レビューメディア「ジグソー」

GM以前のDTM音源

中古でもあまり見かけないのですが、今回ついに入手しました。諭吉4人で(但し付属品とかいろいろセットあり)。最近高い(令和2年春)。

 

これはGeneral MIDI以前、DOS時代のDTM音源です。General MIDIがまだ無かった頃は各社の音源で配列が異なっていましたが、その中でDTM音源として事実上の標準とされたのがMT-32でした。MT-32は当時画期的だったマルチティンバー音源で、1台で8パート+リズムを鳴らすことができる音源です。

MT-32はLA音源モジュールで、アタック部分ではPCMが使われていますが本来の意味でのシンセサイザーです。デジタルシンセは当時既にFM音源がありましたが、音作りという観点では複雑になりがちで、より直感的な音作りを志向した音源として開発されたのがLA音源です。

CM-64は、MT-32にSFXを追加したCM-32Lに、PCM音源のCM-32Pを1個の筐体に統合したものです(中にはLA音源の基板とPCM音源の基板が入っているそうです)。PCMはMT-32で使っていない11~16チャンネルを使用します。

更新: 2020/05/25

筐体の特徴

1U 2/3ラックの音源です。のちのDTM音源として一般的なハーフラックサイズより幅が広くなっていますが、幅より奥行きのほうが短いです。表面には音量のつまみ、ROMカード差込口、MIDIメッセージインジケータ(緑のLED)、電源ランプ(赤のLED)、電源スイッチだけのシンプルな見た目です。

ROMカードはSN-U110シリーズを使用します。全部で15種類発売されました。

大きさの比較。SC-88Proは1.5Uハーフラック
大きさの比較。SC-88Proは1.5Uハーフラック

更新: 2020/05/25

音色の特徴

LA音源は128種類の音色が用意されています。LA音源は1音につき最大4パーシャルで、トーン8パートとリズム1パートで32パーシャルまで使えます。但し、実際にはPCMとのハイブリッドになっていて、波形の複雑なアタック部分などでPCMが使われているようです。また、SFXはおそらくPCMです。

  • Acou Piano 1 (LA/1) FM音源の「ピアノ」に似た感じで、ピアノに似ても似つかない音。
  • Elec Piano 1 (LA/4) 一番エレピらしいエレピ。
  • Harpsi 1 (LA/17) 3つあるLAチェンバロの中で一番アタックが強くチェンバロっぽい音。
  • Fantasy (LA/33) のちのSCシリーズでFantasiaとして収録された音の原型。
  • Soundtrack (LA/37) SCシリーズにも収録されたミヨーンという音。
  • Echo Bell (LA/41) シンセブラス的な音とシンセベルの混ぜ合わせでノートオフ時にリーンと音がする。
  • Guitar 1 (LA/60) ナイロン弦のギターに似た感じだが、アタックが弱いか。
  • Guitar 2 (LA/61) スチール弦のギターに似た感じ。
  • Elec Gtr 1 (LA/62) GMのJazz Guitarに近い感じのクリーントーン系の音。
  • Fr Horn (LA/93) ホルンの音は結構似ている。
  • Glock (LA/102) 実物より優しい感じの音。これもシンセっぽい。
  • Tube Bell (LA/103) 似ていない。何かの民族楽器のようだ。
  • Xylophone (LA/104) 木琴の音。雰囲気は合ってる。
  • Koto (LA/106) 元からモジュレーションがかかっている。雰囲気は出ている。
  • Cymbal (LA/120) 結構似ている。FM音源のドラムにも近い。
  • Castanets (LA/121) あまり似ていない。
  • Orche Hit (LA/123) PCM版よりあっさりした印象。
  • Telephone (LA/124) 懐かしい黒電話の音。
  • Bird Tweet (LA/125) ベロシティで音程が変わる小鳥のさえずり。
  • One Note Jam (LA/126) 使用例みたいな感じのフレーズ。ノートナンバーで速さが変わる。
  • Jungle Tune (LA/128) ジャングルっぽい感じの音。何かの民族楽器風。

PCM音源については64種類の音色が用意されていますが、80年代の機材なので多くのメモリを使えません。そのため、1つのパッチをいくつかのトーンで(おそらくフィルタやレイヤーの違い)使いまわしているように見受けられます。PCMは1音につき最大2パーシャルで、6パート31パーシャルまで使用できます。

  • A.PIANO 1 (PCM/1) この当時にしては良い音。PCMだからこそ可能になった。
  • A.GUITAR 1 (PCM/11) ナイロン弦ギターの音です。
  • A.GUITAR 3 (PCM/12) スチール弦ギターかマンドリンの音です。
  • E.GUITAR 1 (PCM/14) ベロシティでミュートとノンミュートの鳴り分けが可能。クリーントーン系。
  • E.ORGAN 2 (PCM/38) ヤマハMU2000のDrawOrg#に近い。
  • E.ORGAN 4 (PCM/39) ヤマハMU2000のRockOrg#に近い。
  • E.ORGAN 6 (PCM/40) M1オルガン的なアタック感のある音。
  • E.ORGAN 8 (PCM/41) E.ORGAN 6と比べて硬めの音。
  • ORCHE HIT (PCM/64) 唯一U-110に無い音。拡張カードのオケヒと重ねて差分を取っても再生速度のせいか重ならない。

PCM音源のプログラムチェンジ65以降はPCMカードの音色が再生できます。これはU-110に無いCM-32Pの仕様です。

更新: 2020/05/25

GM音源との違い

General MIDI制定前の音源なので、General MIDIとは音色の配列が異なります。そのため、GM用のデータは正しく再生されません。但し、MT2GMというデータがローランドの米国サイトで配信されているようで、それを使えば限定的にですがGM用のデータも鳴らせます。

 

電源投入時は、チャンネル2~9がLA音源、10がリズム(LA音源)、11~16がPCM音源となっています。チャンネル1は何も発音せず、MIDI THRUに流れるのみです。なお、MT2GMを適用時は、電源を切るまでチャンネル1~8がLA音源となります(システムエクスクルーシブで変更できる)。

また、注意すべきこととして、GM音源では電源を入れるとバッテリーバックアップから復帰するか、ドラム以外がすべてピアノになるかですが、CM-64ではそれぞれ別々の音色になります。バッテリーバックアップされません。

 

ほかに注意すべきこととして、パンポットの意味がGMと逆になっています。MT2GM適用時は出力を左右逆につなぐといった対策が考えられます。

  • 購入金額

    41,500円

  • 購入日

    2020年05月15日

  • 購入場所

    ヤフオク

11人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (1)

  • けんぼ~^^さん

    2020/05/25

    懐かしいですね。ず~っと昔持っていました。あとエレキギターのカードもありました。
    自分でも打ち込みをしていましたが、どちらかといえば人の作成した音楽データを聞くほうが多かったですね。当時は画期的な音源で、その迫力に驚いたものでした。

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