所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。時代が遅すぎたのか、彼らが早すぎたのか、今聴いても新鮮な驚きを受ける盤をご紹介します。
Sugar Soul。20世紀末に流星のように顕れ、わずか2作のオリジナルアルバムを残して消えた実験的R&Bユニット。メンバーはフロントのAIKOとDJ HASEBE、コンポーザーのカワベ(最終的にはAIKOひとりのプロジェクトとなるが)。
このアルバム、“うず”は、2枚目にして彼ら最後のオリジナルアルバム、そして彼らの最大のヒット「Garden」(シングルとはミックス違い)を含むアルバム。非常に実験的なアルバムで、シングルミックスの「Garden」で彼らを知った新しいファンを、いい意味で裏切る構成。AIKOのソウルフルなヴォーカルと、kenji(Kj)のCOOLなヴォイスがリズムマシンとオーケストラ風のストリングスバックのループに乗り、ドライヴする、キャッチーなシングル版「Garden」に比べると、このアルバムは闇い。AIKOの魂の叫びが聞こえるようだ。
出だしの「カリスマ」からダークだ。♪ただ真実/求めて/愛だけ/信じて/そう乱れて/狂って/見つめて/溶かして♪へヴィな打ち込みリズムに、竹内朋康の粘りつくギターが絡む。
続く「Sive1999 -analog ver-」は、非常に不安定な旋律のベースのリフのループに、ZEEBRAのラップとAIKOのボーカルが乗る。キレのあるダンサブルな仕上がりだ。
「此こへ来て -Toshihiko Mori remix-」は音像処理が実験的だ。イントロやブリッジ部分のオケヒットの様な音に続く音が、左右にぐるぐる回る。フワっとした残響処理も、左右に飛ばされ浮遊感がある。コーラスも音響処理がされており、サウンドコラージュといった風情。
「no-no-no」は、ミュートトランペットの暗い雰囲気に、打ち込みのリズムが重なり、♪わかりあえるなんて/笑わせないでよ/いいかげんにしろよ♪とAIKOがつぶやく。
ヒット曲「Garden」は「final mix」であり、リズムがオフっており、シングルとは風合いが違う。シングルのループリズムのノリの良さを期待すると、肩すかしを喰う。AIKOののびがあるヴォーカルが、生ストリングスをバックに泳ぐ。最後の曲でエンドロールといった感じだろうか。
AIKOの内面を出した作品で、決してキャッチーではない。でも聴けば聴くほど味が出てくる作品。ジャケットが「リング」っていうか「MATRIX」っていうかの闇いタッチなのも...
彼女のインナースペースへダイヴしてみない?フフフフ...
【収録曲】
1. カリスマ
2. Siva 1999 -analog ver-
3. 此こへ来て -Toshihiko Mori remix-
4. dont let go
5. カリスマ -real live dub I-
6. no-no-no
7. real live dubII
8. 真実
9. 我麻羯磨 ~waga ma karma~
10. respectyourself -original edit-
11. いいよ
12. Garden -final mix-
「カリスマ」
独特の世界、ノリが良いだけがポピュラー系音楽ではない
昏く深い内面世界に飛び込んでいくような、歌詞が唯一無二
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購入金額
3,059円
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購入日
2000年頃
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購入場所
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