レビューメディア「ジグソー」

単に挿し絵の入った詩集ではなく、詩画集というジャンルの本

実は結構読書家で、特に若い頃は乱読しました。
ジャンル的にはSF~ファンタジー~ミステリなどからコミックまでイロイロ。
3桁では収まらない蔵書の中からトピックをご紹介していきます。

 

白井明大、詩人。日本国憲法の詩訳(“日本の憲法 最初の話”)や、古来から伝わる季節ごとの日本人と自然との関わりを綴った“日本の七十二候を楽しむ”などの作品があるようだ。

 

本作“いまきみがきみであることを”は、広い意味での恋愛詩を集めた作品。

ほぼフルカラーのハードカバー本
ほぼフルカラーのハードカバー本

 

句読点の打ち方や、文字の位置にまでこだわったであろう、愛についての作品が並ぶ。

※読点(、)が一列の一番最初にあったり、文中に読点ではなくスペースが挿入されていたりする

白井は読点を行先頭に持って来るなど、文字の配置も凝っている
白井は読点を行先頭に持って来るなど、文字の配置も凝っている

 

白井の詩に添えられるイラストは、イラストレーターカシワイによるもの。

 

そしてそのイラストだが、単なる詩の「挿絵」ではない。

 

実は本作“いまきみがきみであることを”は、詩集ではなく詩画集

 

詩と絵の比率が1:1で、どちらが主でどちらが従ということはない。

イラストに文字が溶け込んでいるようなページも...
イラストに文字が溶け込んでいるようなページも...

 

詩集に、それからイマジネートされたイラストを挿したわけではなく、あとがきにも触れられているが、もともと「詩画集」としての企画だったようで、おそらく詩と絵は同時進行。特に最後の詩の「愛」は、『最後の詩は、描いた絵に言葉を添えて下さった詩(カシワイのあとがきより抜粋)』ということで、一般的な「挿絵つき詩集」とは一線を画する。

最後の「愛」は、カシワイの絵に白井が詩をつけた「絵先の作品」
最後の「愛」は、カシワイの絵に白井が詩をつけた「絵先の」作品

 

カシワイ師の、余白が多く、余韻を残す絵と、白井の詩の「詩ならではの語られない(語りつくさない)」部分。お互いが上手く補い合い、あるいは想像の余地をさらに広げ、世界を創る。

 

詩と絵の高次元のコラボレーションが実感できる作品です。

 

【目次】

うまくいえない

君を想う

初恋

どんなにおさえても

天体に続く階段

叫んで

やわらかさについて

いるはずないのに

グローブと大きな白いもの

今日のきみ

夕明かり

わからない

ごめんの約束

遠い太陽、欠けない月

大事なもの

ふるえる惑星

ひとしきりの永遠

こころの都合

星に願いを

 

書肆侃侃房 詩画集“いまきみがきみであることを” 白井明大・カシワイ(試し読みあり)

更新: 2023/08/03
相乗効果

全ページ挿絵付きで詩との相補性も高い

見開きで片側ページに詩、逆側に絵というパターンや、見開き左右ページにまたがる絵の上か下に詩、見開き一杯の絵の中に詩、見開きすべてが詩の場合は次のページは見開き全体が絵と様々なパターンがあるが、全ページ相当にイラストがあり、それが詩の世界を広げ、読み手の想像力をブーストする。

  • 購入金額

    2,420円

  • 購入日

    2023年01月20日

  • 購入場所

    青山ブックセンター

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