オーディオ道は入ると底なし沼であることがわかっているので、「なんちゃって」ですがそれでも一般の人から見ればずいぶん金をかけているかもしれません。
それもどちらかと言えば、珍しいデバイスを用いた(変態的な)、他メーカーが手がけないオンリーワンの(珍しい)ものに惹かれる傾向があり、一般的なPanasonicやONKYOなどは殆ど持っていません。
CDT(-S)。単機能のCDプレイヤー。すでに20年近く前のもののため、CD-RやSACDにはもちろん対応せず、74分越え録音のものの再生も微妙。
作ったのはMUSICAL FIDELITY、クラリネット奏者Antony Michaelsonにより1982年英国で設立されたオーディオメーカー。ただこのメーカーのオーディオ機器には爆熱A級アンプ「A1」はじめ、熱烈なファンがいる。
いわゆるHi-fiではない。どちらかというと古い音作り。分解能やノイズの低さ、周波数特性と言った諸元に現れる点はむしろ平凡。最新のデジタル技術を駆使した国産メーカーの方が遙かに凌駕する。
ものとしての造りもそれなり。この時代の同社のユニットはこのCDTのように平べったい直方体で、前面の下部が少しえぐってあるデザインだが、とりたてて高級感はない。このCDTも両脇の放熱板を兼ねたトタン状の波打った部分は金属だが、中央のCDが挿入される部分のカバーなどはプラスチック。その右端を押して蓋を閉める。ディスクを入れて蓋を閉めると自動的に再生が始まる。あまりカチッと締まるわけではなく、蓋を押しつけてキャッチに押し込む感じ。コントロールキーは「再生/一時停止」「停止」「一曲送り」「一曲戻し」「ランダム再生」だけで早送りも巻き戻しもリピートもない。もちろんリモコンもない。さらに外国産(イギリス)のプレイヤーのくせに輸入盤CDと相性問題が出やすい。そんな..CDデッキ。
でもそこから出る音はタダの音ではない。「音楽」だ。女性ボーカルは「そこ」にいる。サックスはリードの湿り具合が判る。シンバルは揺れを感じる。
音楽を選ぶ。ジャズはイイ。特にトリオやクインテットの小編成は。女声は「立つ」。クラシックも室内楽や器楽曲の小編成が良い。
これはプリアンプ部に真空管を使うからか、それともそこから受けるイメージか。火が入るとぽっと明かりがともるが、半分以上本体に埋没していてあまりこれ見よがしではないが。
そんなコダワリのCDT、本品はさらに10th Anniversaryの限定品。日本向けに100台しか作られなかったうちの一台(48機目だと手書きで説明書に書いてある)。厳選されたプリント基板、特別なキャパシター、通常機ではブラックアウトされているフロントフェイスがクロームメッキされ、ソコには創業者Antony Michaelsonのサインがプリント。
たくさんの人にイイネと言われるより、少数の人にでもスバラシイと言われたい。
みんなにいい人ネと言われるより、大多数にはそっぽを向かれても一握りの熱烈な崇拝者がいればそれで良い。
Antony Michaelson、彼はアーティストなのだ。
【諸元】
■使用チューブ ECC88×2
■DAコンバーター マルチビット方式
■出力レベル 2.35V
■出力インピーダンス 200Ω
■周波数特性 20Hz~20kHz
■SN比 90dB以上
■ダイナミックレンジ 90dB以上
■チャンネルセパレーション 65dB以上
■THD+雑音 0.1%未満
■外形寸法/重量 W408×H65×D250mm/6kg
■消費電力 20W
MUSICAL FIDELITY Website
好きならゾッコン、琴線に触れなければ大振り三振
芯と熱がある中域、腰に来る中低域、刺さらなく艶っぽい中高域。
ここに価値を見いだせればアリ。
HiFi指向オーディオファイルにとっては無用の長物。
音質の評価軸は、「良いか/悪いか」ではなく「好きか/嫌いか」。
キャッチのかみ合いが....
そもそも30万近くするプレイヤーなのに、プラのキャッチかよ。
日本向け100台限定生産
しかもほぼ30年前の単機能CDプレイヤー。
一体何台残っているのだろう...
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購入金額
273,600円
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購入日
1992年12月18日
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購入場所
ダイナミックオーディオ
makibisiさん
2011/09/06
正面から見るとカッコイイ!!
cybercatさん
2011/09/06
>おおー!レトロ感のあるCDプレイヤーですね。^^
トップローディング自体もうあまりないですからねw
いぐなっちさん
2011/09/07
CDユニットにはまだお金のかかってたころの製品ですし、アンプとDACを自作してレビューお願いします♪
cybercatさん
2011/09/07
>節約のため小物自作→こだわりすぎて安物買ったほうがだいぶ安く上がった、
うんうんわかるわかるw
>アンプとDACを自作して
師匠!教えてください!!
Yujiさん
2011/09/07
お店で一度しか見たことがないです。
デザイン的にもA1と組み合わせたら格好よさそデス。
cybercatさん
2011/09/07
>珍しいCDプレーヤーをお使いですね!
確かにこのメーカーの中でもちょっとキワモノのような..(^^ゞ
>デザイン的にもA1と組み合わせたら格好よさそデス。
A1で、すぐおわかりになるあたりはサスガ!です。
Yujiさん
2011/09/07
この世代のMFは英国モノにも関わらず、かなりヤンチャしてましたものね。
天板で焼肉ができるアンプとか(笑)
cybercatさん
2011/09/07
>天板で焼肉ができるアンプとか(笑)
それは爆熱A級アンプA(ry
kenさん
2011/09/07
このCDは、知りませんでした。
> 音ではない。「音楽」だ
これ同感です。
国産のメーカーは、単なる綺麗な音は出すけど、音楽では無いですよね。
効いていて楽しくないです。
これは、暖かくて良い音楽を、奏でていそうですね。
末永く、使用できると良いですね。
cybercatさん
2011/09/07
>これは、暖かくて良い音楽を、奏でていそうですね。
たぶん、Antony MichaelsonはCDを奏でる楽器を作りたかったんじゃないでしょうか。
帯域も狭くて透明感も劣りますが、血肉が通った、音がします。
>末永く、使用できると良いですね。
そうですねw
大事にしていきたいです。
mr_osaminさん
2016/05/10
知りませんでしたw
トップローディングとその奥で遠慮がちに見えるECC88の組み合わせがとても個性的ですね。
真空管は恐らくDA変換後のアナログ・バッファアンプに使用されていると思いますが、
この頃のCDプレイヤーは出力段のLPFの構造が複雑な割に高周波が残存してしまうモデルもあるので、真空管受けは相性が良い気がします。
昔、CDプレイヤー向けライントランスが流行ったのも同じ理由ですね。
私も今、古いCDP用に真空管プリを挟んでみようかなと考えているところです。
以上、お粗末様でした。
cybercatさん
2016/05/10
造りはほんっと安っぽいんですよ。
トップの開口部はプラスチック丸出しでペラペラだし。
そのキャッチの部分も重厚な動作でなくて、軽自動車の小物入れのカバーのキャッチみたいなちゃちな音だし。
でも音が。
高音質でも高解像度でもないんですが、特定の領域が「これでしか奏でられない音」がありますね。そうこのCDプレイヤーの音は「出る」のではなく「奏でられる」のです。
フェレンギさん
2021/01/17
スバラシイ
cybercatさん
2021/01/17