その救われない感じと気持ち悪さをから、
敬遠している人が多いのではなかろうか?
正直言って、この作品も救われない作品ではあるが、
非常にすばらしい作品だと思う。
より、現実に近く、わかりやすい。
必ずしもわかりやすければいい、というものでもないけれど。
何か疑問や空虚さを覚えたことはないだろうか?
皆さんは、肩書きで呼ばれる社会に。
誰々さん、ではなく、某社部長の誰々さん。
仕事相手の誰々さん。何々を発明した誰々さん。
誰々のだんなの誰々さん。
そう、常に他のものから連想され、
その人のみを思い浮かべてくれない世の中。
誰にも、必要とされない。ありのままの、あなた自身としては。
仕事があり、役割があってこそ人に必要とされる。
お金の切れ目は縁の切れ目と、ある意味似た言葉もある。
お金があるかないかにかかわらず、財界人が、仕事をやめたとたん
周りの人々との関係がなくなるとはよくきくところ。
果たして、あなたが人生の次のステップに進んだときに、
なくならずに続いた関係はどれだけありますか?
中学のときの友達は高校のときの友達だった?
大学生になったときは?そして、社会人になったときは?
利害関係のない関係なんて、大人になればなるほどなくなってしまうものです。
さて、本作品は人間の価値、いや存在そのものが、職業のみにより規定された村の話。
そんな中、主人公は"手違いで"城の測量士として呼ばれてしまう。
そして、主人公には当然仕事は存在せず、彼には人間としての価値、
”存在”すら認知されなくなってしまう。
さらに、すべての営みは官僚的である。
話は多少の好転や悪化というブレを繰り返しながらも
常に同じ調子で進む。
現代社会の疎外感を浮き彫りにした作品である。
栄光あれ、就職難のわれらが祖国に
(別に共産主義者ではありません)
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購入金額
820円
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購入日
2012年08月09日
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購入場所
aoidiskさん
2012/08/09
ドイツの作家でしたっけ?
この人から、ドイツの作家の本
いくつか読み始めた記憶あります。
とはいっても、翻訳本しか読めないので、
翻訳者によってかなり、文章変わるから
何ともいえないけど、好きな作家でした。
TakOnuさん
2012/08/09
そのとおりです。ドイツの作家です。
」まぁ、わしたち一般人は翻訳本でしか読めないのは残念ですね……。
ホント,訳者によって雰囲気が変わりますよね。
その奥深さからか、知り合いには、ありとあらゆる訳者の本を集めて読み、
原文のみならず、その英訳、フランス語訳など読むという。
非常に凝ってる人もいますね。
しかし、いい作家ですよね。