レビューメディア「ジグソー」

PC-9821ではデファクトスタンダード的存在

同じSC-UPCIという型番が付いていても、ボードリビジョン毎に基板形状や、時にはSCSIコントローラーの型番が違う製品までが混在しているため、写真通りのデザインではない同製品が多く存在します。

私自身、このボードは少なくとも5枚は持っていたと思うのですが、最初に買ったSC-UPCI-1という枝番のものと、最後に入手したSC-UPCI-7という枝番のものとではもはや別物としかいいようがありません。
初期製品ではコントローラーはSYMBIOS Logic 53C875ですが、後期製品ではLSI Logic 53C870が使われています。もっとも、ブランド名の差はSYMBIOS LogicがLSI Logicに買収されたことによる名称変更でしかありませんが。

一応この製品はUltra SCSI規格のホストアダプターということになっているのですが、実際には内蔵コネクターはUltra Wide SCSIのものも用意されていて、外付けデバイスこそNarrowコネクター製品専用でしたが、内蔵デバイスだけで考えればUltra Wide SCSIのホストアダプターとみることもできます。ちなみに内蔵デバイス向けのコネクター構成が全く同一で、外付けデバイス用のコネクターがWide SCSI向けの68Pとなっている製品はSC-UWPCIという型番が与えられていました。この2製品は外付けコネクター形状を変更しただけの同一製品と見て差し支えありません。

この製品は長く製造を続けられ、当初からPC-9821とPC/AT互換機の双方をサポートするBIOSを搭載していて、その上PC-9821上での挙動も素直で良好だったことから、特にPC-9800シリーズユーザーは好んで使うことが多く、NEC自身が提供していたAdaptec製コントローラーを搭載するホストアダプター以上のデファクトスタンダード的存在となっていました。後に発売されるSC-UPU2やSC-U2PSといったPC-9821シリーズをサポートしたUltra 2 SCSI対応アダプターの安定度もこの製品によるノウハウが大きかったのではないでしょうか。

PC-9821上では32GBオーバーのHDDから起動できないなど、後に弱点が発覚した部分もあるのですが、このボードが主流だった頃の環境ではそれも問題となることは殆ど無く、殆どのユーザーに納得して使われていた名作といえるでしょう。
  • 購入金額

    300円

  • 購入日

    不明

  • 購入場所

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