度々その名前を目にすることは合ったものの、なかなか実際の演奏を耳にすることがなかったフラメンコギター奏者、沖仁(おき じん)。その彼の演奏を初めて生で聴く機会となったのが、今年の4月に幕張メッセで開催された「automobile council(オートモビルカウンシル)」でした。
実はこの会の当初発表されたイベントスケジュールには彼の名前はありませんでした。当初予定されていたのは「小沼ようすけ&渡辺香津美」だったのです。
しかしご存じの方もいらっしゃるでしょうが、日本屈指の名ギタリストである渡辺香津美は2024年2月27日に脳幹出血により倒れ、その時点で病状の詳細は不明であったものの医師判断により出演は不可能という告知が行われました。後にピアニストでもある妻の谷川公子によりこの前後に意識は取り戻していたことは発表されましたが、とても演奏できる状況ではなかったことは間違いありません。
そこで本番で組む予定であったギタリスト小沼ようすけが急遽代役を探した結果、前年度のこのイベントでの演奏歴もあり、自分自身と気心が知れていて演奏を合わせられる相手として沖仁に白羽の矢を立てたということで急遽出演が決定し、結果的に私が彼の演奏を聴くことが出来た訳です。
当日会場で聴いた演奏はさすがに素晴らしかったです。特に知っている曲があったわけでもなく、立ち見でしたし環境が良かったわけではないのですが、そんなことは全く気にならないままあっという間に約1時間の演奏が終わっていました。
聴き終わってから「そのうちCDでも買ってみるか」と思っていたのですが、何となく買うタイミングが見つからないままであったところに、たまたまアナログ盤の7インチシングルが新品で安価に販売されているものを見つけました。どうせ買うならアナログ盤が良いと思っていましたので、丁度良い機会なので早速購入したのが、今回取り上げる「QUINCE」となります。
葉加瀬太郎のヴァイオリンも楽しめてお得感
この「QUINCE」は、元々は2017年に沖仁のライブ会場限定で販売されていた限定盤を一般販売に回したものだそうで、各面1曲ずつ収録というごく普通の7インチEPの構成です。
収録曲はジャケット裏に記載されている通りですが、一応書き起こしておきましょう。
Side A:Tierra [ティエラ] ~大地行進曲~
Side B:Tristeza [トリステッサ] ~雨の日の君~
A面の「Tierra [ティエラ] ~大地行進曲~」ではヴァイオリンの葉加瀬太郎と共演しています。
この曲はどちらかというと葉加瀬太郎のテイストが強く、私が「automobile council」で聴いた演奏のイメージはB面収録の「Tristeza [トリステッサ] ~雨の日の君~」なのですが、この曲は生憎公式動画等が用意されていませんのでここでは紹介できませんでした。
フラメンコギターといえば私が好きなジプシー・キングスが有名ですが、聴き比べると情熱的で泥臭さのあるジプシー・キングスと比べると、沖仁のルックスにも通じるような洗練されたスマートさを感じる音色が特徴なのかなと感じました。どちらが良い悪いではなくバックボーンの違いなどが如実に表れているということでしょう。
新型コロナウイルス感染で発熱してから耳の調子が悪く、あまり音について細かく言及は出来なのですが、録音の質もなかなか良好ですしタイプの違う2曲がそれぞれ楽しめたということで、このレコードは買って正解だったかなと思います。そのうち改めてアルバムも聴いてみたいところですね。
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購入金額
495円
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購入日
2024年07月12日
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購入場所
tower.jp
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