先日eイヤホン恒例の中古シークレットセールで購入した品です。本当は以前購入したAstell&Kern A&futura SE180用のモジュールSEM4を先日入手しましたたのでそちらのレビューを書こうと思っていたのですが、今回入手したSP1000Mの方が書きやすいということでこちらを先に紹介します。
Astell&Kernが製品ラインを最上位「A&ultima」、ミドルハイ「A&futura」、スタンダードクラス「A&norma」という3つのサブブランドに分けた際に、A&ultimaの第一号製品となったのがSP1000で、私はこれよりもA&futuraの第一号SE100の方がむしろ面白いと思ってそちらを以前から使っていました。まあ、あくまでサブ機としてですが…。
SP1000は確かにそれまでのAstell&Kernの高級モデルと比べれば「音楽」は鳴るようになってきました。ただSP1000は低域方向の鳴り方が妙に作為的で、50万円の価値を感じるかといわれれば、はっきり「NO」と言い切れるものでした。最新の後継モデルSP4000はさすがにその辺りは解消していますが、いかにもデジタルの音しか知らない人の高音質という感じで、価格分の価値を感じるところまでは行っていません。
さて、そのSP1000の後に、SP1000の基本性能を小型軽量に落とし込んだという触れ込みで登場したのが、今回紹介するSP1000Mです。末尾の「M」は「Mini」から付けられたのだと思いますが、発売時の製品紹介によると「Mini」「Mobility」「Maximum Quality」など複数の意味があるとのことです。
SP1000とほぼ同等のデジタル性能を持ちながら、386g→203gと大幅に軽量化されているのが特徴となります。まあ、SP1000はボディーがステンレスまたは銅、SP1000Mはアルミという違いも大きいとは思いますが。現用のSE100がSP1000と近い外寸で重量241gですから、恐らく実質的には15%程度の軽量化なのでしょう。ここ数日鞄に常備していたSE100の代わりに持ち歩いてみましたが、38gという数値以上に軽く感じました。
外見上はスタンダードクラスのSRシリーズに近い程度の大きさではあるものの、バックパネルの処理などやはりそこそこ高価な製品であったことは感じる仕上がりです。
画面はSP1000の5インチに対して4.1インチと小型化されていますが、表示される情報量等は特に変わらず、個人的にはあまり小ささは気になりません。
ヘッドフォン出力は2.5mm4極バランスと3.5mmシングルエンドが各1系統となります。4.4mmに対応していない辺りに古さを感じますが、まだ2.5mmケーブルもそこそこ使っているので何とかなります。
microSDメモリーカードスロットはごく普通のスロットイン式で、SIMピントレイ方式であったSP1000より使い勝手は向上しています。トレイ方式の方が異物の混入等を防げるメリットはあるのでしょうけど、カードを入れ替える度にSIMピンが必要となるのは正直不便です。
最上位シリーズらしい基本性能はある
試聴はいつも通り、私のメインイヤフォンとなる64AUDIO U6t+Brise Audio ASUHAで行います。実は他のイヤフォンもいくつか組み合わせてみたのですが、いつになくイヤフォンの相性がはっきりと出てしまいましたので、あくまでメインイヤフォンでの音だけで判断することにしました。
まず、最近分解能のチェックで使う「Hope For The Runaway / Kenny Loggins」を聴いてみます。
少なくとも私のメインDAP、Cayin N6ii/R01よりは分解能は高いです。さすがに元値で言えばほぼ2倍程度の差はありますので、それに見合うだけの性能差はあるということでしょう。
ケニー・ロギンスのヴォーカルはまずまず肉声感がありますし、チェックに合格と判断できる程度には分解能も高いです。音場もそこそこ展開されて、さすがにハイエンドラインの一角であったことを感じさせます。ただどうにも納得が行かないのは高域が異様にソフトタッチであるということです。バスドラムのアタックはそこそこ鋭さがあるのに、ハイハットは叩いているというより撫でているという感覚です。ちなみにSP1000はこれよりはキレは良かったと思いますが、代わりに低域がわざとらしく私としては魅力が感じられませんでした。
続いて「Brothers In Arms / Dire Straits」を聴きます。全体像が少しミニチュア感を感じさせるものの、バランスは悪くなくマーク・ノップラーの渋さもなかなか出ています。ギターの音色が少し甘めに感じられますが、バランスは悪くありません。ただ、ドラムが入ってくるとどうしても音の妙な丸さが気になってしまいます。まあ、この曲に関してはキレよりも空間表現が重視されるので許容範囲ではありますが。
「Someday (August 29, 1968) / Chicago Transit Authority」では初期シカゴのホーンの音としてはちょっと薄っぺらいかなという感じはしますし、ドラムのタッチに当時のダニエル・セラフィンらしい軽快さがもう一つ欠けるのが気になります。ロバート・ラム、ピーター・セテラのヴォーカルは良好です。
一気に新しく「stars we chase / ミア・テイラー(cv.内田秀)」を聴くとヴォーカルや低域に関しては十分満足できる水準ですが、Aメロのドラム代わりのハンドクラップが全くダメです。Astell&Kernの製品を聴くといつも疑問に思うのですが、彼らは一体どんなソースで音決めしているのかということです。私が普段聴くソースを適当に選んで聴いただけで明確に露骨な弱点が見えてくるわけで、スタンダードクラスならまだしもハイエンドラインの製品としてはちょっと致命的な気がします。それとも敢えて不完全さを残しておいて次の世代で改善するという意思表示なのでしょうか。どうにも狙いが見えてきません。
それでも10万円台半ばであったCayin N6ii/T01やiBasso DX300辺りより基本性能が高いことは間違いなく、1グレード上の製品であることは実感できます。
実は今回購入したのはボリュームの不具合(Astell&Kernの殆どの製品で発生する持病)がある難あり品で、購入価格からすれば十分満足できる音は出ているのでそこそこ高評価は付けていますが、これを新品で普通の価格で買っていたとすればせいぜい2.5~3.0程度の評価になります。特に先日コペックジャパン(Cayinの日本正規代理店)さんに伺ってCayin N30LE/N8iii/N8ii、EvoAria EvoOne Ti / EvoOne Cuをまとめて聴いてきて、それぞれ感心させられた後だけにこの製品の仕上がりの半端さが余計に気になってしまった部分もあります。
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購入金額
34,700円
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購入日
2026年06月24日
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購入場所
eイヤホン






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