宇多田ヒカル。万人の識るシンガーソングライター。彼女との出会いは今も鮮明に覚えている。深夜の天気予報のバックに流れた彼女のデビューシングルのPV。薄暗いセピアタッチの粗い画面に黄色いシングルソファ、低く構えた定点カメラに向かって踊りながら歌う顔立ちのはっきりした少女。その日本人が取りそうもないメロディライン、特にエンドのフェイク部分にガツン、ときた。「洋楽コピーの訳詞曲かな?」と思いながらも、でも最後に出たクレジットを書き留め、当時(ISDNで!)やり始めてたインターネットで早速調べた。
すると...作詞作曲も彼女。そしてあんなクロっぽい曲を書き、歌うのに15歳!!それまで、「アイドル」の年齢だったその歳で本格的な「アーティスト」。
そしてそれからは...彼女は時代を拓いた。10代半ばの少女が歌ったR&B。若さの「今」を切り取った歌詞。オトナの作った歌を歌わされる人形ではなく。自分を表現する力を持ったアーティスト。出会いの「Automatic」は、打ち込みのリズムが硬さと柔らかさを併せ持つ彼女の年代を表しているようだ。シャッフルではなく中抜き3連符と言った風情のちょっと跳ねきらないハイハット、サンプリングが粗いシンバル音、クールなシンセベースのグルーヴ。それに載るのは彼女の日本語を記号化した歌い方。小うるさい音楽家が聴いたら目をむきそうな音節の区切り方♪な/ななかいめのベ/るで~♪♪く/ちびるからし/ぜんと~♪、そして時々挟まれる英単語のホンモノ発音。なにもかも、アタラシイ..この曲はなんと言ってもイチバン。
「First Love」では彼女のブレスがいい。少しかすれたハミングではじまり、MOON CHILDのギタリスト秋山浩徳のアコギに合わせて少し震えた声で歌う。ブレスが、息づかいが彼女の存在を感じさせる。cybercatのカーステチューニングのターゲット曲の一つ。
鳥山雄司が
キレるカッティングを聴かせるファンキーな「甘いワナ ~Paint It, Black」。♪イジワルをされる度に/近くなって行った二人/そんな突然マジメな顔しないで/そんなあなたの巧みなワナに迷い込んだ/無駄な抵抗/love trap♪彼女の等身大の心情が見える。エンディングで自然に、切れ目なくストーンズの「Paint It,Black!!(黒くぬれ!)」に行くところは彼女のベースが垣間見える。
このあと彼女はスターダムを駆け上り、大人になり...そして現在『アーティスト活動』を止めて『人間活動』中。ほぼ12年、自分の生きてきた時間のほぼ半分を「アーティストとして」生きた彼女。いまはちょっと休んで、人間やってます。でもいつかは帰ってきてくれるのを信じてる。彼女はやっぱり、アーティスト、だから...
【収録曲】
1. Automatic -Album Edit-
2. Movin' on without you
3. In My Room
4. First Love
5. 甘いワナ ~Paint It, Black
6. time will tell
7. Never Let Go
8. B&C -Album Version-
9. Another Chance
10. Interlude
11. Give Me A Reason
12. Automatic -Johnny Vicious Remix - (Bonus Track)
Hikki's WEBSITE
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購入金額
3,059円
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購入日
1999年03月10日
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購入場所
makibisiさん
2011/11/12
このCDは、かなり売れましたね~><
cybercatさん
2011/11/12
>もう、10年ですか・・・^^;
15歳だった彼女が、大人になり、結婚して、離婚して...ですからねぇ。
年取るはずです(ヲ
みっちゃんさん
2011/11/12
Goodbye Happinessは車でのお気に入りです~
バツになった女性は、特に魅力的に見える私は変ですかね(笑)
cybercatさん
2011/11/12
>バツになった女性は、特に魅力的に見える私は変ですかね(笑)
そういう女性は自立していることが多いので、輝いていることも多いですしね。
愛生さん
2011/11/12
レンタル落ちで買いましたね。
良く聞いてました。
cybercatさん
2011/11/12
どの曲も新鮮で、聴き応えがありますね!
リンさん
2011/11/16
おぉ~っと思って内容を読んだら・・・素敵なレビュー内容ですね。
音楽系のレビューって自分は出来ないのですが、
勉強させていただきました。Coolです!
cybercatさん
2011/11/16
>おぉ~っと思って内容を読んだら・・・素敵なレビュー内容ですね。
どうもです...テレテレ(^^ゞ
何となく、そのアルバムの/曲のできた背景やそのときのアーティストの状態まで深掘りしてしまうんですよ。
そうするとより興味深く聴けるので...
でもな~んも考えずに、良い音楽に浸る、というのも好きなんですが←矛盾
これからもよろしくです~!