所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。実績があるシンガーが「組む」制作チームはある程度「相性」があり、どうしても固定されがちです。ただ、あまり固定化すると「マンネリ化」することもあり、時々別の風が入れられます。今まで組んだことのない制作陣のカラーが出て、すこしそれまでとは「違う」雰囲気となった作品をご紹介します。
倉木麻衣。前世紀末彗星のように顕れて、今でも活動を続けるシンガー。初期は洋楽調の楽曲で押したが、その後徐々にJ-POP色を強め、今では「洋楽テイスト」程度の味付けの楽曲に落ち着いている。
彼女の作品は、基本的に自身が作詞を行い、曲は別の人物が書く。常連の大野愛果や徳永暁人に加えて、YOKO Black. Stone(石黒洋子)あたりが主な楽曲提供者だが、時にシングルでも別のアーティストに依頼が行われる。
ちょうど「洋楽風の楽曲を歌う帰国子女イメージ」からの脱却を図っていた?時期の楽曲で、タイトル曲徳永、カップリング曲大野というゴールデンコンビ?で制作された“ダンシング”
に続く、21枚目のシングル。
当時同じレーベルに所属していたGARNET CROWの岡本仁志などの新しい制作陣との出会いで、今までとは少し違う風合いの曲になっている。
タイトル曲「P.S♡MY SUNSHINE」はその岡本の曲。特徴的なのは、打ち込みのバックに対して唯一の人によってプレイされた楽器が、岡本の担当パートであるギターということ。イントロのシャリンとしたコードワークや、歌の後ろのミュートギターが特徴的。ギタリスト作編曲の曲にありがちな、ソロバリバリ...というのではなく、間奏はストリングス音色をゴージャスに使った抑えたもの。これが圧的にはやや弱い麻衣の声喰うことなく、爽やかに聴かせる曲にしている。
スローな「tell me your way」は、ZYYGのギタリスト後藤康二の提供。これも後藤自身によるトラックメイクで、生プレイは自身で弾くギターのみ。淡々としたバックに、優しいギターのアルペジオが寄り添い、麻衣の歌を聴かせる。
タイトル曲のアレンジ違いが「P.S♡MY SUNSHINE〜DAY TRACK version〜」。これはかなり垢抜けたアレンジ。手がけたのはYUKI NAKANO。サックス奏者でもある彼は、この曲をものすごく小粋に仕上げてきた。ドライヴィンなベース(L.F.J.B)と絶妙にオブリを入れるギター(鈴木マサキ)を従えて、NAKANOのサックスがメロウかつエモーショナルに歌う。そこに麻衣のウィスパーヴォイスが絡んで、これは本当に粋。「シングル曲」としては作曲者岡本のアレンジであるタイトル曲の方が良いが、曲の完成度ではこちらの方が遙かに素材を生かし切っている。
麻衣の他の制作陣の担当楽器が、キーボードやベーシストといった、どちらかと言えば「支える」方のパートなのに比べて、もう少し「前」のポジションのギタリスト制作陣が手がけた本シングル。
それまでの麻衣の曲とは確かに「違って」、新しい風を感じる。
この後麻衣は、現在のスタイルに落ち着いていくわけだが、このシングルの制作陣との仕事は多くはなく、彼女の作品の中では少し異色な立ち位置。
でも、作編曲者のカラーが強く出た作品として、分析的に聴いても、とても面白い作品となっている。ザンネンなことにこの路線は深く追求されることはなかったけれど....
特に大人っぽい「P.S♡MY SUNSHINE〜DAY TRACK version〜」調の曲は、今ならもう少し違う表現があるのでは?と、歳を経た今、もう一度挑戦してみて欲しい曲調の作品となっています。
従来と違う制作陣の楽曲は新鮮だった。コアなファンへ受け入れられたかどうかはわからないが。
【収録曲】
1. P.S♡MY SUNSHINE
2. tell me your way
3. P.S♡MY SUNSHINE〜DAY TRACK version〜
「P.S♡MY SUNSHINE」
麻衣の曲としてはやや毛色が異なる
どちらの曲もギタリスト作曲の曲だからか、やや「倉木麻衣王道」とは異なる。それをよしとするか、否か。
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購入金額
180円
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購入日
2012年03月18日
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購入場所
Yahooオークション
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