所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。アーティストにとってのセールス。自分の表現したいことを、ただかたくなにやり続け、それが世に受け入れられなければそれはそれ、と気にしない人もいるかと思いますが、自分の表現が伝わってこそ、という面もあり、アーティストにとってどれだけ多くの人に聴いて/観てもらえたかと言うことは重要なことです。アルバムではすでに高い評価を受けていながら、シングルヒットがそこまでではなかったアーティストの、ヒットする直前の作品をご紹介します。
スガシカオ。いまでこそ、ジャパニーズファンクのカテゴリーの中で、独特の立ち位置を築いているが、デビューあたりのフォークファンクは、セールスという点ではなかなか厳しく、特にシングルのセールスではやや物足りなかった。中期からポップスやエレクトロの比率を増して、シングルでも一定の評価を得るようになるが、最初の頃のフォーキィなファンクは、日本にはあまり馴染みがなかったせいか、一般的な支持はあまり高くなかった(古参ファンからの指示はむしろ熱狂的に根強いが)。
本作“あまい果実”は、スガの8枚目のシングル。この作品までが結構アコースティックファンクと言う感じで、初期臭が強い。
「あまい果実」は、一般的な意味でキャッチーでないのがいい、スロゥファンク。Aメロの無機質なリズムと、生ギターが目立つD7⇒C7⇒G7の3コードループが、サビに行くとパァッッとひられるのが印象的。山木秀夫のマシンとシームレスに行き来するドラムプレイと、ヘヴィなファンキィさを醸し出している中村キタローのベースによる粘っこ~いリズムが、ハスキーなスガの声を支える。そこに彼独特の詞の世界が展開する♪あまい果実みたいに/ぼくの中で/くさってしまうよ/君へのこんなにも深い/この想いはかわってしまうんだ♪
「夏祭り」。ちょっとけだるげで、ブルージィでフォーキィ。途中の森俊之のピアノソロがいい味出してる。「シングルB面」という感じのインパクトは強くない曲なんだけど、結構旋律が耳に残る不思議な曲。
この頃はまだスガシカオは「アルバムアーティスト」というのが明確で、アルバムはとっくにトップ10セールスをたたき出しているのに、まだシングルは30~50位あたりをうろうろしている時代。ただ、このシングルの後、それまでは最大でも半年、通常四半期ごとくらいに出していたリリースピッチを落とし、1年ほど間を開ける。
そのあとリリースした“SPIRIT”で、チャート20位以内が定着したので、「あたり方」を掴んだのかも知れない。ま、1年空いちゃったのは、スガが当時所属の事務所内ユニット=福耳に参加して、「星のかけらを探しに行こう Again」
のヒットを得、その活動で忙しかっただけの可能性もあるがw
いずれにせよ、初期のスガシカオスタイルの最後を飾る作品で、スロゥでアーシィなテイストが懐かしい感じの楽曲でした。
各曲の演奏時間がINGTRDIENTS(材料)のところに「%」として表記されているのが面白い
【収録曲】
1. あまい果実
2. 夏祭り
3. あまい果実(Backing Track)
「あまい果実」(↓公式動画は例によって一見リンク切れっぽいケド、観られます)
無機質なマシンリズムと、スロゥなグルーヴの対比が良い
マシン同期が得意な山木秀夫のプレイも聴き所!
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購入金額
500円
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購入日
2010年12月01日
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購入場所
yahooオークション
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