ここまで『ミステリー』のパーツのみでゴテゴテに固められた、ペダントリー作品は初めてです。
(ミステリー外のパーツを含めるなら、黒死館があり、あれは突出しすぎてついていけない)
ですが同時に、これは三大奇書に追いつけない絶対的な差も感じてしまいました。
つまり、あまりにも三大奇書が偉大すぎるという事を再認識できたからです。
これは三大奇書に対するオマージュで凝り固まっています。
特に「虚無」への傾倒が強く、随所にそれを読み取ることが出来ました。
若者だけが持てる粘着力というか、熱意というか、そういったものが文の端々からあふれ出ていましたね。
前の章が小説であるという形で次から次へと入れ子状の形式になっていて、どちらが現実でどちらが小説の世界なのか分からなくなる目くらましてきな効果が大きな特徴だと思います。
また、文のいたるところで、物理学のネタを使って読者を理解不能の世界へ引きずり込もうとしていますが、いかんせん、中の人はそれなりの基礎を学んでいるので微妙だなぁと感じました。
書かれた年代を想定すると、当時としてはかなり画期的な内容だったかもしれませんがねぇ。
今のところ何冊かの「奇書」を読んできましたが、やっぱりこの作品は特別だと思います。
五冊目はまだ現れていませんが、それが出てくるのを楽しみにしています。
そうして、また楽しい世界へ僕を引きずり込んで欲しいです。
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購入金額
1,260円
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購入日
2008年頃
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購入場所
どこかの本屋さん
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