レビューメディア「ジグソー」

名機です

幼い頃からカメラとは親しみがあり(小学生時代はminolta110を使っていた)、
写真とは馴染み深かったが、(これは血筋だろう)
一眼レフを手にしたのは中学に入ってからだった。

最初に手にした機体はminoltaのSR505という完全なマニュアル機。
今にして思えば、非常によくできたモノだった。
(露出計内臓の追針式マニュアル露出が非常にやり易かった。正直Nikon FMやFEよりも遥かに使いやすい。)

だが、周りの連中はNikon派が多く、確かにその品質と恰好よさは他を寄せ付けないものがあり、
自分もいつかはNikon…と思っていたものだ。

高校を卒業し大学に入った頃、それまでのバイトの資金で機材一式を全てNikonに替えた。
最初に購入したNikonはFE2である。

その後時は流れ、一気にAF機F4に移行。メイン機となる。
それから10年ほど。 時代は既にデジタルの方向へ進んでいたが、
ひょんな筋からF3/Tのデッドストック品が入手できるというハナシが舞い込んだ。

F3といえば、そのデビュー時、自分はまだ中学生か高校生だった頃。
それまでのフラグシップF2が長年の現役であった時、一新したF3の登場は衝撃的なものがあった。
価格も当時としては衝撃的だった。(高価!)
当然、我々学生の身には高嶺の花であり、憧れでもあった。

それが今、手に出来る! しかもレアなチタンモデル。
一も二も無く即決。

やっぱりいい。
敢えて言うなら、マニュアル露出の時の操作性には疑問が残る(非常に不親切でやりにくい)が。。。

フィルム装填に始まり、巻き上げ、ピント合わせ、露出決定、全てがカメラまかせとなって久しい。
順序が逆になってしまったが、F4を持ってから敢えてのF3/Tである。
F3がデビューした当時は、傍から見ていて大きいボディだなと思ったものだが、
今になって手にしてみると、なんてコンパクトなんだろう、と思ってしまう。
FE2と変わらないじゃないか。 いやそれ以上にしっくり手に馴染む。

F3のシャッターは今では古典的とも言える横走りのチタン製のフォーカルプレーンであり、
(そもそも布ではなくチタンで横走りというのも信じがたい技術だが)
ニコマートやニコンFMで採用されていたコパルの縦走りのシャッターではない。
そこがまたいい。
(FE2の大きなシャッターショックとは雲泥の差である。)
この横走りのフォーカルプレーンシャッターの音を聞くと、
かつて写真部で暗室に籠っていた頃を思い出す。
原点回帰には良いカメラだ。 

F3はそれまでのF2と異なりメーター機能をボディ側に内蔵し、
ファインダー交換式でありつつAE機能を実現した。
(ある意味、高級なFE2という感覚。)

このF3のAE機能はなかなかにクセモノで、
現在のように多分割の評価測光方式の確立されていない時代のカメラなので、
それまでのニコンの一眼レフでお馴染みの中央部重点測光方式が採用されている。
しかも、どういうわけか他の中央部重点測光よりもその測光範囲が狭い。(個人的にFE2と比較)
感覚的にはスポット測光に近いものがあるから
(ちょっとでも中央からズレると敏感に露出値が変わる)、
補正するにしてもその値を見極めるのはなかなか微妙である。
ところが困ったことに、その露出補正ダイヤルは巻き戻しクランク下部(ASA感度設定部)にあり、
お世辞にも使いやすいものとは言えず、難儀する。
F3唯一の汚点ではなかろうか。
(その点F4では、レリーズとシャッターダイヤルの間のモード切替レバーと同軸にあり
 非常に使いやすくなっていることからして、相当文句が出ていたに違いない。)
面倒になって、シャッターダイヤルをAEから抜けさせ、覚えておいたシャッター速度に対して
マニュアルで補正した方が早い、という変な使い方に慣れてしまった。

F3は約20年にわたる超ロングセラーカメラであり、ニコン一眼レフとしては前代未聞のものであった。
何せ後継機F4が登場しようと何ら関係なく併売され、さらに次のF5が出た後もその存続が続いた。
ある意味、孤高の存在感を持ったカメラだとも思える。

単焦点レンズ一本をこのF3/Tに装着し、主にモノクロで、このアナログ感を楽しんでいる。

少なくともあと10年は現役で使いたいから、そろそろO/Hに出さないと、と思うこの頃である。

・・・ということで、時ありしも2011年3月11日の震災を受け、Nikonでは
「東北地方太平洋沖地震における罹災品修理対応」
ということで、
「ご愛用のニコン製品が今回の災害により不具合となった場合、修理料金を特別割引させていただきます。」とのこと。
ナント「通常修理料金の50%」で受けてくれるというのだ。
(因みにCanonも同様の措置をしていたが、今年の3月で打ち切られてしまった。Nikonは延長に延長を重ね、現時点では2013年3月31日受付分まで延ばしている。エライ。)
震災当時私は宇都宮に住んでいたので、罹災証明を取ることができ、つい先日であるが、O/Hを頼みにNikonサービスセンターに赴いた。
なぜかF4は既に修理を受け付けないものの、F3は受け付けるというヘンテコな状況だったのだが(既にその状況は知っていた)、驚いたのは、それはあくまでもノーマルの「F3」であって、「F3/T」は該当しないのだという。
なんでも、使用しているモルトが通常のF3とF3/Tとでは異なり、専用品を使っているとのこと。
「まだ在庫があれば対応します。」ということで、一旦お預けとなったが、残念ながら在庫切れだった。
一般的な性状のモルトと交換する位だったら(それはいつでもあるし、F3/Tはあくまでも専用品を使っているし、現時点でモルトの劣化は見られないので)このまま使い続けた方がいい、というアドバイスを貰い、半分安心、半分ガッカリで、未修理のまま製品は送り返されてきたのだった。
ん~・・・Nikonさん、もうちょっと頑張って欲しいなぁ・・・
  • 購入金額

    50,000円

  • 購入日

    2008年04月頃

  • 購入場所

    個人売買

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