Fidelio L1に引き続きレビューするのは、同じくPHILIPSより発売されているSHE7000WT/98。ドッキングスピーカーを手がけるFidelioブランドから出されたL1とは違い、PHILIPS本家から発売されているものだ。
数あるPHILIPSイヤホンラインナップのなかでも、エントリーモデルと位置づけされるもの 実売価格も1500円前後とリーズナブルな価格。
今回はこのSHE7000WT/98を普段から使用しているインナーイヤーヘッドホン、Victor FXC71と比較しながら外見,音と共にレビューしたいと思う。
図らずも同じ白色・同じカナル型のイヤホンとなった両者。
耳により固定されるよう大きめのパーツがついているFXC71と比較すると、かなりシンプルなカナル型のSHE7000。
ボディは両者ともつやのあるパールホワイトで、金属パーツががむき出しとなっているFXC71に比べるとよりシンプルなデザインだ。
しっかり耳に固定される為のパーツが付属するFXC71に対しイヤーピースが耳穴にはまるだけのSHE7000だが、密閉性・またズレなさにはほとんど問題はない。
それこそコードが何かに引っかかった際にも耳から取れないFXC71はある意味ズレ無さは完璧なのだが、逆につけたり外したりといった事が多いシチュエーションでは着脱の楽なSHE7000は便利だろう。
着脱可能なイヤーピース(L,M,Sが付属 上の写真ではMを装着済み)を取り外すと、シンプルさがさらに見て取れる。
"耳深"と称し耳の深くまでユニットが伸びているFXC71に対し、一般的長さなユニットのSHE7000。耳にはまる部分はイヤホンのユニットではなくイヤーピースでほとんどカバーしているので柔軟性が高く、着けやすく外しやすい。
さてイヤホンの真骨頂、音楽を聞いてみよう。
ここでは家ではなく外出先で聞くことを想定して、16GBのメモリを搭載し高音質なFLAC音源な再生も可能なポータブルプレーヤー、iriver P8に接続しよく聞いている音楽を聞いてみたい。
音源はCDを所持/レンタルしたものはリッピングしてロスレスのFLACにエンコードしたもの、ボーカロイド曲はニコニコ動画の"音楽ダウンロード"にてダウンロードしたものをそのまま再生している。今回使用した曲はMPEG4-AACコーデックの物だ。
様々なジャンルを聞いているので、それぞれの曲/ジャンルごとのレビューとしたい。
1.Aya Hirano - FRAGMENTS
好きな声優/ミュージシャンの一人、涼宮ハルヒ役などで有名な平野綾の3rdアルバムより、FLAGMENTS。
ドンシャリともかまぼこ型とも言いがたいバランス型のFXC71は、その性格な通り低音から低音までとても透き通った音が出ている。L1のレビューで登場したSRH840の様に低音は粒が揃っていてとても聴きやすい。
さてSHE7000はどうだろう。
この曲はイントロから低音(ドラムンベースというのだろうか)が響くのだが、おっ?と思えるような低音が響いた。あまり低音重視というものを好まずFXC71をはじめバランス型なイヤホンばかり聞いていた所為か、イヤホンでこんな低音が出るのか!と少し感心してしまった。
かと言って高音も聞き取りづらいレベルではなく、粒が揃っていてボーカルの声をはじめエレクトリカルな音もとても聴きやすい。
2.niki feat.Lily - WAVE
最近好きなボーカロイド曲の作り手、nikiさんのLilyを使用した曲の一つ。
この曲もまたドラムンベースが響くノリの良い曲で、SHE7000ではその低音の良さが存分に発揮された。高音のボーカルの音を潰すことなく響くドラムンベースは、聞いていてとても楽しい。サブウーファーを通して聞きたいこの曲も、このイヤホンなら過不足ない低音で満足に聞ける印象だ。
逆にFXC71はというと、透き通った音は相変わらず。まんべんなく、それでいて色々な音が聞けるのはSHE7000とはまた違った楽しさだ。
この曲の様な低音が響く曲では少々物足りないが、それでも綺麗な音が低音の少なさを打ち消せるほど粒が揃っていて、聴きやすい音ばかり。
3.EVANGELION 3.0 YOU CAN(NOT)REDO.
L1のレビューにも登場した、映画 ヱヴァンゲリヲン新劇場版Qのサントラより、"Quante Mains"。ピアノ連弾が美しい曲だ。
SHE7000で聞いたあとFXC71で聞いてみると、こんなにFXC71って高音の鋭さが無かったかな?…という印象を受けた。
再度SHE7000を聞いてみると、FXC71全く引けをとらないピアノの音の鋭さ 出の良さが聞けるのだ。解像度 色々な音が聞けるという点ではFXC71が一枚上手なのかもしれないが、聞いていて綺麗だなーと思えるのは間違いなくSHE7000だ。低音が強いSHE7000だが、ピアノの低音も不自然に響くことはない。
私の音楽環境、L1,SRH840,FXC71,ステレオスピーカー+サブウーファーのスピーカー環境,そしてSHE7000と聴き比べてみても、この曲に至っては過大評価抜きにこのSHE7000が一番いいのではないかとも思った。そのくらいピアノ曲の高音の綺麗さ低音の出方は評価できる。
以上、SHE7000WT/98をFXC71との比較をメインにレビューしてみた。
なにより印象に残っているのは、音レビューの最後,連弾ピアノ曲の美しさだ。
こんな篭った音(FXC71)で聞いていたのか…と少し考えを改めさせられたほど、とても楽しく聞くことができた。
全体的にい言えば音の解像度,色々な音が聞こえるという点ではFXC71が上手という印象だが、低音の迫力さらにピアノ曲に代表される様な高音の出方は低価格なエントリーモデルながら全く馬鹿にできない。
今までこの値段帯で低音重視なモデルというと、ひたすらに低音ばかり出しゃばって高音が聞きづらいというイメージがあったが、このイヤホンではイメージを覆すほど綺麗な高音を聞くことができた。
やはりいいイヤホン,好みのイヤホンというのは、色々な物を聞いてみて見つけることができる、まさに一期一会な物だなと感じた。
今回はレビュアーに選出いただき、ありがとうございました。
PHILIPS SHE7000WT/98の製品情報ページ
http://www.philips.co.jp/c/headphones/she7000wt_98/prd/
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