9月13日に、SNS上のポータブルオーディオ関連のアカウントがざわつく事態がありました。
普段は2万円前後で販売されているUSBドングルDAC、Astell&Kern HC2が新品で8,400円で販売されたのです。但し、安くなったのはピンクの外装の声優大橋彩香さんのコラボモデルである「AK HC2 Ayaka Ohashi Edition」のみでした。9月13日は大橋さんの誕生日ということで、フジヤエービックが会員向けのシークレット価格として用意したものだったのです。
フジヤエービックのオンラインショップに会員ログインしない限りはこの価格が見えないという、文字通りシークレットセールだったわけですが、これをSNS上で拡散してしまう空気の読めない人がいて、結果的に注文が殺到する事態となってしまいました。
フジヤエービックとしては、まず在庫分はそのまま発送したのですが、注文数はそれを遙かに上回る結果となってしまいました。そこで一定の枠を設けて、その枠内の注文であればメーカー取り寄せで同価格の販売、枠を超えた注文は断るという形で対処したようです。
私は当初気付いた時点では在庫ありだったのですが、買うかどうか悩んでいる内に在庫が尽きてしまい、一応注文した時点でメーカー取り寄せという扱いになっていました。その後確認メールで「取り寄せ対応」と明記されていましたので、待っていればそのうち届くというタイミングで注文したようで、今日になって手元に届きました。
本来あくまで大橋さんのファン向けのアイテムなのでこのような外装なのでしょうけど、特にファンというわけでも無いただのオッサンにはこのデザインはちょっとキツいものがあります…。
中の冊子もファン向けのデザインで統一されています。
DAC本体にはUSB typeCケーブルが直出しで付いていて、Lightning端子のデバイス向けにLightning - USB C変換アダプターが付いています。デザインもきちんと統一されているのが何とも…。
内容物は説明書・保証カード・本体・Lightning - USB C変換アダプターとなります。
本体裏面には「デフォルトでボリューム最大だから、必ずデバイス側の音量調整などで適度に音量を下げてから再生を始めてね」と注意書きがあります。
スマホよりは音が良く、単体DAPには及ばない程度
早速音質を確認するわけですが、この製品も一応USB DACに該当する訳で、上流の品質によってある程度音質は変化するはずです。そこで普段ならやりませんが、本来の実力を判断するためにそこそこ質の良いDAPに接続してみましょう。今回はiBasso DX300に接続します。
ただ、DX300の仕様上USB出力時に本体で音量は制御できないため、予めAK HC2向けのユーティリティをGoogle Playから導入しておきます。
実はAK HC2はこの類の製品としては珍しく、アンプ内蔵型ではなく高品質なDACチップ、Cirrus Logic CS43198を左右独立で搭載しています。比較的安価な製品ではESS ES9218PなどのようなDAC/AMP一体型チップを使うのが一般的です。
iBasso DX300も同じCirrus Logic CS43198を、計4基搭載しています。左右2基ずつでより精度を高めていますが、D/Aコンバーターによる音質差はそれほど生じないものと思いますので、純粋にアナログ回路のグレード差がほぼそのまま出てくるものと思います。
AK HC2は出力が4.4mm5極バランス端子のみですので、Brise Audio STR7-CONV(相当品)で2.5mm4極に変換した上で、64AUDIO U4+WAGUNS. Petit NEUTRON Lilyで試聴してみましょう。
まず第一印象としては、音色の部分は案外まともだが、高域方向のヌケが悪く、音場にもやや閉塞感を感じるというものです。「Bohemian Rhapsody / Queen」などを聴いても、フレディ・マーキュリーの声は十分彼らしく聞こえるのですが、残響音が音場の下半分にしか拡がらないような、何か妙な空間表現です。最近ではiPhoneのようにそもそも有線イヤフォンを直差し出来ないスマートフォンもあるため一概には言えませんが、それでも一般的なスマートフォンで直接聴くよりはオーディオ的な質は高いと思います。
ただ、このイヤフォンをそのままDX300に直接挿すと、声の質などは案外近いのですが、音場の広さが前後も左右もまるで違いますし、先ほどまでAK HC2で感じられた音場の閉塞感もなくなります。普段私はDX300+AMP11の音はそこまで評価していないのですが、安価な機材と比べればやはり格の違いのようなものがあることを実感させられます。
AK HC2は意外と音量が取れるというメリットがあり、DX300接続時ではユーティリティで音量を「10」に上げるだけで音質評価に十分な音量が確保できます。スマートフォンのイヤフォン出力よりは明らかに強力なアンプということでしょう。
私は普段から常にDAPを持って歩いているのでこの類のドングルDACを使う機会はあまり無いのですが、スマートフォンしか持っていない人が手軽にそこそこの音で音楽を楽しむという用途であれば有用なアイテムといえるのではないでしょうか。新品4桁価格であれば十分意義は見出せます。
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購入金額
8,400円
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購入日
2023年09月22日
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購入場所
フジヤエービック
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