たまに意味もなく買ってしまうものがあります。それはかつてのハイエンド製品であり、今となってはただのゴミという品です。
昔憧れていても手の出ない価格だったDual Socket 940マザーボードで、安定動作にこぎ着けるまでにかなりの苦労を要するという気むずかしさから「変態an」などと揶揄されていた、TYAN Thunder K8WEです。
当時コンシューマー向けハイエンドとしても投入されていたSocket 940ですが、組み合わされるチップセットの都合上、拡張スロットはAGP+PCIというものでした。しかし、このThunder K8WEは当時の最新チップセット、NVIDIA nForce Professional 2200/2050を採用していてPCI Express を40レーン確保しつつも、PCI-Xスロット×3を用意するなど、プラットフォームの過渡期らしい柔軟な構成が取られています。
メモリースロットは計8本ありますが、これは各CPUソケットごとに4本ずつ割り当てられているという形であり、1つのCPUだけでは全てのメモリーを利用することは出来ません。というのも、この世代からAMD製CPUは、CPU側にメモリーコントローラーを持たせる構造に変わったため、CPUが無ければメモリーを動かすことが出来ないのです。
私は以前Socket 940環境を使っていましたが、あくまでコンシューマー向けハイエンドのAthlon 64 FXの環境として使っていました。もっとも、これも経緯があり、
・Dual Socket 940 M/BのRIOWORKS HDAMB(特売品で4桁価格だった)を買う
・動作確認用CPUとして、暫定的にOpteron 140(Socket 940最廉価の製品で、シングル構成専用)の中古を購入
・RIOWORKS HDAMBが初期不良で返品となってしまう
・CPUを使うためにジャンク品のASUS SK8Vを購入
・その頃急に値段が下がった中古のAthlon 64 FX-51を購入
という流れで完成したものでした。
従って妙に安価に組み上がった構成でありながら、ハイエンドらしい性能を見せつけてくれたという印象が残っています。
ただ、HDAMBを返品した時点でデュアルCPU環境を諦めてしまい、その後現在に至るまでデュアルCPUのPCを新たに組むことは無くなってしまいました。もっとも、現在は1つのCPUにいくつもコアが入っている時代ですから、ソケットの数にこだわる必要が薄れた訳ですが。
その時の後悔が残っていたためか、洒落で済むような金額でDual Socket 940マザーボードを見つけてしまうと、ついつい買ってしまったという訳です。
多分使うことはないがCPUも標準装備
買うときにやけに箱が重かったのが気になっていたのですが、開けてみて納得しました。
既にCPUソケットにはCPUとCPUクーラーが組み込まれていたのです。
残っていたCPUはOPN OSA270FAA6CB、つまりバルク版のOpteron 270です。Opteron 270はSocket 940向けとしては後発のItalyコアを採用していて、90nmプロセスのデュアルコア(クロック周波数2GHz)であり、2プロセッサーを搭載することで4コア環境が構築できるというわけです。今なら4コアは当たり前となってしまいますが、10年以上前には画期的なことでした。
サポートされるメモリーはPC2100/PC2700/PC3200のRegistered DDR SDRAMであり、今なら売られていれば二束三文ですが、滅多に見かけないという仕様のものです。本気で使うのであれば、前述のSK8Vに搭載していたものを流用すればとりあえずは何とかなりますが…。
はっきり言ってしまえば、買ったは良いものの使い道など全くありませんし、実際に活用する可能性など皆無でしょう。昔の思い出で買ってしまったというだけのものです。
ただ、この頃はIntelとAMDがCPU市場で良きライバルとして競り合っていて、ユーザーとしてはそれなりに楽しみがあったものでした。自作PC界が熱かった時代の象徴といえる存在だったのかも知れません。
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購入金額
500円
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購入日
2016年04月17日
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購入場所
Wonder REX
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