Adaptec ASR-2405 RoHS KIT はminiSASポートを1ポート装備し、miniSASポート→SATAファンアウトケーブルによる内部4基接続(オプションにより最大128基の接続)に対応したRAIDカードのローエンドモデルだ。
標準では一般的なPCケースに設置するためのブラケットが装着されているが、小型PCケースにも対応出来る基盤サイズであるので、ロープロファイル用ブラケットも付属している。
PCを構成するパーツの中で、現時点において速度面の最大のボトルネックは言うまでもなくHDDにアクセスする事だというのはヘビーユーザなら誰もが感じる事であろう。
職業柄PCを使って巨大な画像ファイルを扱う事が多く、常々この点を回避し少しでも快適に作業をする環境を構築したいと考えていた。
ベンチマークや実際の組み込みにおいてどうであったか等のレビューは他の方々にお譲りし、自分が普段行うPhotoShop、AfterEffects、ComicStudio、SAI、等々の画像ファイルを扱うアプリケーションでの使い勝手や効果等について自分なりに書いてみたい。
SUPER TALENT FTM32G225Hを4台でRAID0(ストライピング)にて使用。
結果から書くと、各アプリケーションの起動、動作など一定以上の効果がある。
2世代以上前のマザー、CPU(AMD Athlon64x2 5200+ ASUS M2N-SLI Delux)との組み合わせで使用し、いまだに使い続けられるレベルの速度を維持している。
PhotoShopやAfterEffectsはPCにインストールされたフォントや、外部プラグイン等に応じて起動にかかる時間が長くなってゆくが初回起動時でも30秒~40秒で起動が完了する。
オンメモリで作業が可能な状態であれば、現行のPCと比較しても作業時に感じるストレスはほぼ無く、5年近くもの間使い続けられたのはSSDによるRAID0環境の構築による所が極めて大きい。
だが、長い事メインを張ってくれたこのPCも様々なところにガタが来はじめており、いよいよ世代交代をする事になるのだが、それはまた別のお話…
話をRAID(このレビューにおいてはRAID0)に戻そう。
当初RAIDカードを使用して環境を構築するのか、あるいはマザーに用意されたRAID機能を使うのかで迷ったわけなのだが、既にマザーのSATAポートは6ポートのうちの5ポートまでを消費していた。
大容量のHDDを用意してデータを逃がす事も考えられたが、膨大なデータの整理や、そもそも重要データのコピーにかかるであろう時間等を天秤にかけ、最小の手間で行けると判断した本機を使用してRAID環境を構築する道を選択した。
先にも書いたように動作上これといった不具合は無く、日々快適に環境を維持し使い続ける事が出来ていたのだが、仕事に使用し続けて2年ほどで度々BSoDの症状に悩ませられる様になった。
これは後々SSD本体の描き込み上限によるものだと判明するのだが、丁度このトラブルが頻発しだした時期に仕事に忙殺される日々が続いた。
このとき大変役に立ったのが、本機のBIOSに搭載されたSecure EraceとRAID0環境の書き込み速度を生かしたバックアップからの環境復元だった。
これまでトラブルに見舞われた際には、システムドライブを新しいHDDに交換しOSからクリーンインストールを行う事で半ば強制的にOS環境のリセットを行ってきた。
これはこれで時期に合わせた必要アプリの取捨選択や、環境のスリム化などの副産物的メリットがあったわけだが、忙殺される中システムの再構築など時間をそうそう割ける訳もなく、SSDの状態を初期状態に戻すSecure Eraceに賭けてみたのだ。
これは自分のPC歴の中で、持論として確立したものだがシステムドライブは小さい程良い(不要なアプリは極力インストールしない)という考えを持っている。
この時メインとして使用していた環境はおよそ40GB程度、使用していたOSはWindows7 Ult、システムドライブのバックアップは外付けのHDDに逃がしていた。
この時バックアップからシステムの復元までに使用した時間はおよそ20分。
忙殺されていたものの、この短時間でシステム復元が出来る事を発見出来たのは大きな収穫だった。
繁忙期を何とか乗り切り、胸をなで下ろしたのを良く覚えている。
そして開眼する「壊れたら最新の状態(あるいは最新に近い状態)に手早く戻す」である。
あれこれ原因を究明するのは時間がある時にすれば良い、読み書きが高速な環境になったのならば、とりあえず元に戻してしまえばよいのだ。
この事に気付いてから、万が一不測の事態が起こった時に出来るだけ最新の状態に巻き戻せる様にシステムバックアップを取る頻度が上がった。
今ではおよそ月に2回の頻度でバックアップを行っている。
これまでもシステムバックアップは定期的に取っていたが、2ヶ月に一度といった頻度だった。
RAIDカードのレビューというよりも、RAID0環境における使い方の変化のような記事になってしまったが、この気づきを与えてくれたのは間違いなく本機である。
今現在ではこのカードを選択する理由は無く、後継機を選択すべきだ。
特別な理由が無い限り現行マザーが持つRAID機能だけで十二分に早さは体感できる。
もちろんミドルクラスよりも上位のRAIDカードを選択すれば、より大規模のRAIDシステムを組むことが出来るし、マザーの機能により実現する以上の速度を求める事も出来る。
長らくメインシステムを受け持ってくれた本機は筆者がRAID環境と付き合う上での色々なことを教えてくれた。
RAID環境の入り口としての役割を十二分以上に果たした、思い出にも残る製品なのである。
一世代以前のSSDを使用しているならば導入の価値はある
が、本文にも書いている通り現状ではわざわざこの製品を選んで使うメリットは無いに等しい。
同等クラスの新世代品を探すべきだ。
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購入金額
27,000円
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購入日
2008年05月頃
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購入場所
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