、タンジェリン・オレンジ、チェリー・ピンクの8色で、質感も良く、しっとりとした手触りでチープなイメージは無かった。
筆者はクラシック・レッドを選択したのだが、天板の金属製コーポレートロゴが良いアクセントになっていると感じた。
特筆すべきは液晶パネルのカスタマイズにも対応しており、最大1920x1200までの解像度が選択可能で、この時期に展開されていたノートPCでフルHDパネルは選択可能なモデルはいくつか見られたものの、1920x1200が選択出来たモデルは珍しく、筆者はこれが決め手となり本機をチョイスしたように記憶している。
同時期に各種メディアで報じられたカスタマイズ項目には1440x900までの選択とされていたが、実際にWeb直販サイトでは1920x1200のパネルが選択可能であった。
パネルの詳細は不明だが、納品された実機は視野角も比較的広く、ドット欠けも無かった為大変満足のいくものであった。
それ以外のパーツもCPU、メモリ、単体GPUの有無、HDD容量、無線LAN、光学ドライブなどなど、組み合わせの自由度はかなり広範囲に用意されていた。
キーボードは日本語、英語が選択出来る。 現在のノートPCでは一般的なアイソレーションタイプのキーボードではなく、従来型のキーボードで、キーストロークもキーピッチも十分に確保されているが、Enterキーの右側にHomeキー、PageUp、Downキーなどが配置されているので若干の違和感はあるがノートPCのキーボードとしては快適に入力が可能な完成度であろう。
外部インターフェイスも必要十分に用意されており、今ではほとんど見る事が無くなったExpressCardスロットには赤外線方式のカード型リモコンが格納出来る様になっている。
機能や操作性はともかく、作りが大変チープで、納品時からボタン電池のふたが浮いた状態で、こうした部分にコストダウンのしわ寄せが現れている。
それ以外のポート類としては、D-sub15、HDMI、USB2.0x3、eSATA(USBと排他利用)、ヘッドホン出力x2、マイク入力x1、有線LAN、8in1カードリーダなどが装備されている。
バッテリは着脱可能な6セルあるいは9セルバッテリが選択できるが、いずれを選択してもバッテリでの動作時間は2時間ほどで、ACアダプタなしでの運用は現実的ではなかった。
インストールされたOSはWindows Vista Home Premium 32ビット版であり、今となっては残念なOSと言わざるを得ないが、Office Personal 2007がプリインストールされており、サービスパックを適応すればそれなりに使用できた。
BTOメニューで全部乗せ構成を取っても10万強で購入する事が可能であり、当時そこそこに遊んでいたモンスターハンターフロンティアも普通に遊ぶ事が可能なレベルであった。
■AMD難民に救いを
AMDファンにとっては数少ない選択肢の一つでありながら、豊富なBTOメニューを備えた本機は発売から8年を経過した現在も筆者にとって現役のサブPCの一台として稼働を続けている。
流石にこのPCを延命するのはいささか躊躇する状態ではあるが、次期APUであるCarrizoの登場を控えた今、次の魅力的なAMD搭載ノートPCが登場するまでは頑張ってもらいたいと思っている。
一通りの機能は網羅
PCとしての機能は一通り揃えられているので、普段使いには必要十分。
流石に時代を感じるExpressCardスロットなどは使われる事は無いだろうが、運用方法によっては現在でも十分に活用の場があるだろう。
豊富なカラバリが魅力
本文にも書いたが、天板のカラバリが豊富で、お気に入りの一台にする事が出来る。
左右の液晶ヒンジ部分に設置されたwifiボタン、電源ボタンはOnOff時にLEDが点灯し、アクセントになっている。
全体的にきれいにまとめられ、当時の15インチミドルクラスノートPCとしてはなかなか良いデザインであろう。
やっぱりVistaは…
ハードウェア面は豊富なBTOメニューでユーザーの運用スタイルに合わせた構成が可能なため十分な実用性が確保されている。
だが、OSの出来はいかんともしがたい。
更なる実用性の確保にはOSの変更も考える必要があるだろうが、今となってはメインの機体となり得るものでは無いので運用形態によってはそのままでも十分だろう。
値段以上に高レベル
購入から既にかなりの時間が経過しているが、キーボードの感触も良く、インターフェイスの位置も使いやすいので、個人的に大変気に入っている。
タッチパッドが近年のモデルと比較するとやや小さいので若干の減点対象としてこの点数とした。
いずれにしても、BTOで自分好みの構成が取れるので、使用感は大変満足のいくものだ。
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購入金額
100,000円
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購入日
2009年08月21日
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購入場所
直販サイト
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