所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。ループ曲、というものがあります。特にHIP HOP系を中心に使われる手法を使って創られた曲で、2~4小節くらいのフレーズを延々と繰り返して、歌やソロ楽器を載せていく曲です。デジタル技術の進歩により、フレーズサンプリングが簡単かつ安価にできるようになって確立した作曲法ですが、バックが単純な繰り返しだけに、逆にシンガーやラッパーの力量が問われる曲調でもあります。 母音が多い日本語は、キレ良くリズムに乗せることが難しいため、日本では「主流」というほどメジャーな作曲法ではありませんが、ループ曲ながら、チャート上位まで上り詰めた作品をご紹介します。
Sugar Soul。世紀末に多く世に出たSOUL DIVAの一人(厳密に言えば、Sugar Soulは当初個人名ではなく、ヴォーカルaico、DJのDJ HASEBE、トラックメイク・コンポーズのカワベこと河辺健宏の3人からなるユニットだったので、SOUL 「DIVA」=歌姫だったのは、aicoだけなのだが、現在Sugar Soulは、他の2人の脱退により、aicoのソロプロジェクトとなっているため、間違いでもない)。
同時期に「SOUL DIVA」でくくられた、宇多田ヒカルや、DOUBLE、bird等と比べると、昏さが前に出た作風。それも、いわゆるブラックミュージックの暗さではなく、和的なテイストの昏さ。ポップさなどが前面に来なかったのが、Sugar Soulの特徴か。
ただ、本作にはフィーチャリングとして、Dragon Ashのヴォーカル/ギターのkjこと降谷建志が参加(当時の名義はkenji)。ヴォーカル入りの3曲、「Intro(bondy blue)」と「Outro」以外の曲を共作および編曲も手がけているせいか、そこまでの和的な昏さはない。
原則3コード進行のサンプリングフレーズがループされているバックトラックに、aicoのヴォーカルとと、DJ HASEBEのラップが乗っている構成の曲で、3曲とも結構キャッチー。
「Garden」は、Sugar Soulにとって最大のヒット曲。ストリングスのフレーズがサンプリングされていて、ループされている。打ち込みならではの、せわしないハイハットの刻みと、分厚いストリングスフレーズの対比が印象的。aicoの声は、わりに明るい。詞も、ラップの部分に若干昏い部分があるものの、全体を通すと色調はフラット。そこのところも一般的に浸透した理由?
「此こへ来て」も、アコースティックな感じが残るダンスソング。完全に打ち込みのループ曲で、ブーミーなベースとタイトなリズムパターン、ギターのカッティングに、ポロポロとピアノの音が乗っているというフレーズがループしている。DJ HASEBEのラップが結構ガッツリ入っている。
「Private Garden」は、「Garden」のアレンジ違い+α(音数的には、むしろ「マイナス」アルファか?)という感じの曲。歌詞は全て同じで、メロディも原則同じ。ただ和音構成が違っていて、シンプル、よりループ臭が増している感じ。ストリングスが中心で、ゴージャスな感じだった「Garden」と違って、リムショットをバックビートを入れたリズムと生ギターのアルペジオのループが前に出ている。より「抜けて」いる感じがリラックスしている感じ。
それらヴォーカル付きの3曲を挟んで、「Intro(bondy blue)」と「Outro」のインスト小品がつけられていて、CD全体が糸つの作品として、まとまっている(ちなみにこの2曲はDragon AshのDJ、BOTSの作なので、kenjiが絡んだ3曲と相性が悪いはずがない)。
短調なリズムに乗せて紡がれるビート感強めの楽曲たちは、Sugar Soul本来の?昏さが薄く、CDの構成も含めて、「入りやすい」作品です。
サムネイルではわかりづらいが、ジャケットは「押し加工」で、白一色ののっぺらぼうではない
【収録曲】
1. Intro(bondy blue)
2. Garden
3. 此こへ来て
4. Private Garden
5. Outro
「Garden」
SOUL DIVAの中では独特の立ち位置だったSugar Soulの楽曲としてはとっつきやすい
ポップでキャッチーな方向性ではなかったSugar Soulの楽曲の中では、一番親しみやすい?
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購入金額
1,400円
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購入日
1999年頃
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購入場所
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