レビューメディア「ジグソー」

電気も氷も使わない、静かな夏の味方

 

 敷地内の芝生に雑草が生える季節のため、早朝に雑草取りをやっているのですが、暑いし広くて終わらないしで結構大変。少しでも気分を楽にするために、カインズの「クールリング」をお試しで購入してみました。

 

カインズの「クールリング」は、PCM(Phase Change Material:相変化材料)を内包し、首にかけることで身体を冷却する製品です。見た目はシンプルなC字型のネックリングですが、その本質は熱エネルギーをコントロールする設計デバイスです。

 

 

 

パッケージは可愛らしい。なんだか冷えそうな感じがします。

サイズが L と M があって結構値段が違います。最初首の大きさでサイズ違いがあると思って、自分はどっちなんだと悩んだのですが、どうやら製品の長さの違いのようです。つまり、長いと首をしっかりと全部ホールドし、短いとちょこんとかけておくようなスタイルになるイメージです。

実際には、体積の違いで長持ちする時間が変わってくるというところが違いだと思います。

 

 

 

外見は黒ですが、よく見ると幾何学模様や花のイメージが見えます。

 

 

 

裏面は真っ黒です。

素材は柔軟な樹脂(熱可塑性エラストマー)で覆われています。

 

 

 

後部にはタグがあって、間違って切らないようにという注意書きがありました。

構造(溶着部カバー)を隠すためかなと思ったのですが、硬化した際に首に嵌めようとするとこの部分に応力がかかるため、もしもの場合に内容物が飛び散らないようにするための工夫のような気がします。

 

使い方ですが、28度を基点に凍ったり溶けたりするので、凍らして使用する感じです。

零度にならずに固体化するので「凍る」は表現として正しくないとは思うのですが、イメージで製品を伝えるために以下も「凍る」という表現を使っていきます。

 

28度基点なので、井戸水やクーラーの効いた部屋の中だと凍っていきます。体温で溶けだすかんじです。外気温においても放熱せずにそんなに溶けないようなので、接触で溶けていくので結構長持ちします。

 

どれぐらい冷たさを感じるかですが、28度なので氷のようなパンチの効いた冷たさは感じないはずですが、でもひんやりと心地よい冷たさを感じます。ちょうど金属を肌に当てると冷たく感じる、あのイメージそのものだと思います。金属は凍ってないので温度は低くないのですが、それでも冷たいと感じる原理です。

 

どれぐらい涼しく感じるかは個人差があると思うのですが、クーラーの無い部屋でも首につけておくと涼を感じるので意外に快適になります。少なくとも妙な暑ぐるしさはないですね。昼寝の時とかも良いかも。低温火傷をしない安全性が良いですね。

 

水で濡らして首に巻くタイプの製品が競合製品だと思うのですが、どちらかというとそちらの方が体温は下がるのではないかという印象。さらに言えば、ハンディファンの方が理屈的に涼しくなるのだと思います。

 

この製品のメリットは、首にかっちりとホールドするので身体を動かす時でも装着できること、それと使い勝手の良いところ(準備が要らずに長持ちする)というところだと思います。

更新: 2025/07/08

冷たく感じる原理

「クールリング」の素材がPCM成分と公表されているのですが、パッケージ裏面にはノルマルパラフィン(n-オクタデカン, C₁₈H₃₈)であるということが明記されています。

 

一般的に毒性はほぼゼロ(食品添加物の間接的用途にも使われる)、金属やシリコンとも化学的に反応しにくいため、被覆素材との相性も良好な素材です。

融点が28℃で安定、これは人体の皮膚温(約33〜35℃)に対してちょうどよい温度差であり最適な融点です。潜熱が高く(200〜250 J/g)小さな体積でも冷却効果が長く持続するのもメリット。

酸化や分解が起こりにくく、長寿命というのもプロダクト的に良い設計です。

 

融解時(固体→液体)に人体の熱を奪う(冷却する)というメカニズムが正体で、冷蔵庫などで再冷却することで短時間で再利用ができます。

 

首元は、頸動脈など大きな血管が通るため熱伝達が効率的です。

皮膚表面とPCMの温度差(ΔT)が大きいほど、熱交換が活発になり冷却効果が強く感じられます。

28°C前後のPCMは、外気温が高くても「ヒヤッ」としすぎず安全で快適という、設計上の心理的配慮も含まれているかと思います。

 

装着すると融解潜熱(Lf)を外部から吸収、物質自身の温度は一定(例:28℃)のまま代わりに周囲からの熱エネルギーを奪い続ける状態になります。熱は奪っているのに、温度は上がらない。
熱が「状態変化」に使われているということです。

 

皮膚が触れるとPCMより温かいので熱が流入

しかし、PCMは融解温度の28℃に達するとそこで温度上昇が止まり、代わりに融解が始まる。

このときに「潜熱」を吸収し続ける(1gあたり200〜250J程度)。

 

結果、熱が吸収されている=皮膚から熱が奪われる= 「冷たく感じる」となる。

 

● 比熱容量(c):
物質1gの温度を1℃上げるために必要なエネルギー
→ 水で 4.2 J/g·K

 

● 潜熱(L):
物質1gが相変化するために必要なエネルギー
→ PCMは100〜250 J/gの範囲

更新: 2025/07/09
デザイン性と機能美

首にタオルを巻いてその下に装着しています

機能性を極限まで研ぎ澄ましたミニマル設計。
シンプルなC字形状が首に自然にフィットし、冷却性能を最大化しつつ、表面はマットな質感や中身の透明感で清潔感と未来感を両立。
タグも機能と視認性を兼ね、デザインに無駄がない、工業製品としての美しさが光ります。

更新: 2025/07/08
メンテナンス性

繰り返し使用(融解⇄凝固)しても化学構造が壊れにくい。

洗濯不要で水洗いだけで清潔を保てるため、メンテナンス性は非常に高いです。
内部のPCMは密閉されており、漏れや劣化が起こりにくく繰り返し使用可能。
電源も不要で、冷蔵庫で冷やすだけの手軽さも魅力です。

更新: 2025/07/08
コストパフォーマンス

コストゼロ

電力不要で繰り返し使えるため、ランニングコストがほぼゼロ。
高機能なPCM素材を使用しながら価格は手頃で、初期投資だけで夏の快適性が大幅に向上します。
長期的に見て、非常にコストパフォーマンスの高い製品です。

更新: 2025/08/31
涼感度

涼感度の調律 — 氷よりやさしく、風より涼やかに

この製品は、PCM(相変化材料)を内包した首掛け型の冷却アイテムです。冷凍庫で固めて使い始めると、ひんやりとした心地よい冷たさが首元を包み込み、想像以上の清涼感を与えてくれます。特に外出直後や蒸し暑い環境では、その一瞬の爽快感が強く印象に残ります。

 

実体としては相変化材料(PCM)としてノルマルパラフィンの一種・オクタデカンを内包した首掛け型冷却アイテム。この素材の融点は約28℃。固体から液体へと融ける過程で融解潜熱(200J/g前後)を吸収し、首元から熱を奪う仕組みです。

 

実際に使ってみると、首に巻いた瞬間は、冷たすぎず心地よいひんやりが広がり、体温をじわりと奪っていく感覚がありました。氷やジェルのように「痛いほど冷たい」わけではなく、肌と調和するようなやさしい冷却感です。

 

繰り返し使えるのはすごく便利なのですが、涼感度はそこまで持続しない感じです。ただし、冷凍庫でキンキンに冷やして使うのなら、初期の冷却度は高く、体感的に強い涼しさがあります。これは首に接触する表面温度が一時的に外気温より大きく低くなるためで、着用直後は顕著に体感できます。

 

しかし、PCMの構造的特性として「一定温度を維持する持続性」はあるものの、外気温や体温との差が大きい環境では吸熱が急速に進み、30分程度で融解が完了してしまいます。融解後は潜熱の吸収が終わるため、単なる液体となり、冷却度は一気にゼロに近づくのが難点です。

 

また、設計上の副作用として結露が避けられないことも挙げられます。PCMの表面温度が周囲の露点を下回ると、水分が凝縮し、首や衣服を濡らしてしまいます。これも「熱を奪う」ことの裏返しであり、冷却原理上必然的に発生します。

 

一方で評価すべきは、氷や金属冷却材と異なり28℃前後で相変化が安定するため、冷えすぎによる低温障害のリスクがないことです。さらに電力を必要とせず、繰り返し使えるため、省エネ設計としての合理性も高いといえます。

 

つまり、クールリングは「短時間でのリフレッシュ」に最適化されたPCM冷却アイテムです。冷却度の即効性と安全性を両立させた設計である一方、持続時間や結露といった課題を理解したうえで使うと、夏場の体感的な快適性を確実に高められるといえるでしょう。

 

冷却性能を実際の使用感で数値に置き換えると、首に巻いてから 約20〜25分ほど持続的にひんやり感が得られました。氷の保冷材のように「最初の5分で一気に-10℃以上の冷却」を感じるのではなく、常に肌温より約3〜5℃低い状態を安定してキープしている印象です。炎天下を歩いたときも「汗ばむ首元がふっと2〜3℃下がった」と体感でき、冷却というより体温上昇を抑制するような、涼しく緩やかな冷却制御というかんじで機能しているのが分かりました。

 

PCM は、潜熱を約200J/g 持ちます。仮に40gのPCMを充填した場合、吸収できる熱量は 約8,000J(=200J/g × 40g)。これは、首元(接触面積 約100cm²、皮膚温度34℃、外気温30℃想定)において、約30分前後の持続冷却に相当します。外気温が高い(35℃以上)場合は、吸熱速度が増し、15〜20分で融解完了するケースもあり得ます。他の冷却アイテムと比較したものは下記になります。

 

 

このことから、クールリングは 「氷やジェルほど強烈ではないが、安全で使いやすい冷却」 に最適化されており、持続時間よりも安全性・快適性を優先した設計といえます。

 

PCMの28度で固まるという機能設計的には、クーラーの効いた部屋に戻れば再び固まり、再使用までの待ち時間も短く、そのまま生活リズムに自然と馴染んでくれるのではないか? とも考えたのですが、そこまでうまくいかなかったです。まぁ体温の方が高いから装着したままではそうなるのですが。強く冷感を得るにはさすがに凍らせる必要があるのですが、簡単に繰り返し使えるという点で非常に便利で簡易的で、安心安全なところも素晴らしい。気軽に使える素晴らしい製品です。

  • 購入金額

    1,280円

  • 購入日

    2025年07月08日

  • 購入場所

    カインズ

17人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (0)

ZIGSOWにログインするとコメントやこのアイテムを持っているユーザー全員に質問できます。

YouTube の動画を挿入

YouTube の URL または動画の ID を入力してください

動画の ID が取得できません。ID もしくは URL を正しく入力してください。

ニコニコ動画の動画を挿入

ニコニコ動画の URL または動画の ID を入力してください

動画の ID が取得できません。ID もしくは URL を正しく入力してください。

ZIGSOWリンク挿入

検索対象とキーワードを入力してください

    外部リンクを挿入

    リンク先の URL とタイトルを入力してください

    URL を正しく入力してください。

    画像を挿入(最大サイズ20MB)

    画像を選択してください

    ファイルサイズが20MBを超えています

    別の画像を追加

    ZIGSOW にログイン

    ZIGSOW会員登録(無料)はこちらから