レビューメディア「ジグソー」

洋楽の薫り。AOR=Adult-Oriented Rockであり、“American”-Oriented Rockであり。

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。

SHŌGUN。1970年代末に活躍したロックバンド。ギタリスト芳野藤丸周辺の凄腕スタジオミュージャンが集って自分達の作品発表のために結成された。とはいっても完全に自然発生的なものではなく、TV番組の主題歌を歌う洋楽テイストを持つグループを探していた局側の意向が後押ししたという面もあるようだが。

メンツは芳野に加えて作詞とギター担当のCasey Rankin、ピアノ・キーボードは大谷和夫、リズムセクションはベースにミッチー長岡、ドラムス山木秀夫、パーカッション中島御という磐石体制。

ファーストアルバムである本作は、その主題歌「男達のメロディー(アルバムクレジットはローマ字表記)」を目玉とするものだが、他の曲もどこか洋楽の香り漂う作品。洋楽といってもこの作品はアメリカ的な「カラっ」とした風合いの印象が強い。ほとんどの詞をCaseyが英詩で書いたので、洋楽調の曲(作曲は芳野かCasey、あるいは二人の合作)と名アレンジャー大谷のダサくないアレンジで当時の日本では飛びぬけて洋楽チックだった。

「Castle Walls」。シーケンサーではありえない味があるピアノの速い分散和音フレーズで始まり、スラップベースと2本のギターのカッティングが互いの隙間を埋めあい、リズムを形成していく。ファルセットのサビのコーラスが「美味しい」。疾走感あるサックスソロが中島のパーカッションと絡みいい感じのAOR。

その「Otokotachi No Melody(男達のメロディー)」。バンジョーの乾いた音色と♪どうせ一度の人生さ/The More You Give/Babe the Less You Lose/運が悪けりゃ死ぬだけさ/死ぬだけさ♪と嘯く詞がマッチしている。このアメリカンな曲はCasey単独作曲(詞は唯一の外部作で喜多條忠)。チョーキングを多用したギターのハモりやスライドが多いギターソロ(中間・エンディング)はまさにAOR。

スラップベースで入るイントロと曲に入ってからのぐいぐい前に引っ張るサンバパターンがミッチー長岡の存在感を感じさせる「Silently She Said」。コード進行が美しく、ラテンなピアノとブラスのラインが熱い!

とにかく日本人離れしている。そしてその方向性はアメリカ。特にバンジョーが鳴るのでカントリーチックなテイストがある「Otokotachi No Melody」は群を抜いているが、コーラスのつけ方やギターのフレーズがアメリカン。そしてコードの響きはAOR。しかし、この次の作品からはアメリカ的な要素が薄まってヨーロピアンなイメージになるのは意外。

自分にとっては彼らはこの1stの明るいイメージが強いのだけれど、次のタイアップが松田優作の「探偵物語」(TVの方の)。それが影響したのかも知れないけれど、2ndと3rdは結構暗め。明るい感じの曲ももう少し欲しかったな、と思ったり。

廉価盤「CD選書」シリーズ
廉価盤「CD選書」シリーズ

そうそう、本CDは後に名作廉価盤「CD選書」として発売されたものだけど、同シリーズの特徴として薄型ケースにジャケットと1枚化された歌詞カードが付くと言う造り。もともとは色紙の銀色っぽい「てかてかの銀」に朱印が捺された印象的なものだったが、そのテカリはなくなんだかスクラッチカードの削る部分のような銀色というくすんだ造りでそこがイマイチ。スペースの関係で省かれたのかプレイヤーのクレジットもなく、キレるサックスを吹いたのが誰なのか、確認できず。今度引っ張り出してみようかな、LPだけどwww

追記:発掘した(所要時間30分w)。

ホラ、全然色合い違う...
ホラ、全然色合い違う...

苦労して発掘したけど、誰がサックス吹いてるか書いてなかったorz...

【収録曲】
1.Sunrise Highway
2.Castle Walls
3.Nina(nobody can do it quite like you)
4.Otokotachi No Melody(男達のメロディー)
5.You Turn Me On
6.Silently She Said
7.Feeling Glad All Over
8.Saturday Cyclone

 

「Sunrise Highway」

更新: 2018/01/08
必聴度

和製TOTOと言われたスタジオミュージシャンのグループ。サウンド的に当時の邦楽界に与えた影響は大きい

全員が凄腕のスタジオミュージシャン。当時の邦楽(←この言い方も最近しないけれど)のレコーディングのそこここに顔を出しているメンツで、彼等の音=最新だった。

  • 購入金額

    1,500円

  • 購入日

    1991年頃

  • 購入場所

15人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (6)

  • cybercatさん

    2013/09/10

    >男達のメロディー欲しさにレンタル落ちを購入しました。
    SHŌGUN全体の歴史?からいうとあの曲はテイスト的に異端なんですが、「俺たちは天使だ!」のコミカルでどこか陰のあるテイストとあってましたね。
    掘り出しましょう!www
  • UDさん

    2013/09/10

    私も「CD選書」版で持ってます。

    「ケーシー・ランキン」のソロの曲が好きです。

    で「SHOGUN」在籍時のアルバムも数枚購入しましたが、求めていたのと少し違いました(汗)

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