ドラムを始めた頃に買った元も古い機材の一つ。
当時練習スタジオで練習していたが、高校生でドラムフルセットを買う金はもちろん運ぶ手段もないため、部分的に「人に近いところ」「こだわりがあるところ」のみを買って、ソコだけ交換して練習してた。
ドラムとのインターフェースであるスティックとペダル(左足のハイハットペダルはたたんで持ち歩くのも難しいので右のバスドラムペダルだけでしたが)、バスドラムとともにリズムの最も中心となるスネアドラムといったものをみんな自分のを用意して使ってました。
しかし私が感性的に最もイヤだったのはシンバル。
リズムを刻むハイハットシンバルやトップシンバル(ライドシンバル)はまだ我慢できたが、特にアクセントとなるサイドシンバル(クラッシュシンバル)は材質の音が出やすく、安物かどうかは素人でもすぐ判る。
その上、役割的に小節の頭など区切りの位置でアクセントとして鳴らすシンバルのため、比較的強打されるものであり、さらに音質的な要求で薄く作ってあるので割れやすい。
その結果、練習スタジオにあるクラッシュシンバルはひびが入り変形し、ひどいのになるとこれは風に揺れるモービルか?といったようならせん形の金属のオブジェに過ぎない状態であり、ヤカンのフタの様な音しかしなかった。
それはあまりに感性的に許せなかったので、高校の少ないバイト代つぎ込んで徐々にシンバルだけはそろえていった。
これはその最初のひとつ。
最もオーソドックスなサイドシンバル、THIN CRASH(薄いクラッシュ)。
メーカーはA.Zildjian(Avedis Zildjian)。通称Aジルと呼ばれる鋳造マシンハンマードシンバルの最高峰。
シンバルには職人が槌で打って薄くのばしていくハンドハンマーと機械で打っていくマシンハンマーがある。これはマシンハンマーならではのきらびやかな倍音が残るポップス~ロック向けのシリーズ。
またこれより安いマシンハンマーのシリーズはシート工法と言って、板から丸く打ち抜いた金属をシンバル型にプレスしハンマリングするが、これはキャストブロンズ(鋳造製)で分子構造にムリがかからない分、きれいな音で減衰する。
さらにこの時代のAジルは現在「白抜き」と呼ばれて珍重されている。これより前の年代は社名の刻印がなく、この後の年代は左側にある代表例の写真のように黒い印字となっていくが、この白抜きの時代は時間経過による枯れとこの頃のウエストコーストロック向けに(?)若干柔らかく薄めに作られていることによる丸めの倍音のバランスが良い。現在のものより鳴らしやすく、かつ華のある音色だがそのくせいやな倍音が既に枯れているとメチャいいバランスにある。
ただ前述のようにもともと音色的に薄く作られるクラッシュのしかも薄めのシンクラッシュでこの30~40年間を生き延びたものは多くなく、今ではコレクターズアイテムとして高値で取引が行われている様だ。
素早い立ち上がり、低めのトーン、でもハンドハンマーに比べきらびやかな華のある倍音。
ロックやポップスで通りが良く、その方面のバンドで多用しました。
今でも一番使い勝手のイイヤツです。
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購入金額
25,000円
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購入日
1981年頃
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購入場所
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