レビューメディア「ジグソー」

PHILIPSが提案する良質な音楽がある暮らし...「フィリップス オーディオ製品 記者発表会」

先日レビューさせていただいたセミオープン型ヘッドホンPHILIPS Fidelio L1。

その品格あるたたずまい、開放的な音場と緻密な情報量を両立した音質、それでいて重さも過剰ではなく、「音楽に包まれる」感覚のヘッドホンだった。そんなヘッドホンをレビューしたzigsowメンバーが、PHILIPSの新製品発表会に招待された。そこでその新製品に触れた感触と、PHILIPSのフィロソフィーとでもいおうか、彼らの製品群に一本通った「筋」を感じることができたので、レポートする。
時は2012年12月14日。冬とはいえ、気持ちよく晴れ上がったその日、六本木は東京ミッドタウンでその発表会は催された。
気持ちよい、冬の日。
気持ちよい、冬の日。
そのミッドタウンのガレリア内ガーデンテラス4階にある“Billboard Live TOKYO”がその発表会の会場だった。

“Billboard Live TOKYO”。「すべての夜を音楽という名の伝説に変える」というBillboard Liveの東京店。そのライヴスポットとPHILIPSのタイアップにより、“Soundrium 2012”が2012年12月2日~15日にかけて行われていた。そこにはPHILIPSのオーディオ分野におけるエポックメイキングな名機の数々の展示、あるいは最新のヘッドホン・スピーカーなどを体験できるコーナーが設置されていた。
PHILIPSのオーディオを語る際に忘れてはならない名機がずらり
PHILIPSのオーディオを語る際に忘れてはならない名機がずらり
ここでPHILIPSのオーディオについて少し。PHILIPSはオーディオ分野、特にフォーマット策定時には重要な役割を果たしてきた会社である。オランダに本社があるこの会社は、カセットテープ(コンパクトカセット)、「絵の出るレコード」レーザーディスク(レーザービジョン)、CD(コンパクトディスク)という1970年代、1980年代、2000年代に、それぞれ民生用録音機、高画質映像再生機、音楽再生機に使われたフォーマットの提唱社・策定社として知られている。

日本では近年は電動歯ブラシやシェーバーといった衛生用品やCTなど医療器具という分野での知名度が高く、PHILIPS=オーディオというイメージが低いかも知れないが、実はかなり歴史を持ったオーディオブランドでもあるわけだ。その源流は1927年のラジオ。会場にも1932年製の630Cが飾られていた。
630C。木のぬくもりが感じられるラジオ。
630C。木のぬくもりが感じられるラジオ。
そのボディには現在まで使われ続けているPHILIPSのロゴ下のマークが刻まれていた。
ボディに刻まれていた波と星のマーク。
ボディに刻まれていた波と星のマーク。
波は電波を表し、星は電波が放たれた夜空を表すというロマンチックなこのマークは実に80年以上も使われているわけである。

他にも世界初のカセットレコーダーEL3300、
後継機が「スパイ大作戦」のミッション伝達にも使われたという
後継機が「スパイ大作戦」のミッション伝達にも使われたという
1983年の初代CDプレ-ヤーCD100
トップローディングスタイルが懐かしい
トップローディングスタイルが懐かしい
が展示され、PHILIPSオーディオの歴史と技術力を知ることができた。

会場はその展示があるロビーから入るライブスペースだった。
我々zigsowのメンバーにも他の記者と同じプレスリリースの入った袋と、zigsowからは注意事項やレビュー内容の指示が書かれたファイルをうけとった。
プレス用配付資料
プレス用配付資料
その際、zigsowのロゴと各メンバーの本名が書かれた名札も渡され、この発表会がオフィシャルなものである事が実感された。
zigsowからの資料と名札
zigsowからの資料と名札
受付ロビーから階段を下ったところにあるステージには前夜から引き続きその夜もここでライヴを行う杏里のセッティングがそのまま残されていた。
ライブステージがそのまま発表会場となっている。DrumsはYAMAHAですな←スキモノw
ライブステージがそのまま発表会場となっている。DrumsはYAMAHAですな←スキモノw
会場には他のPHILIPSオーディオ製品の展示もあった。デザインが秀逸な作品群はメカメカしておらず生活に溶けこんでいけそうだ。
これでもスピーカー??DS3880W
これでもスピーカー??DS3880W
トースターではない、iPhoneのドック装備のスピーカーw
トースターではない、iPhoneのドック装備のスピーカーw
また我々がレビューしたL1の上級機種、「Fidelio X1」の展示もあった。
残念ながら試聴はできなかった
残念ながら試聴はできなかった
発表会は粋に始まった。サックス他フルートやギターもマルチに演奏する石川周之介によるテナーサックス独奏。ライブステージの音響がよく、マイクレスの生音だったがとても豊かな音の演奏だった。これから始まるプレゼンテーションへの期待が高まる。
会場内にテナーが心地よく響き渡った
会場内にテナーが心地よく響き渡った
演奏後そのまま発表会へと移行した。

まず、「フィリップスのコンシューマーライフスタイル事業について」と題して、コンシューマーライフスタイル事業長の稲原薫さんから、PHILIPS社の歴史や事業分野、2009年フィリップスの日本でのオーディオ分野への(再)参入という歴史?説明から今年のSoundriumイベントでの取り組み、さらには来年のテーマ「プレミアム&ワイヤレス」について説明があった。
会場が暗くて上手く写りませんでしたorz(稲原さん申し訳ございません(m_m))
会場が暗くて上手く写りませんでしたorz(稲原さん申し訳ございません(m_m))

続いて登壇したのが、同事業部のマーケティングマネージャー佐野泰介さん。稲原さんの説明を引き継いで、PHILIPSの2013年のテーマ「プレミアム&ワイヤレス」を深掘りしていく。ヘッドホンの利用シーンから、デジタルフレーヤーへ言及、その利用シーンとしてスピーカーの購入、Bluetoothスピーカーの市場の広がりへと話をすすめた。そこで彼が紹介したのが、本発表会のキモの製品、Bluetooth接続ワイヤレスポータブルスピーカー「P9」。
佐野さんが左手に持っているのが「P9」
佐野さんが左手に持っているのが「P9」
佐野さんは軽々と持っているが、このスピーカーは実際1.3kg。モバイルPCと大差ない重さだ。そしてサイズは幅287mm、高さ125mm、厚さ55mm。ちょうどA4用紙が綴じられる厚手のリングファイルを縦半分に割ったくらいのコンパクトさだ。
躯体はかなりコンパクトだ
躯体はかなりコンパクトだ
このスピーカーは「充電式」「Bluetooth接続ワイヤレス」スピーカーであることが最大の特徴だ。

「充電式」ということはこのスピーカーを室外に、屋外に連れ出せることを示している。また「Bluetooth接続ワイヤレス」ということはスピーカーと再生デバイスの間には何の結線もいらない、ということ。

つまりBluetooth接続可能な再生デバイス(例えばiPhone)と「P9」があれば、どこでもみんなで音楽が楽しめる、ということだ。
うっすらとスピーカーが透けて見える
うっすらとスピーカーが透けて見える
そしてこのスピーカーは構造にも特徴がある。フロントに左右3つずつのスピーカー(詳細な説明はなかったが図解からすると片チャンネルあたりツイーター1、中~低音担当ウーファー2)と背面に低音担当スピーカー(wOOx)1をもつ計8スピーカー構成(↓クリックで拡大できます)。
ツイーターは3/4インチ、前面ウーファーは2インチ×2
ツイーターは3/4インチ、前面ウーファーは2インチ×2
そしておもしろいのはそのデザイン。2色用意されるが、定番の黒はアルミの素材感を生かした(飛行機にも使われるアルミ合金とのこと)サンド風加工がされたガンメタリックボディにサイドにはエボニー調のウッドが貼られる。それにダークブラウンの手縫い本革のカバーがつく。
黒と深い茶色のコントラストがシック
黒と深い茶色のコントラストがシック
白い方はサイドのウッドもメイプル調の明るいものでレザーカバーもベージュとコーディネイトできている。
白はファッショナブルな装い
白はファッショナブルな装い
そしてこのスピーカーの特徴はそのレザーカバーがスタンドとなること。カバーがスタンドを兼ねるのはiPadなどでも見られるアイデアだが、「P9」はそのカバーの形状で積極的に音質コントロールしよう、という点がおもしろい提案だ。裏側の低音専用スピーカーの前の空間を広げたり狭めたりすることで音質を積極的に変えてやろうという試みだ。
スタンダードポジション。低域から高域までバランスのとれたサウンド。
スタンダードポジション。低域から高域までバランスのとれたサウンド。
低域を増強するポジション。背面の低域スピーカーの前に広い空間を作る。
低域を増強するポジション。背面の低域スピーカーの前に広い空間を作る。
ボーカル強調ポジション。背面スピーカーは全閉。
ボーカル強調ポジション。背面スピーカーは全閉。
そしてPHILIPSのオーディオ製品を評価するのは、色々な計測器によるスペックだけでなく、最後は人間なんだ、ということ。つまりゴールデンイヤーと呼ばれる訓練された人達の耳で決める、ということの説明があって、この「P9」は88%のゴールデンイヤーたちが優位性を認めた商品である旨の説明でプレゼンテーションは終了した。

続いて、古くからPHILIPSのテクニカルアドバイザーを務めている、コムラッド株式会社代表取締役の森下尚紀さんを招いて佐野さんとのトークショーが始まった。
PHILIPSオーディオとP9について熱く語る森下さん(中央)と佐野さん(右)
PHILIPSオーディオとP9について熱く語る森下さん(中央)と佐野さん(右)
CDというデジタルデバイスが出てきてから音楽を聴くことが一部のマニアの「儀式」だった状態から簡単に若い世代まで楽しめるようになったこと、今回の「P9」が久しぶりに自分でお金を出して買いたいとまで惚れ込む製品であったことが語られた。そして先ほど触れられた「ゴールデンイヤー」は世界で46人しかおらず、シンガポールや香港、アメリカやヨーロッパで様々な人種によって構成されるこのゴールデンイヤーたちに認められたPHILIPSの考えるいい音を提供したいというフィロソフィーで「P9」をはじめとするPHILIPSオーディオ製品は作られていることが説明された。

これらの説明で高まる期待。ここで左右のカーテンが開けられ、そこに設置された複数台のP9があらわになり、試聴タイムとなった。

音を聴いて驚いた。いくつかの試聴曲が用意されていたが、最初は秦基博の「アイ」、それも「弾き語りVersion」。一本のギターをつま弾きながら感情を込めて歌う秦。彼の声が近い。特にギターは「そこ」にあった。とてもリアル。
生楽器の驚くべきリアルさ
生楽器の驚くべきリアルさ
次のボイスパーカッションを含むコーラスをバックに始まるアメリカンロック、男声女性のハーモニーと王道8ビートが気持ちよいGlee Castの「Don't Stop Believin'」も彼らがそこにいる感じだ。
このスピーカーの後ろの闇に彼らがいるのでは、というリアルさ。
このスピーカーの後ろの闇に彼らがいるのでは、というリアルさ。
30cm幅のワンボックススピーカーなので、いわゆる左右の分離を追求するとかドスドス来る低音がスゴイとかという様なキャラクターではない。ふわっと包まれる空気感と鮮明なリアリティを持った音。そう同ブランド「Fidelio」のヘッドホン、「L1」

と通じる薫り。これがPHILIPSの考えるいい音、か。そしてBluetooth接続ワイヤレススピーカーという比較的ハイテクな?スピーカであるのに対して電気的な音質補正機構(トーンコントロールやイコライザなど)は持っていない。しかし前述の3ポジションで見事にボーカルが前に出たり、ベースの胴鳴りが増強されたりする。

使い込んでいる森下さんに話を伺うとベース増強ポジションにして後ろにタオルを入れるだけで音の調節ができたり、ウッドブロックを下にかませるだけで音の通りの変化が楽しめるとのこと。
タオルを後ろの空間に入れると音が締まる
タオルを後ろの空間に入れると音が締まる
ウッドブロックをかませると音が立つ
ウッドブロックをかませると音が立つ
実に楽器的なスピーカーだ。タオルの効果はおもしろく石川さんの前日のリハをICレコーダーでとっただけ、という生に近い音をサンプルに聴かせていただいたが、ベース増強ポジションにしてテナーの響く管の音を聴いているときにタオルを入れると、スッと重心が上がりリードの音の方が優勢になる。でもこれでもスタンダードポジションよりも下がでている音色で、「P9」の調整幅の広さを感じた。結構「これる」オーディオ機器なのだ。

一方、1回約3時間の充電でおよそ8時間のバッテリー駆動ができて、軽量コンパクトなボディ、本体に付属するカバーだけで設置ができ、必要ならば他の機器へUSB給電もできるというその可搬性からは、どこへでも高音質な音楽が連れ出せるというライフスタイルも描ける。肩肘張らずに、「P9」をリュックに入れて持ち出し、自分のiPhoneに入っているお気に入りの音楽を仲間たちと聴く、そんな生活もイイ。

良質な音で好きな音楽を好きなライフスタイルで楽しんで欲しい、ということか。

試聴に供された曲を見てもそれはわかる。
前述の「アイ」と「Don't Stop Believin'」のほかに用意されていた曲は
・「Last Forever」/Eric Goldman
・「Come Away With Me」/Norah Jones
・「ハロー・ハロー」/Superfly
・「Tell Your World」/livetune feat.初音ミク
・「Rags To Riches」/ Mark Cousins/Adam Saunders
・「Mine」/Taylor Swift
・「マイ・ラグジュアリー・ナイト」/井筒香奈江
...ロックからテクノ系、バラードからボカロ曲まで。全くもって傾向はない。でもどれもが楽しい。そんなスピーカーだった。
cybercatが森下さんとお話しをしている間に、zigsowの他メンバーは佐野さんを囲んで意見交換をしていたのでそこに合流、P9への質問とともにレビューさせていただいた「Fidelio L1」への質問や要望もさせていただいた。耳パッドの交換に関しては残念ながら現時点ではメーカー送りしかないが必要性は把握しており今後の課題とは認識していること、cybercatが感じた能率の低さなどに関してももう少し大きな音で楽しめるような設計も必要であるという認識はお持ちであるなどとのお話しを聴くことができた。

zigsowメンバーは発表会中は発言を控えていたので、佐野さんと対面で直接意見が交換できて発表会を「聞くだけ」の立場から、取材するという感じになったかな?
最後まで残って話を伺っていたが、時間となり退出する我々にうれしいお土産も用意されていた。
4つのイヤホン
4つのイヤホン
2種4つのイヤホンが入った袋が渡されたのだ。一つはフィリップスとオニールのコラボモデル、 140kgの力に耐えられるタフなメタルボディのSHO2205。あとひとつは6色のカラーバリエーション、SHE3590が3色3個。


....またあのエージングの日々と比較試聴の荒行が...?(^^ゞ(^^ゞと思ったが、期限はない、とのこと。でも、今回示されたPHILIPSの世界をもう少し深掘りしたく、これらのイヤホンを開封する日も近いことが予感された。

今回は株式会社フィリップス エレクトロニクス ジャパン様のご厚意で、新製品発表会を本職の記者に混じって聞く、という得がたい経験ができた。そこで示された新製品「P9」の音の良さと楽しさはPHILIPSの提案する良質な音楽のあるライフスタイルとマッチするものだった。またこの発表会は普段顔を合わせることのないレビュワー同士の出会いの場でもあった。そんな素敵なセッティングをプレゼントしてくれたzigsow事務局とこの記事を最後まで読んでいただいたzigsowerの方に感謝いたします。ありがとうございました。

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本記事の一部が、ITライフハックやガジェット通信にダイジェスト転載されました。


2013/01/10 記事転載情報追加

コメント (10)

  • リーダーさん

    2012/12/19

    まさかお土産までもらえるとはっ、ですねw
    楽しそうでなによりです(^^
  • harmankardonさん

    2012/12/19

    想像以上の内容で,ビックリしました.

    貴重な体験でしたね.
  • makibisiさん

    2012/12/20

    レビューお疲れ様でした!^^

    トップローディングとか、懐かしいですね。w

    会場の楽しさが伝わってくるようです。
    お土産も嬉しいですね。>w<b
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