レビューメディア「ジグソー」

改良が改善とは限らない

先日オリジナルモデルHisenior Mega 5Pを取り上げましたが、今回はその改良型とされるHisenior Mega 5P Ultraを取り上げます。Mega 5Pのレビューは標準添付品などについて追記がありますので、合わせてご確認いただければと思います。

 

 

 

 

 

 

 

従来のMega 5Pと比較してもより「ハーマン・ターゲットカーブ」(人間の耳がフラットに感じられるとされる周波数バランス)へと近づけたという説明ですが、個人的にはIEMメーカーがこれを言い出すとむしろ聴感上のバランスが崩れることが多いので、若干不安に思ってしまいます…。

 

ドライバー構成など基本要素はMega 5Pと同様ですが、シェルの形状が変更され、耳の小さな人でも装着出来るよう改良されたとのことです。私の場合従来のMega 5Pが正しく装着出来ませんでしたので、こちらの改良は歓迎できます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Mega 5Pはビニールレザー製と思われるケースに収納されていましたが、Mega 5P Ultraは所謂ペリカンケースに収納されてきました。これは以前私がHisenior T2 Customを購入した際のものと同じではないかと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらはイヤーピース、ケーブルという添付品は揃っていましたが、従来のMega 5Pに合わせるためにケーブルはBrise Audio ASUHA、イヤーピースはacoustune AET08を使うことにします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フェイスプレート部のデザインが少し変わっています。こちらの方が外観は少しだけ良くなったような気がします。

 

 

 

 

▲左がMega 5P Ultra
▲左がMega 5P Ultra

 

 

更新: 2024/08/21
総評

装着感は大きく向上するが音に不自然さが覗く

早速試聴してみましょう。DAPはCayin N6ii/R01、試聴ソースはMega 5Pと同様に以下の楽曲です。。

 

 

・「Someone Needed Me The Most / Chicago」(アルバム「Born For This Moment」)

・「Fields Of Gold / Sting」(アルバム「Ten Summoner's Tales」)

・「It's A Feeling / TOTO」(アルバム「TOTO IV」)

・「星座になれたら / 結束バンド」(アルバム「結束バンド」)

 

 

いずれもLPレコードから起こした24bit/88.2KHzのWAVです。

 

 

 

 

 

 

まずはMega 5Pで音場の不自然さが見えた「It's A Feeling / TOTO」を聴きます。

 

従来モデルで感じたドラムとキーボードの不自然な距離感が改善されたのは好印象です。しかしどうしても気になるのはベースのタッチが妙に強調され、ベースだけが前に出てきて存在感を放っているという印象になってしまいます。スティーブ・ポーカロのヴォーカルも少し口先で歌っている感が出てしまいます。

 

続いて「Someone Needed Me The Most / Chicago」ですが、これもやはりベースに謎の強調感が出てしまいますし、ホーンセクションの音色はより安っぽさが強くなってしまいました。一応借り出す前に100時間程度は鳴らしこまれているそうなので、エージング不足ということも無いはずなのですが…。ニール・ドネルの声もちょっと上ずっている感が出ています。

 

ところが「星座になれたら / 結束バンド」を聴くと、先ほどまで気になっていた随所に覗く謎の強調感がプラスに作用するのか、ギターの音色に鮮やかさが加わりますし、アタックが穏やかなaudio-technica AT-ART7を使ってレコードから起こしていたためドラムが少し地味になっていたのが、勢いやキレが出てきます。この曲を聴く限りは従来モデルより2ランクは上という音です。ただ、これは元のレコードの音を知っていると明らかに演出過多なのです。アニソンやJ-Rockにありがちなダイナミックレンジが狭められた音を適度に補正してくれるという意味で、この類のソースを聴く限りはとても快適に楽しめるでしょうけど、アコースティック系の楽曲や正しいバランスで録音されたソースを聴くのであれば、きちんと装着出来るという前提は必要となりますが従来モデルの方が良かったように思います。

 

当然録音の質が良い「Fields Of Gold / Sting」ではMega 5P Ultraのキャラクターが悪い方向に作用して、それぞれの楽器がそれぞれの場所から無駄に主張してきて何か落ち着きません。この曲を聴くのであれば従来モデルの方がずっと良かったでしょう。

 

 

Mega 5P Ultraは私の耳でも問題なく装着出来ていて、その意味では着実に進化しています。しかし音の方向性はなにかちょっと違った方に行ってしまったかな、という印象を持たざるを得ませんでした。尤もMega 5P→Mega 5P Ultraは一応モデルチェンジなので、選択して買うことは出来ないわけですが…。

 

評価については装着感も込みで同じレベルとしましたが、音だけの評価であれば従来モデルの方が良かったということは書き添えておきます。

  • 購入金額

    0円

  • 購入日

    2024年08月14日

  • 購入場所

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