前述の通り、GPUには同じNV31を採用しているのですが、コアクロック400MHz/メモリクロック800MHzで動作しているGeForce FX 5600 FCに対して、こちらのGeForce FX 5600 PCIはコアクロック300MHz/メモリクロック500MHzと、特にメモリ回りの性能不足が顕著な仕様となっていました。
PC-9800シリーズは標準状態ではAGPスロットを利用出来ず、チップセットも旧世代のものでPCIスロットの速度も遅めであったため、AGP3.0という広帯域のバスに接続することを想定したこの世代のビデオカードでは、カード単体の性能とPC-9800系上での性能とが全く一致しないことがよくありました。例えば、前述のGeForce FX 5600 FCはクロック周波数では上位のGeForce FX 5800と同等であり、PC/AT互換機上ではクラスに見合った性能差が表れるのですが、PC-9800上ではほぼ同等の性能を発揮していました。
しかしPCI版のGeForce FX 5600は特にメモリ側のクロックが低いためか、PC-9800系上で使う限りではむしろ下位のGeForce FX 5200に近い性能しか発揮してくれず、コストパフォーマンスには難がありました。それでも当時としてはPC-9800系で使える最高性能のビデオカードであり、私を含め多くのユーザーが使っていたようです。
その後CHANPON ZERO3-PCIなどが発売されたことにより、AGPスロット用のビデオカードを少し改造してPC-9800系に搭載するのが流行り始め、より多くのビデオカードが利用出来るようになるとこの製品の性能の低さが浮き彫りとなり、いつの間にか使われなくなっていきました。
コストパフォーマンスという意味では劣悪でしたが、当時最新のファンクションを実装していながらPCIスロット用に発売されたこの製品は、AGPと縁がなかった我々にとって大きな希望となっていたことは間違いありません。
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