先日、秋葉原のPC販売店オリオスペックで開催された、SeagateとQNAPの合同イベントに参加してきました。
そこではSeagateのエンタープライズ向けHDDであるExosの技術解説が行われ、主に熱アシスト式記録方式「HAMR」の解説に時間が割かれました。このHAMRにより1プラッター当たり3TBという記録容量を達成でき、現状のロードマップではHAMRの進歩に応じて次世代では1台40TB、その次では50TBも視野に入っているという説明でした。
そしてQNAPによるNASの解説も終わった後参加者とSeagateの技術者の方との質疑応答がありました。そこで話題に出たのが、このST24000DM001です。質問者の方は「ST24000DM001はどうみてもコンシューマー向けのBarracudaの構造ではなく、Exosの選別落ち部品を利用して製品化したという噂があるがどうなのか」と尋ねたところ、Seagateの方の返答は「さすがに私の口からはっきり言うことは出来ないが…。まあ察してください」というものでした。
HAMRは磁気ヘッドがデータを記録する際に、記録先をピンポイントでレーザー照射して加熱することで、通常の磁気では書き込めない保持力を持つディスクに書き込むことで記録密度を高めるものです。レーザー照射を行うことからIEC 60825-1に基づいた「Class1 Laser」製品(CDプレイヤー等と同じ)となります。つまり現状では「Class1 Laser」表記のあるHDDは自動的にHAMR方式の製品ということになり、確かにST24000DM001にはその表記があるのです。

▲ラベル下部に「Class1 Consumer Laser Product」表記がある
厳密にはExos(ST30000NM004K)だけではなくNAS向けのIronWolf Pro(ST30000NT011)にもHAMRを採用した30TBモデルがありますが、これらはスペック等の条件で判断すると物理的にはほぼ同等と思われます。恐らく10プラッターの製品ですので全てのプラッターが完全に正常であれば上記2製品のいずれかに、1プラッター(片面)選別落ちであれば28TBクラスに、それ以上の選別落ちがST24000DM001やST20000DM001、ST16000DM001(この3モデルはいずれもHAMR方式)に回されているのではないかと予想されます。
丁度ファイルサーバー内の18TB HDDの残容量が1TBを割っているところでしたので、元がExosなら入れ替えに丁度良いと思い、ST24000DM001を買ってみることにしました。
コンシューマー向けなのにRVセンサーまで装備
元々ST24000DM001は最安値の時期であれば4万円台前半で購入できたのですが、私が購入した時点では既にHDDの値上げが始まっていたタイミングであり、4.8万円前後が最安でした。現在では5万円は完全に超えてしまっています。
外箱は通常のBarracudaのものであり、説明も通常のBarracudaと共通です。
辛うじて印刷されているバーコードでのみST24000DM001であることが確認できます。
オリオスペックのイベントではExos ST30000NM004Kを実際に手に取ることが出来ましたが、持ってみると重量や質感はそれとほぼ同じように思えます。
少なくとも8TB以下のBarracudaとは明らかに構造が違っていて、側面も厳重に封されているヘリウム充填HDDの特徴が見られます。
本来はベンチマークテスト等は実施したいところなのですが、このHDDを導入するファイルサーバーはTV録画PCを兼ねているためダウンタイムを最小限にするため、先に旧HDDから既存データを全てコピーした上でPCに内蔵します。そのためUSBの外付けケースに入れた状態でデータコピーを実施するためSATA接続での速度計測は出来ませんでした。一応USB 3.0接続で測定していますが、利用したケースがUASP非対応だったため意味のある数字は取得できませんでした。
一応内蔵後にCrystal Disk Infoで情報を取得しています。
発熱や騒音のレベルは、このPCに内蔵されているもう一台のHDD、IronWolf Pro ST20000NE000(20TB)とあまり差はありません。HAMR方式とはいえ、使い勝手はごく普通のニアラインHDDと同等と考えて良いでしょう。
ST24000DM001はデータシート上は他のBarracudaと同等の仕様となっていますが、実際に速度計測をすると ST30000NM004Kに近い値となるほか、基板を外すとRVセンサー等の実装も見られ、明らかに通常のコンシューマー向けBarracudaとは一線を画す構造となっているそうです。
なお、Seagateの方の説明で「HAMRを採用したHDDの唯一の弱点は、磁力を利用するタイプのデータ破壊機では内容を破壊することが出来ないこと。それほど保磁力が強力ということだ」と解説がありました。「どうしてもデータを確実に破壊したいのであればソフトウェアで乱数書き込みを繰り返すか、プラッターを物理的に壊すしかない」のだそうです。
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購入金額
47,980円
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購入日
2025年10月16日
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購入場所
OCNオンラインショップ








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