レビューメディア「ジグソー」

悪への一歩?

MUSIC GEAR。
ドラムをやり始めて、練習スタジオで練習していたがそれだけでは時間も金も足りず、家で練習をするのに最初は先輩からほとんどタダ同然で譲ってもらったドラムセットを使っていた。ただこれカバリング(ドラムの表面加工の一種。色や柄の付いたシートを表面に貼り付けて外装とする製法)は傷だらけで一部めくれかかっており、胴も一部ひび割れあり。ヘッド(打面)もスティックが強く当たって凹んだ痕もありボコボコ。まぁオンボロとはいうもののホンモノのセットなので、練習パッドよりはバウンドがリアル(つかホンモノ)というくらいで、音的には見るところがなかった。

ただ、シンバルは割れたのしかなく鍋ぶたのような音で、跳ね返りなどが違ったのと、シンバルは「そのものが鳴る楽器」のため金額の差が音色の差に歴然と表れるので例のCrashシンバル

を手始めに買いそろえていったが、ドラム本体の方は「とりあえずある」ので、そのままになっていた。複数枚高級シンバル買うこと考えれば、最低ラインのドラムセットは買えるのだけど、とりあえず先輩から譲り受けたものがあり、シンバルと違って音色の差が劇的ではないのでヘッドを換えてチューニングをきちんとすれば程度ゴマかせるのと、「買い直して明確に音色が異なるのがわかる」というのは中級機以上になってしまうため、敷居が高かった。

しかし、そのオンボロドラム、ついに金具がおかしくなった。最近セッティング方法の多様化で必ずしもそうではなくなってきているが、以前はタムタム(響き線がない両側ヘッドのドラム)をバスドラムの上に1~3個付けるのが一般的だった。そのために、タムタムを支えるT字型のような金具をバスドラムに突き立てて、横棒の部分にタムタムを取り付ける形式の金具を使う場合が多かった。その縦軸を支える部分の金具が逝かれた。厳密に言うとその金具を止めているバスドラム側の受け口が錆びて、その周りの木材共々逝かれた。

こうなるとタムタムが固定できない。これを回避する方法はいくつか考えられた。

第一案は、金具だけを買い直し付け替える⇒安物ドラムの常で金具の単品売りがなく同型金具が手に入らない&止める側の木材もねじバカになっているので、埋めて再ねじ込みするか、異なる形の金具を探して新たに穴開けて付け直すしかない。という事で苦労するわりには効果が?またそこまでしてこのオンボロを直すか?ということで却下。

第二案はこれを機会に安価なドラムセットを再購入する⇒一式新品になるのは良いが、安物セットではまたこういった問題が将来再発する可能性がある。また安価とは言えそれなりのまとまった金になるので、当時あった貯金ほとんどをはたいて得るのが同レベルっつ~のも...で萎え。

そこで私が取ったのは第三案。バスドラムだけを単品購入。資金的余裕ができたら徐々にグレードアップ。

この案で問題なのは、そのドラムのラインアップが長期安定なものであるか否かと流用することになるタムタムを支える金具(T字型の方)が流用できるか、ということ。この金具のあたりの規格は各社各様で共通のものはない。オンボロドラムのT字型金具の心棒は結構太かった。楽器店で突っ込ませてもらうと3大メーカーのうちYAMAHAには入らなかった。Pearlは当時個別保持で形式が違った(T字型1本でなく逆L字型2本)。で残ったのがTAMA。比較的消極的な理由で選んだのに、楽器店で展示品を叩いてみると実に音が良い。そこでIYHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHH!

「SUPERSTAR」。TAMAの誇るオールバーチ(樺)6プライドラム。北海道産のバーチのみを使った当時のTAMAのトップラインの一つ。このシリーズは伝統的にオールバーチで安価な木材の混ぜ物はない(余談だがこのオールバーチシリーズはその後CRESTARやSILVERSTARと名前を変えながら生き続けたが、伝統のSUPERSTARの名称が「SUPERSTAR CUSTOM」としてリバイバルする際に当初オールバーチでなくバスウッド(シナノキ系)とバーチの混合シェルで出て総スカンを喰った)。オールバーチらしく低音に強い倍音分布があり、少し柔らかめの音がする。前年までこのシリーズが頂点だったが、購入時点ではコルディアというエキゾチックな木材を使った最上位シリーズが新規追加されたため値引率が高かったのも決め手となった。
SUPERSTARと言う名前が上位クラスっぽい
SUPERSTARと言う名前が上位クラスっぽい

色は迷ったが当時海に関係した名前のバンドをやっていたことと、青が好きな色の一つでもあり、緑がかった青の「AQUAMARINE」というラッカー塗装を選択。色の付いたシートを外面に貼り付けるカバリング製法と違って、塗りなので、まず振動を妨げない。また木目が透けて見える塗装でかつ、見る角度によって青緑~碧と色合いが変わり、本当に海の色のよう...
青とも緑とも形容しがたい独特の色合い
青とも緑とも形容しがたい独特の色合い

口径はバスドラムとしては標準より大きな24インチ。そうこれはミーハーにも

この当たりでドラムを叩いている野獣のセットに影響され...(^^ゞ
深さは怪獣を上回るべく当時出たばかりの深胴を選択(標準14インチに対してX-TRASと呼ばれていた16インチ)。

届いてみるとでかっ!!自分の部屋の1/3はこれで占領されたって感じでした。
でも音は比較的厚胴のオールバーチの特性が出ていて低めのところにエネルギーがあり、抜けよりも音圧を重視した、まさにバスドラムに最適なもの。これを購入したあたりで、以後10年間ドラムにのめり込むのが決定した感じかも...

思い出の一品(逸品)です。
  • 購入金額

    55,000円

  • 購入日

    1983年頃

  • 購入場所

20人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (6)

  • 退会したユーザーさん

    2011/07/13

    へぇ〜! MADE IN JAPAN ですか?
    単純に、ドラム関係は 外国製かと思っていました。
  • cybercatさん

    2011/07/13

    kusabuturiさん、コメントありがとうございます。
    >へぇ〜! MADE IN JAPAN ですか?
    ドラムは(バイク同様)日本製強いです。かつ、高品質で海外ミュージシャンからも信望が厚いです。
    バイクもドカやハーレーというプレミアムブランドはありますが、それに続くはホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキ。ドラムもGRETSCH、Ludwig、PREMiER、Slingerland、Sonorなどのプレミアブランドもありますが、YAMAHA、Pearl、TAMAの3ブランドの存在感がスゴイです。海外有名ドラマーも使用多数。

    ただバイク同様最近は中国製や東南アジア製が安価な価格で殴り込みをかけていて、一部のメーカーは安価なラインを海外生産に移していますが、TAMAはたしかそうでなかったような...

    ココには匠がいます。
    TAMA Drums
  • 退会したユーザーさん

    2011/07/13

    見てきました。
    この場合、プロフェッショナルじゃないですね。
    匠と言う表現がぴったりです。
    そういえば、今は亡き長男も Pearl のドラムを
    叩いてました。お恥ずかしい話、Pearl は外国製だと思ってました。(汗

    * 何年も前に、父の日に貰った物です。
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