このレコードのレビューをすっかり書き忘れていましたので、慌てて書いてみました。
昨年11月に発売された、シンガー井筒香奈江の全く同一内容のシングルを、レコードの素材色(黒盤とクリアー盤)のみ変えて制作して、2種類を1セットとしたEPレコードです。
純粋にレコードの色による音の違いを味わうために、同一カッティングどころか同一スタンパーで両方を制作するため、スタンパーの寿命を1,000枚分と考え、余裕を持って400セット800枚のみ制作されました。もっとも、実際には間に数枚色が交ざってしまうものが発生するため、もう少し枚数はプレスされているはずです。
このレコードは2025年11月22日~23日に浅草橋で開催された音元出版主催のイベント「ハイエンドオーディオ&アクセサリーショウ2025」で、ご本人のサイン付きで先行販売されたため、そこで購入してきました。ちなみに購入列では私の後に1人挟んでオーディオライターの炭山アキラさんが並ばれていて、「今日はこれを買うために来た」と仰るほどの勢いでした。
ちなみにサイン下の日付を井筒さんが最初間違えて書いてしまい、かなり強引に修正しています。後で「正しいのはこっち」とこのレコードのリーフレットに改めてサインを下さいましたが、まあ、正直こちらとしてはそれもネタとして美味しいので気になりません。
EP盤が2枚入っています。黒盤の方のケースには黒い丸シールが貼付されているため、区別は容易につきます。
通し番号は販売順ではなくランダムでした。私の2人後だった炭山さんは236番だったそうです。
明確に音は異なる
私の印象も後で述べますが、この盤については炭山さんの他に評論家の小原由夫さんも詳細な記事を書かれていますので、まずはそちらを紹介しておきましょう。
炭山アキラレポート「同一スタンパーで「黒盤」「透明盤」を聴き比べ。 井筒香奈江の“マニアックすぎる”新作2枚組シングル」
小原由夫レポート「レコードの“素材の違い”は音にどう出る? 井筒香奈江の「黒&クリアEPの音質を徹底チェック」
両氏とも好みの問題はあるものの、違い自体は明確にあることを書かれています。私自身もこの2枚の間には一聴して判る程度に違いはあると思っています。
簡単に表現すると、黒盤は音全体にやや肉厚感があり、ベースラインなどはより豊かな音色ではあるのですが、ヘッドフォンで聴くとそれが付帯音に聞こえてしまう部分もありました。一方のクリア盤は全体がややスッキリと寒色に感じられます。直接音は黒盤よりも鮮明ですが、やや細身に感じるという人もいるかもしれません。好みの問題でしかないのですが、私としてはアナログ感を強調するのが黒盤、オーディオ的により緻密なのがクリア盤という印象を受けました。
ここでそれぞれの盤のA面「Sing, Sing, Sing」を全く同じ条件でWAVファイル化して、それぞれの波形を取得してみました。
画像を拡大していただければ判ると思うのですが、同一スタンパーからプレスされているにもかかわらず、波形が微妙に違うのです。スタンパーが同じということは、刻まれている溝の形も同じ筈であり、考えられるとすれば色によって若干針が通った時の変形具合に差が付く位しか考えられない訳で…。まあ、約400枚分とはいえスタンパーは多少なりとも劣化しますので、それによってそもそも溝の形が僅かに異なっている可能性も排除できない訳ですが。
面白いのは色から受ける視覚的な印象と、実際に出てくる音の印象に何となく共通項が見出せるという点でしょう。
「ハイエンドオーディオ&アクセサリーショウ2025」ではサイン会の後で小原先生による聴き比べの会も開催されたのですが、好みの違いはあったものの炭山さんも大体同じような違いを感じられていたようで、私の「今までレコードの音と思っていたものはカーボンブラック(レコードを黒く着色する際に用いられる)の音だったのかもしれない」という感想に対して「間違いなくそれはあると思う」と仰っていました。間違いなく黒盤の方が日頃慣れ親しんだ「レコードの音」という傾向でしたからね。
400組限定販売ということでさすがに今から入手するのは難しいと思いますが、私が試聴会等に参加する時にはこのEPを持っていることが多いので、もしそこにいらっしゃれば聴き比べも可能でしょう。
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購入金額
5,830円
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購入日
2025年11月22日
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購入場所
ハイエンドオーディオ&アクセサリーショウ2025 音元出版ブース








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