Xperia 1 VII を購入。まさかの20万円超え。携帯電話と思うと高価だけど、スマートフォンというカメラ+音楽プレーヤー+超小型端末だと思えば、まぁそれくらいの価格なのかなとも思う。
スマートフォン市場が海外勢に席巻される中で、国産メーカーとして孤高の存在感を放ち続けるのが Sony の Xperia シリーズです。日々いろんなプロダクトに触れますが、Xperia には「日本のものづくり」が確かに息づいていると感じていました。
元々 Xperia は製造を日本で行っていた唯一純正の「日本製品」で、iPhone が人気の中でも国内プロダクトメーカーに携わる身として僕は純粋に made in Japan を応援して買い続けていたのですが、今では工場も海外になり、そこまで国産というイメージも無いです。
現に Xperia 1 VII の主要製造拠点はタイ(Sony Technology Thailand)なのですが、ソニーのタイ工場は自社運営で、設計〜品質管理まで一貫体制を持つ高品質拠点。タイ工場の品質管理レベルはかなり高いです。僕もタイに長期出張で滞在していたので風土や文化に対する愛着もあるのですが。
つまり、物理的な「Made in Japan」ではなくなったのは事実ですが、ブランドの企画・設計・思想・品質基準は依然として日本(ソニー本社)にあります。
これは 日本のプロダクトとしての本質が消えたわけではない。
“Made in Japan” ではなくなっても “Designed by Japan” は揺るがない。
Xperia の細部に「日本の思想」が確かに残っていることを感じられるはずです。
この画像は純正カバーを装着した状態。
オーキッドパープルというカラーは、Xperia 1 VII の中でも最もソニーらしい色と言っていいほど、デザイン思想が凝縮された特別な色です。プロダクトデザインの本質を読み取る人にとって、この色は単なる「紫」ではなく、光と素材と造形の関係性を読み解くためのキーワードになります。
「オーキッド(蘭)」という名前が示す通り、この色は派手な紫ではなく、深みと透明感を併せ持つ紫です。光が当たると淡く明るく見え、影に入ると深い紫に沈む。光の角度で表情が変わる生きた色になっています。Xperia シリーズでは、パープルは常に“象徴色”として扱われてきました。
そして、紫は日本文化において特別な意味を持つ色です。
古来より高貴な色として知られ、雅(みやび)を象徴する色、和服や染色で多用される色でもあります。オーキッドパープルは、この日本の紫の系譜に近い色調で、やや赤みがあり、派手ではなく、品がある紫として仕上げられています。ソニーがこの色を採用したのは、単なるトレンドではなく、日本ブランドとしての美意識の継承、日本ブランドとしてのアイデンティティを紫に託していると考えられます。
この Xperia 1 VII の入った白い箱、なんか卵みたいなイメージしませんか。
箱全体を覆う無垢な白。余白、丸み、清潔。肌触り。
まるで「中身こそがすべて」と語りかけるように、プロダクトの価値を静かに引き立てる器として存在し、卵の殻が生命を守り、やがて新しい世界へと孵化させるように、この箱もまた、ユーザーの手の中で新しい体験の誕生を象徴している。
そんな風に考えるのも楽しい。
あと、 「Xperia 1 VII」は公式には「エクスペリア・マークセブン」と読みます。
パカっと開ければ本体。液晶画面を守るシールもばっちり。
内容物はマニュアルくらい。
電源を入れれば画面に操作案内が出るし、前のスマホからの引継ぎ機能も起動するしで、ほとんど任せてしまって何もしないです。
僕はソニーストアで SIM フリー版を購入したのですが、海外市場向けには XQ-FS72 という型番のグローバル版もあるようです。これは海外市場向けの SIM フリーモデルで、日本のキャリアアプリや Felica(おサイフケータイ)などが基本的に非搭載です。
SIM フリー日本版は日本市場向けに最適化された仕様で機能面でローカライズされているのですが、ハードウェアの思想は共通です。
日本在住だと気付かないのかもしれないですが、日本人向け機能の文化的価値、FeliCa・microSD・イヤホンジャックは世界的には既に廃止が進んでいます。
FeliCa は日本独自仕様なのでもちろんグローバル版には存在しないのですが、
microSD は内部ストレージ(UFS)が高速化して逆にボトルネックになるため。
イヤホンジャックはワイヤレスイヤホン普及 により、非搭載が主流になっています。
このような海外メーカーが次々と削ぎ落としていく機能を、Xperia の、しかもハイエンド機はあえて残しているのも特徴です。
ソニーは日本メーカーとして、この文化的価値を理解し尊重しているというのも、僕が Xperia を使い続ける理由ともなっています。
長期使用前提の思想としては、OSアップデート4回・セキュリティ6年という長期サポートも掲げられています。長く使ってほしいというメーカーの姿勢そのもの、急速充電よりもバッテリー寿命を優先する設計思想と合わせて、「道具として長く寄り添うスマホ」というソニーの誠実さが伝わってくるようです。
Xperia 1 VII のデザインは、直線と曲線のバランスが絶妙です。
アルマイト処理のアルミはシャープなエッジを作り、フレームは直線的でありながら、角の処理は柔らかく、フロストガラスは光を受けて微妙に表情を変える。
この線の構成は、日本の工業デザインが得意とする緊張と調和、硬と柔の対比の美学を体現しています。オーキッドパープルの色味が、その造形をさらに引き立てています。
外装がアルミフレームのとなった他、内部のベイパーチャンバー(ヒートシンク)素材が変更されているそうです。
ステンレス製 → 銅合金製への変更することで熱伝導率が大幅に向上し、放熱性能が改善されていると思われます。(銅はステンレスの約 20 倍の熱伝導率)
熱設計の思想が成熟した証拠とも言えますね。
外見で気が付くところは、フレームのところどころにある、この白いライン。
これは単なる装飾ではなくアンテナスリット(アンテナライン) です。側面に精密に配置されたもので、電波を通すために金属フレームを分割する絶縁部として機能しています。
今回、Xperia 1 VII のボディにはアルミが採用されているのですが、金属フレームは電波を遮断するため、通信アンテナ(5G / 4G / Wi-Fi / Bluetooth / GPS)を機能させるには、PBT樹脂製の絶縁スリットが必要となります。Xperia 1 VII ではこのスリットが側面に精密に配置されており、本体色に溶け込むように設計されているため、一見すると光の角度で白く浮かび上がる美しい白線のように見えます。
このラインは通信性能を確保するための構造的必然なものですが、アルミフレームとの境界が極めて精密に処理されているものですが、プロダクトデザインとして注目してみても、この機能部品が意匠としても成立している点が面白い。
他社のように目立つ切れ目ではなく、Xperia は機能を美に昇華させる思想で処理しています。
このような細部にこそ、Made in Japan の精密加工技術と、ソニーのプロダクト哲学が宿っていると感じます。
海外メーカーのように露骨な切れ目ではなく、静かに、しかし確かに存在する。
この控えめな佇まいこそ、Xperia の美学だと感じます。
Xperia 1 VII のディスプレイは、スペックだけを見ると「6.5インチ / FHD+ / 有機EL」というシンプルな構成です。しかし実際に触れると、この画面は単なるスペック表の数字では語れない“質”を持っている。
まず、約6.5インチの有機ELディスプレイ(HDR対応)は、ソニーのテレビ「BRAVIA」の映像技術をスマホ向けに最適化したものとなります。解像度は 2,340×1,080(FHD+) と控えめなのですが、画素数よりも画作りを重視するソニーらしく、色の階調や暗部の締まりが非常に自然で、過度に盛らないリアルな映像表現が特徴です。
本体下部には Type-C 端子他、nanoSIM カードのスロットがあります。
端子横の小さな穴がメインマイク(送話口)です。
本体右側には、ボリュームと指紋センサーを搭載した電源スイッチ、シャッターボタンといった物理ボタン。物理ボタンのクリック感は柔らかくて良く、操作のリズムが心地よいです。
ボリュームはカメラ時にはズームボタンとしても使用できます。
電源ボタンは押し込む物理ボタンとなっており、触ると画面の ON/OFF。押し続けると Gemini が起動します。
液晶画面のアスペクト比は 19.5:9 と従来の 21:9 から変更されているのですが、縦長の美しさはそのままに、より扱いやすい画面比率へと進化している。動画視聴、SNS、ブラウジングのどれを取っても視認性が高く、情報密度と没入感のバランスが絶妙です。
色域やピーク輝度を誇張する海外メーカーとは異なり、Xperia のディスプレイは派手さではなく、長時間見続けても疲れない自然な画作り。これこそが、ソニーが長年培ってきた映像哲学の結晶だと感じます。
端末上部は、イヤホンジャックと動画撮影時に使用するセカンドマイクの小さな穴。
画面側の上部には、フロントカメラやセカンドスピーカー(受話口)の他、近接センサー、照度センサーがあります。
前面と背面に 2つの照度センサーを搭載しており、周囲の光環境を立体的に把握して画質を最適化する仕組みを持っています。特に逆光にも強いです。これにより、屋外の強い日差しでも白飛びしにくく、暗い室内でもコントラストが潰れない。環境に合わせて自動で調整されるようで、まるで画質最適化技術を搭載した高級テレビである超小型の BRAVIA を外に持ち出しているような体験です。明るい屋外でも、暗い室内でも、このセンサーが常に環境を読み取り続けて調整しているからになります。
内蔵するバッテリーは前モデルと同じく容量は5000mAh。平均的な充電サイクルなら4年後も容量の80%が維持される長寿命のバッテリーが使われています。
バッテリーの持ちはめちゃくちゃ良く、普通に2日以上充電しないでも大丈夫です。
ソニーは“バッテリー寿命を長く保つ思想が強いメーカーです。
カメラは、従来の「Xperia=広角が強い」という構図を大きく塗り替える進化を遂げていて、特に印象的なのは、超広角レンズ。多くのスマホはメイン広角が主役なのですが、Xperia 1 VII は違う。前機種からセンサーサイズが約 2.1 倍に大型化し、「広角で世界を切り取る」かのような強化策。
画素数も約 4,800 万画素へと強化されている。これにより、これまで Xperia が苦手としていた広い景色の細部描写が一気に改善され、端まで破綻の少ないクリアな画が得られるようになりました。
望遠側でも 120mm でのテレマクロ撮影に対応し、花弁の質感や小さな被写体の立体感をスマホとは思えないレベルで描き出します。マニュアルフォーカス限定という制約はあるものの、スマホとは思えない新しい世界を覗いているかのような感覚になります。
また、ソニーが今回強く押し出しているのが AIカメラワーク と オートフレーミング という2つの新機能も特徴的です。被写体を常に中央に保ちながら滑らかに追従する「AIカメラワーク」は、AIによる構図生成で、AIが被写体を追い、構図を整え、ズームすら自動で行うことで、撮影者が構図を気にせずその瞬間を目で楽しむことを可能にしています。
さらに、引きと寄りの映像を同時に記録する「オートフレーミング」は、スマホでありながら複数カメラがあるかのような視点を生み出します。
暗所性能も着実に進化しています。LV2以下の低照度環境でのノイズ耐性とダイナミックレンジの向上を明言しており、実際に夜景や室内撮影でも階調が破綻しにくく、光の粒が自然に残ります。これは大型化した超広角センサーの恩恵だけでなく、画像処理の最適化が効いている印象です。
microSD スロットがあるのも、撮影時に保存したデータをすぐにメディアに移動させることができるというプロ用途のためでもあるかと思います。
スペック的にも不足が無く、マルチタスクが滑らかで、アプリ切り替えのストレスがない、この余裕は大きいです。
Xperia 1 VII は、細部に宿る思想を読み解くほど面白い。
スペック表では語り尽くせない“思想の塊”があります。
アンテナラインのような細部から、AIの挙動、センサー配置、デザインの線構成まで、触れれば触れるほど、ソニーが何を大切にしているかが見えてくる。「日本の矜持」がある。
色彩と造形に宿る「日本の美
デザインの線の構成──直線と曲線の緊張感。
フレームにはアルマイト処理が施され、アルミの硬質な線を保ちながら、 手に触れたときのサラリとした質感を生む。塗装ではなく素材そのものに 色を染み込ませるため、光の角度でわずかに表情が変わるのが美しい。
Xperia 1 VII のデザインは、見た目の美しさと機能性が矛盾せず、むしろ互いを高め合うように構成されています。直線的なフレームは握りやすさと耐久性を両立し、液晶ガラス画面は指紋を抑えながら光の表情を柔らかく整える。側面のアンテナラインも、電波性能を確保するための構造でありながら、造形のアクセントとして自然に溶け込んでいる。
過剰な装飾を排し、必要な要素だけを精密に配置するこのアプローチは、まさに“日本的な機能美”。使いやすさのために形があり、その形が結果として美しさを生んでいます。
長く使うための“劣化しにくい設計”
日常的なメンテナンスを必要としないように設計されています。
ガラスは指紋が目立ちにくく、フレームの塗装も傷がつきにくい処理が施されているため、ケースなしでも清潔な状態を保ちやすい。また、バッテリーは「いたわり充電」によって劣化を抑える制御が標準で働き、長期使用を前提としたスマホとして安心感がある。放熱設計も優秀で、発熱による性能低下や内部劣化を抑える“静かな保護機構”として機能しています。
価格以上に“長く使える価値”が積み上がる一台
決して安いスマホではないですが、単純な価格比較では測れない長期的なコストパフォーマンスを持っている。OSアップデート4回・セキュリティ6年という長期サポート、バッテリー劣化を抑える充電制御、放熱設計による性能維持など、買ってからの寿命が長い。
さらに買い足し不要の機能が揃っているため、周辺機器に余計な出費がかからない。結果として、初期費用は高くても総合的なコスパはむしろ優秀という印象。
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購入金額
234,300円
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購入日
2025年12月27日
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購入場所
ソニーストア












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