レビューメディア「ジグソー」

3枚のRAID-0構成で快適動作。

初期のSSDではなかなか避けることができなかった「プチフリ」を心配することなく使えるようになった次世代SSDの草分け的な存在のSSDです。

SSDに換えたことで、パソコンの起動時間が大幅に短縮されるわけではありませんが、ウィンドウズにログインしてからの処理速度の速さ(常駐アプリの立ち上がりなど)には目を見張る物があります。メモリを8GB搭載してRAMDISKとして利用し、仮想ディスクやTEMPファイルを移せば、非常に快適なパソコンに大変身します。一度SSDの快適さを味わってしまうと、HDDには戻れなくなります。とはいえ、まだまだSSDは高価なデバイスですので、OSはSSDに、データはHDDに、といった具合に使い分けるのが妥当な使い方でしょうね。

私は最初からOSをインストールしてシステム用として使うことを想定していたので、容量は少なくても十分と考えました。しかし、速度の面では60GBや120GBを単体で使用するよりも、小容量なSSDを複数台にし、RAID-0で使用した方が有利と考え、 120GBではなく30GB×3個を購入することにしました。実際には30GBもあればOSは十分入りますが、少なくとも倍以上の容量はみておいた方がいいと言われているので、十分な余裕と、台数を増やすことによるRAID-0の速度向上を狙いました。

私の場合、30GB×3のRAID-0構成で概ね下記の速度となっています。

シーケンシャル
Read:330MB/s
Write:280MB/s

ランダム512KB
Read:320MB/s
Write:260MB/s

ランダム4KB
Read:25MB/s
Write:35MB/s

参考:
SSD:Vertex30G×3 RAID-0
CPU:Core2Duo E8500@3.5GHz
MB:GIGABYTE GA-EP35-DS3R
MEM:DDR2-800 8GB

余談ですが、RAID-0による高速化はSSDの台数を増やすほど有利になりますが、実際の読み出し速度は5台以上でほぼ頭打ちになる傾向が見られるそうです。ですから、実用的には6台以上でRAID-0を組んでも、費用対効果は落ちていくことになるとのこと。詳しくは「日経WinPC」の4月号で特集されています。


しかし、このSSDもいいことばかりとは言えず、SSD独特、またVertexシリーズならではのいろいろな「クセ」があることがわかってきました。特に顕著に表れたのが、「ファームウェアのバージョンによって性能(速度)が変わる」ということと、「一旦、容量一杯にデータを書き込んでしまうと、読み書きの速度が落ちる現象が生じ、それはデータを削除してもフォーマットをしても改善しなくなる」といったものです。つまり、使い込んでいくうちに性能の低下が生じる恐れがある、ということです。

これは、ファームウェアを最新の物に書き換えれば解決するようなのですが、当然ながらファームウェアの書き換えをしてしまうと中のデータは消えてしまいます。従って、事前にバックアップソフトを使ってクローンのディスクを作成しておく必要があります。バックアップソフトはRAID構成に対応していないものもあるので、購入の際にはよく吟味する必要があります。参考までに、私はアークソフトの「HDD革命 CopyDrive Ver3」を使用しましたが、問題なく動作しました。

メーカーサイト
http://www1.ark-info-sys.co.jp/products/hdcd3/index.html

ダウンロード版販売ページ
http://www1.ark-info-sys.co.jp/online/l3/vcms3_00000163.html

とにかく、このVertexシリーズに限ったことではないですが、SSDの性能をフルに引き出すためには、HDDとは全く違ったSSDならではの予備知識をあらかじめ学んでおく必要がありそうです。私自身、ファームウェア書き換えの手順を覚えるのに四苦八苦しました。ファームウェアの書き換え時は、接続部にあるジャンパピンをショートさせる必要があります。ジャンパピンも、普通の大きさではなく、一回り小さなものなので、念のためジャンパピンを調達しておいた方が良いかもしれません。

システムドライブをSSDにすると、速度がHDDとは全く違う次元で、アプリケーションの多くが一瞬で起動してしまいます。もちろん、HDDのようなカリカリといった動作音も全くありません。発熱もありません。

パソコンの起動も、BIOS処理中の速さはHDDと無関係なので変わりませんが、Windowsにログオンした後のスピードには目を見張る物があります。とてもきびきびと動く快適なパソコンになりました。とにかく、何をするにもHDDの「カリカリ」という音を聞きながら処理待ちを強制されるということがありません。今のパソコンにとって、HDDの存在が性能向上における大きな足枷となっていたことは、もはや疑う余地がありません。(もう、HDDにOSを入れることは2度とないでしょう)

SSDはまだまだ本格的に出回り始めたばかりの段階であり、システムへの導入に際してはなにかとトラブルが多いですが、あと何年もしないうちに、SSDを標準装備したパソコンが常識になっていくのではないかと思います。現段階でSSDに手を出した我々ユーザーの苦労が反映されていくわけですね。

扱いが微妙に面倒なのでパソコン初心者の方には全くお勧めできませんが、BIOS書き換えの経験がある自作歴の長い方なら、挑戦してみる価値は十分にあると思います。




2010/03/23 追記

プレミアムレビューにSSDが登場したようなので、
思い出したように追記することにしました。

使い始めて1年になりますが、ケーブルの接触不良によるデータの破損や、誤って大量のデータをSSDに書き込んでしまい、著しい速度低下を招いた、などの理由で、数回ほどファームウェアの書き換えを余儀なくされました。何度やってもこの手順は面倒です。

(XPの場合)
0,予めシステムドライブをバックアップソフトでHDDにバックアップ。
1,BIOSまたは「Intel Matrix Storage Manager」によりRAIDを解除。
2,BIOSでRAIDモードからIDEモードに変更。
3,SSD本体にジャンパピンを接続。手順0で作成した起動ドライブで起動。
4,SSDが「YAPADONG BAREFOOT-ROM」というドライブ名で認識されることを確認。
5,OCZのサイトから入手したファームウェアを専用ツールで書き換え。
6,書き換えが成功したらジャンパピンを外して再起動。
7,BIOSでIDEからRAIDモードに変更。
8,BIOSまたは「Intel Matrix Storage Manager」によりRAIDを構築。
9,手順0でバックアップしたデータを同ソフトで書き戻し、再起動。

とりあえず、今のところはどんなトラブルが発生しても、ファームウェアを書き直すことにより正常に使うことができています。現時点での速度は上の右の写真のとおりです。

若干、速度の傾向が変わっていますが、
体感できるほどの変化ではありません。

なお、SSDをケースの中に設置しているわけですが、2.5インチのベイを3つ確保するのが面倒なため、3枚のSSDをテープでまとめてケースの隙間に押し込んでおく、という大胆な設置をしています。特にそれによる不具合は発生していません。




なお、意外な盲点ですが、このVertexではラッチ付きのSATAのケーブルは使わない方が良いです。ラッチの爪のかかる穴が開いていないので、いとも簡単にケーブルが抜けてしまいます。ラッチなしのケーブルを推奨。

余談ですが、パソコンに接続したVertexは、内部で青いLEDが点灯することを最近になって知りました。金属製のカバーで内部が全く見えない構造なので視覚上の効果は皆無ですが、アクリルのスケルトン仕様だったら面白かったかもしれません。

これ、何のためのLEDなんだろ????





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  • 購入金額

    14,580円

  • 購入日

    2009年03月頃

  • 購入場所

    ドスパラ

17人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (19)

  • GORO助さん

    2010/04/05

    Ganemeさん、COOLありがとうございます。
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