元々日本では8万円前後で売られていたヘッドフォンです。
率直に言えば値段の割に大した音ではなく、実際市場での人気も低調でした。しかしある時期を境に主に中国の販売店で日本円換算で2万円前後という安値で売られるようになると、日本でもそれを購入する人が増え、中古市場でだぶつくようになり中古相場が2万円を切るくらいまで下がっていました。
この製品は開放型の平面磁界ドライバーを得意とするHIFIMANとしては珍しく、密閉型かつダイナミックドライバーを搭載しています。私も普段愛用するのは開放型のSENNHEISER HD650/HD6XXですが、久しぶりに密閉型も買っておこうと思い、そのうち買おうと計画していました。
そんなタイミングで、中国AliExpress内のHIFIMANオフィシャルストアで一部製品のタイムセールが開催され、このHE-R9も1万円少々という所まで下がり、しかも期間限定で日本までの送料も無料となっているというのです。そうなると価格面での障害はないということで、早速購入してみることにしました。
私が注文したのは10月11日で、購入時点で到着予定日は11月4日となっていました。もっともこの日付はかなりの余裕を見たもので、実際には10月21日の朝に手元に届いていました。そこから丸一週間程度エージングを進めてある程度目処が付いてきたと思いますので、ここで紹介しておきます。
実際にはこの外に更にHIFIMANオリジナルの配送用段ボール箱が存在していました。そのため製品の外箱は十分綺麗な状態で届きました。
この帯状のシールに製品の特徴などが記載されていると同時に、これが封印シールの役割も兼ねています。
ヘッドバンド部分の上に小箱が乗っていて、ここにケーブル等の添付品が収納されています。
ケーブルは両側とも3.5mm3極のプラグで、例えばSONY MDR-Z7系などと同一形状ですが、ピンアサインは異なるようでケーブルの流用は出来ません。
1万円のヘッドフォンと考えれば上々
正直ハウジングの大きさが異様でちょっとバランスを欠いたデザインと思いますが、仕上げは良くその意味では1万円のヘッドフォンと思えない程度に高級感はあります。
取り敢えず開封から一週間以上経過しましたので、簡単に音について触れておきたいと思います。
音量は取りやすい方ですが、駆動力という意味ではDAPで鳴らすのはちょっと厳しいかも知れません。今回はクラス的なバランスを考えてFOSTEX HP-A8で聴きます。
どのような楽曲を聴いても気になるのが、装着位置のシビアさでした。僅かに位置がずれただけでも音はかなり変化します。
この製品のレビューでよく見られるのはとにかく低域過多というものですが、確かに実際に低域は多めです。その一方で中域の空間表現に関わる部分の帯域は薄く直接音が強調されます。
普通に装着した時点ではブーミーな低音とリアリティのない中域、がさつな高域と良いところが無いように感じられるのですが、低域と高域のバランスが可能な限り整うように装着位置を細かく調整してやると本領を発揮しはじめます。
「The Best Of Eva Cassidy」から「Fields Of Gold」を聴くと、装着位置が合っている状態であればEva Cassidyの声が意外なほど綺麗ですし、低域がちょっと多いかなとは思うもののギターの音色の豊かさは演出され、決して悪くはありません。
もっとも、「CWF I / Champlin Williams Friestedt」ではやはり音場がスカスカで、あまりこのアルバムの音作りを楽しめるレベルにはないようです。
ただオーディオ的な粗はかなりきちんと表現してくれるため、音源の粗探しにはなかなか向いています。試聴用機材としては安くて良いかも知れません。
少なくとも店頭で適当に装着してDAPで鳴らすという試聴の仕方ではこの製品本来の音は楽しめないでしょう。装着にこだわり余裕のあるアンプで鳴らすことで本来の実力が発揮されるはずです。どうやっても8万円クラスの価値は感じられませんが、2万円以下で密閉型ヘッドフォンを探すというのであれば悪い選択肢ではないでしょう。
恐らく中国の11月11日セールでまた安く売られることになるでしょうから、興味のある方はそのようなタイミングを狙って入手されると良いかと思います。
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購入金額
10,838円
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購入日
2024年10月21日
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購入場所
AliExpress HIFIMAN Official Store
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