レビューメディア「ジグソー」

今後に備えての入手

かつてAppleがPowerPC G3搭載のPowerMac G3と共に華々しく製品展開を始めた、コンピューター及びAV家電向けのシリアルバス規格がIEEE1394でした。

 

当時の構想では速度よりも汎用性を必要とする機器には低速のUSB(搭載製品が展開され始めた当初はUSBが最大12Mbpsの転送能力であったのに対してIEEE1394は400Mbps)に対してストレージデバイスなど高速機器にはIEEE1394という使い分けを想定していたようです。

 

もっともIEEE1394は広義にはSCSIの一種であり、コマンドや仕様がインテリジェントで、実装コストが高いという弱点がありました。結果的にUSB規格の改良が進んだことで速度でもIEEE1394を上回るようになってきたため、IEEE1394は徐々にフェードアウトしていきます。

 

また当初Appleのコンピューター製品ではFireWire、デジタル家電向けはi.Link、ビデオカメラ向けはDV端子、他にも電子楽器でのmLANなど、同じIEEE1394準拠の接続であっても用途によって名称やサポートする機能に違いがあり、少々ユーザー側からは理解がしにくかったという面もあります。

 

いずれにしても汎用のコンピューター向け外部接続端子としてはUSBが圧倒的に普及して、高速シリアルバスもThunderboltが登場した結果、IEEE1394は役目を終えてフェードアウトしていきました。

 

 

しかし、IEEE1394が比較的長く普及していた分野もありました。それがオーディオインターフェースです。音楽制作の分野では根強いMacintosh信仰があり、Appleが積極的に採用したことでオーディオインターフェースのメーカー各社もハイクラスや業務向けの製品ではIEEE1394向けの製品が多くリリースされていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところが、そのAppleが最新のmacOS 26 Tahoeで、突然FireWire(IEEE1394)のサポートを打ち切ってしまいました。OSがIEEE1394に関するドライバー類を一切内包しておらず、FireWire接続の機器はいかなる接続法でもOSから一切認識されなくなってしまったというのです。

 

Macintoshユーザーからすれば重大な問題ですが、幸い私はWindowsユーザーです。Windowsは現行のWindows 11に至るまでIEEE1394をきちんとサポートし続けています。

 

そこで考えたのが「音楽制作がメインのMacユーザーが環境を更新して使えなくなってしまう、高価格帯のFireWire接続オーディオインターフェースが、徐々に中古市場に比較的安価に出てき始めるのではないか」ということです。

 

現在私がメイン機として使っているPCはPCI Express 1xスロットにボードを挿してFireWire接続のオーディオインターフェースに対応させています。しかしサブ機などでは特に対応させていません。

 

今後お買い得なオーディオインターフェースを見つけたときにメインPC以外でも使えるよう、PCI Expressスロット向けのIEEE1394ボードを用意しておこうと考えました。ただ、オーディオインターフェースではIEEE1394のコントローラーはTexus Instruments製以外はサポートしないと明言しているメーカーが多く、入手するならTi製コントローラーの搭載が必須です。そんなわけで入手したのが玄人志向 IEEE1394B-PCIEという製品です。

更新: 2025/11/29
総評

IEEE1394bの必要は無かったが…

現在メインPCに搭載しているIEEE1394カードも同じ玄人志向から発売されているIEEE1394-PCIEです。

 

 

 

 

 

こちらはIEEE1394a(FireWire 400)の対応ボードで、Ti XIO2200を搭載しFireWire 6pin端子を2つ備えています。一方今回入手したIEEE1394B-PCIEはTi XIO2213を搭載しFireWire 800をサポートする9pin端子を2つ、FireWire 400までに対応するFireWire 6pinを1つ実装しています。

 

今回の用途からすればFireWire 6pinの1系統だけで十分なのですが、たまたま出ていたのがこちらでした。

 

 

 

 

 

 

 

添付品は電源ケーブルのみで、少し困るのが本体に装着されているブラケットがロープロファイルのものであるということです。最悪はブラケットを外せば問題なく使えるのですが、固定に難が生じるのでそのうち他の製品のブラケットを加工してこのボードで使えるようにしておこうと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

一時期の玄人志向製拡張ボードでお馴染みの赤基板です。この赤基板は台湾AVLAB製が多かった記憶があるのですが、最近はどうなっているのでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

コネクターは前述の通り9pin×2+6pin×1です。

 

 

 

 

 

 

電源コネクターは懐かしの3.5インチ仕様(以前は内蔵FDD等で利用されていた形状)です。まあ、私が考えているオーディオインターフェースではそもそも必要ないとは思います。

 

 

 

 

 

 

 

コントローラーも前述の通りTi XIO2213が搭載されています。IEEE1394のコントローラーはTi製がデファクトスタンダードでしたので、これを選んでおけば無難ということです。

 

 

現時点ではこれを使ってPCと接続したいというオーディオインターフェースは持っていませんが、これが用意されていれば安心してFireWire接続のオーディオインターフェースを購入できるという安心感を得ています。

 

IEEE1394の高速シリアルバスとしての役割を担う実質的な後継規格はThunderboltですが、オーディオインターフェースの分野もUSBも採用範囲を大きく拡げており、結果的には一部の超低レイテンシー製品がThunderbolt、一般ユーザー向けはUSB3.x/4.xという形に棲み分けが進むのではないでしょうか。私としては既存のFireWire接続のオーディオインターフェースが安価に入手できるようになれば嬉しいというだけのことですが。

  • 購入金額

    2,200円

  • 購入日

    2025年11月07日

  • 購入場所

    HARD OFF

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