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繰り返し使える小型パワー:LIR2032で見る充電式コイン電池の新時代

 

コイン型電池を使用する車のキーやスマートロックのキーもエコの観点から充電池に転換を始めています。今回は、CRタイプの中で、CR2032 のものを購入しました。

 

国内メーカーではこの手のタイプの充電池は出してこないので、海外性も貴重です。
コイン型のリチウム電池は容量が少なくなり交換頻度が早くなるので、購入者の理解を得られる製品にはなりません。充電池に変換するデメリットも多いので、製造しないという経営判断も正しいようにも思います。

この製品は、コイン型リチウム電池4つと、充電ユニットのセットです。
ちなみに電池単体でも販売してくれている、超優良企業。

 

 

 

EEMBは、1995年に設立された中国のバッテリーメーカーで、リチウムイオン電池の開発、製造、販売を専門としています。主に一次電池と二次電池(充電池)の製造を行っており、取り扱い製品は高い電圧(3.6V)、高エネルギー密度、広い使用温度範囲(-55℃~85℃)、低い自己放電率(年間1%未満)、長寿命といった特徴があります。この特性から、同社の電池は医療機器、観測装置、データロガー、IoTデバイスなど、幅広い用途で利用されています。

 

現在3つの製造拠点を持ち、約1,600人の従業員が在籍しているようなので、わりと健全経営な企業なのだと思います。同社はグローバル展開を進めており、複数の国や地域に営業拠点を設けています。品質管理や製品設計においても、国際的な基準を重視している企業です。

 

EEMBの製品は、一般家庭用だけでなく産業用途にも適しており、特に信頼性が求められる場面での使用実績が豊富といえます。

 

 

 

内容物。充電器の入った白い箱、説明書、コイン型電池のパッケージ。

 

 

 

説明書は日本語で分かりやすく書いてあります。

 

 

 

いっしょに同封されていたパンフレットのようなものには、細かい寸法図やスペックが記されており、デザイナーや設計者などの企業で使用する方にも扱いやすくなっています。とくに寸法図が嬉しい。

 

 

 

コイン型充電池の方。

CR2032 ではなく LIR2032 になります。

プロダクトデザインをやらない人には知らなくて良いかもしれないですが、型番に意味があります。

 

1. 「LIR」:電池の種類

  • LIR は、リチウムイオン二次電池(充電式バッテリー)を示します。
    • 「L」はリチウム(Lithium)、
    • 「I」はイオン(Ion)、
    • 「R」は円形のバッテリー(Round)を指します。

 

2. 「2032」:サイズの規格

「2032」は、電池の直径と厚さをミリメートル単位で表したものです。

    • 「20」:直径が 2.0 mm。
    • 「32」:厚さが 3.2 mm。

それで、「LIR2032」という型番になります。

 

 

 

CR2032 は3.0V なのに対し、LIR2032 は 3.7V になります。
CR2032(一次電池)とLIR2032(二次電池)の電圧の違いは、主にそれぞれの化学特性と設計によるものです。

リチウムイオン電池(LIR2032)は、電解液や材料の設計により、高いエネルギー密度と高い出力電圧が得られる構造になっています。リチウムイオン電池は充電のためにエネルギーを蓄える必要があるため、出力電圧が高めに設定されています。この高電圧は、リチウムイオンの活性とエネルギー移動効率が向上することによるものです。

 

そのため、CR2032 を使用するデバイスに LIR2032 を使うと、過電圧により回路やデバイスが損傷する可能性があります。LIR2032を選ぶ場合は、対応デバイスであることを確認した以外は自己責任になります。

 

また、放電特性の違いがあり LIR2032 は充電池であるため、CR2032よりも放電の安定性がやや劣ることがあります。安定電圧が必要なデバイスには CR2032 のほうが適しています。

 

 

 

背面の注意書きには、「長時間保存する場合、3カ月ごとに 0.2C で充放電を行って 50~70% 容量で貯蔵してください」という文言があります。この説明も一般的ではないですね。

 

0.2Cは、バッテリー容量の20%に相当する電流で充放電するという意味です。これにより、バッテリーに優しい速度でメンテナンスを行えることを示しています。

 

「0.2C」という表現は、充電や放電の速度を示すリチウム電池や他の充電池の業界標準の単位です。この「C」はバッテリーの『定格容量(容量の基準値)』を指します。

 

「0.2C」という表記は、バッテリー容量の 20% の電流で充電または放電するという意味です。

 

例えば:

  • バッテリーの容量が1,000mAh(1Ah)の場合:
    0.2C = 0.2 × 1,000mAh = 200mA
    → 200mA の電流で充放電するという意味。

  • 容量が2,000mAh(2Ah)の場合:
    0.2C = 0.2 × 2,000mAh = 400mA

 

Cレートは、バッテリーを完全充放電するのにかかる理論的な時間とも関連しています。

  • 1C = 1時間で充放電可能(100%の電流を流す場合)。
  • 0.2C = 5時間で充放電可能(容量の20%の電流で動作するため、5倍の時間が必要)。

 

つまり、0.2Cの低速充放電というのは、高速充電や放電は不要で、保管用の定期的な操作に適している。緩やかな充放電で電池に負担をかけず、劣化を防ぐ。というメンテナンス手順になります。

 

長期間保管しているリチウムイオン電池は劣化しやすいため、定期的に低速充放電を行うことでバッテリーの健全性・性能を維持します。

 

 

 

充電器の方。少し心配になるくらいの簡素な出来。
これは低コストで良い量産体制ですね。

 

スリットの中にコイン型電池を差し込むと、中の針金が抑えて固定する仕組み。
充電中は赤いLEDが点灯、充電が終わると緑色になります。

LIR2032 の場合は、容量から1~2時間で充電が完了します。緑色はずっと点きっぱなしみたい。

 

ちなみに充電直後に電圧を測ったら、4.5V ありました。
少し放置しとくのがベストですね。

 

 

 

 この充電器、ケーブルがタイプAで使いにくい……。

 

電圧の違いから精密機械など避けた方が良いですが、買い替えることがなくなりゴミもなくなり便利ではあります。でも容量特性から電池切れが速いですが。

 

特に出力の大きい製品などに使うと容量が少ないため電池切れがはやいため、交換サイクルが速いです。結果、買い替える手間はないですが充電する手間は増えているかんじです。

 

 

 

更新: 2024/12/15

CR2032 との化学組成の違い

  • CR2032(3.0V):リチウムマンガン電池
    CR2032は、リチウム(負極)と二酸化マンガン(正極)の化学反応を利用します。この化学反応により、安定した3.0Vの電圧が生成されます。

    • 特徴:高い安定性、長期保存可能(低自己放電率)。
    • 一次電池(使い捨て)のため、再充電できません。
  • LIR2032(3.7V):リチウムイオン充電池
    LIR2032は、リチウムイオン電池の構造を持ち、負極にグラファイト、正極にリチウムコバルト酸化物などを使用しています。この化学構成により、公称電圧が3.7Vになります。

    • 特徴:高エネルギー密度で再充電可能。
    • 充電式の特性上、CR2032に比べてやや高い自己放電率。
更新: 2024/12/16
デザイン性と機能美

廃棄物削減が可能な設計

サステナブルで経済的な選択肢として設計され、頻繁に電池交換を行うデバイスに最適。

規格化されたものなので、とくに個性やナラティブなど無いですね。

デザイナーにとっても語るところなし。

更新: 2024/12/15
メンテナンス性

よく使うものに使う

長期保存用途では CR2032、頻繁な使用では LIR2032 が適しています。

 

CR2032は自己放電率が非常に低く、10年程度の保存が可能。長期保存が求められる用途ではCR2032が適しています。充電不可で使い切りですが、安定した電圧供給と長い保存寿命が特徴。

 

LIR2032はリチウムイオン電池の特性上、自己放電率が高く、長期間使用しない場合、蓄電容量が劣化しやすい(約1年で15〜30%放電)。保存する場合は40〜60%の充電状態で、涼しく乾燥した場所に保管するのが推奨されます。

 

一般的に充放電サイクル 500〜1000 回程度が可能で、頻繁に使用するデバイスであれば寿命が長いです。ただし、高温環境や過充電・過放電は寿命を縮める要因となります。

更新: 2024/12/15
コストパフォーマンス

自分が動けばコストゼロ

充電式のLIR2032は、繰り返し充電可能なため、長期的には使い捨ての CR2032 よりコストパフォーマンスが向上します。特に、頻繁に電池を交換する必要があるデバイス(IoT機器やLEDライトなど)では、電池の購入コストを削減できます。ただし、初期購入コストが高めであり、充電器が必要になる点は考慮が必要です。

 

CR2032 と比べ、LIR2032 は高い電圧(3.7V)が求められるデバイスに適していますが、電圧の互換性を確認することが重要です。頻度や用途に応じた選択がコスパの鍵です。

  • 購入金額

    2,099円

  • 購入日

    2024年11月30日

  • 購入場所

    Amazon

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