Moondrop(水月雨)から発売されている、同社最高峰の技術を投入したといわれるハイエンドIEMです。
[ Moondrop 公式 ]
Katoには2つのノズルがありますが、私はSteelのノズルで試聴しレビューしています。
落ち着いた色と上品な反射
MoondropのIEMは造形にこだわっているものが多く、Katoもその一つです。
特殊な製法(MIM製法)で製造されており、かつ人がひとつひとつ手磨きするため、不規則な鏡面が出来上がるそうです。たしかにものすごくきれいに光が反射します。しかし指紋が付きやすく、すぐに傷がつきそうな雰囲気なので持ち歩きはためらいます。
前代未聞のTHD0.05%
イヤホンやスピーカーなど、基本的に再生機器のTHD(全高調波歪)は0.1%から1%程度です。これは振動版の硬度や空気抵抗などが絡み、出力の歪率を小さくすることが難しいからです。極めつけにはダイナミックドライバはコイルに電流を流してダイヤフラムを振動させるため、インピーダンスが周波数によって変動します。ここでも歪が発生するため、基本的にTHDは0.1%を切ることはありません。
Katoは、なんと可聴周波数帯のほとんどでTHD0.05%を達成しています。これには開発に二年かけたという、ULT(Ultra-Linear-Technology)という技術を使用した超線形ダイナミックドライバを使用し、非線形歪と線形歪を驚くほど低減させているようです。
ちなみに100万を超えるような超高級デジタルアンプですら、THDは0.1%以上はあります。音質はもちろん最高峰です。
いい意味で水月雨らしくない低音
ここでいう低域は、~100Hz、低音楽器の音域です。
Moondropといえばハーマンカーブに似たVDSFに準拠し、低域があまり強調されないイメージがありますが、Katoはほかの製品とは違いだいぶ太い低音が鳴ります。
とはいえベースゴリゴリの2DD、3DDとは程遠い量です。
質感がとてもよく、上品な低音の鳴り方です。
Moondropの真骨頂
ここでいう中域は、100~1kHz、男性ボーカルから声が低めの女性ボーカルの音域です。
中域はさすがです。VDSFが優れているというのもありますが、原音をしっかり再現するチューニングはMoondropの真骨頂といってもいいのではないでしょうか。
中域を支える繊細な音域
ここでいう中高域は、1kHz~3kHz、女性ボーカルの高音やボーカロイドの音域です。
ここの音域は、ボーカルの高音と低、中域の音の音質を決定する重要な音域です。
VDSFは3kHzがピークとなり、なだらかな山形となっています。このピークがMoondrop特有の音質を決定しており、試しにイコライザーでこの部分を落としてみると、ボーカルがものすごく曇ります。出来の悪いDDイヤホンですね。逆に持ち上げてみると、すこし横に広がりすぎるようです。ハイハットが輝きますが、スネアは質の悪い音になってしまいます。ここのチューニングは相当力が入っているように感じます。
広がらないが狭くはない
ここでいう高域は、3kHz~18kHz、金属音や打楽器の音域です。
この音域は、音楽全体の空気感や音質を決定する、これまた重要な音域です。
VDSFは9~10kHzにピークがあります。これもイコライザーで落とすと、AMラジオのような、暗い音質になってしまいます。逆に持ち上げると、ハイハットが強調されます。ここのピークは高すぎてもあまり音質には影響しないようですが、低いと暗くなってしまうようです。
Katoデフォルトでは少し暗く、もう少しピークが高くてもいい気もします。
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購入金額
26,364円
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購入日
2023年07月11日
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購入場所
Amazon
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