言わずと知れたイーグルスの代表曲にして、70年代ロック史にも燦然と輝く名曲「Hotel California」。私自身"California"という地名のスペルはこの曲のタイトルで覚えたほどです。
その名曲を意外な形でカバーしたのが、フラメンコを基調としつつ、ロック・ポップスなど多様なジャンルを取り込んだ独自のクロスオーバーミュージックの第一人者として知られるジプシー・キングスでした。
ジプシー・キングスがこの曲を発売したのは1999年でしたが、実は私はそれよりも遙かに前から、このジプシー・キングスによるカバーの存在を知っていました。
1990年にレコードレーベル「Elektra Records」の設立40周年を記念して、主要な所属アーティストが、Elektraおよび姉妹レーベルの「Asylum Records」から発売された過去の名曲をカバーして、コンピレーションアルバムとして「Rubáiyát」(ルバイヤート)を発売したのですが、その時にジプシー・キングスが「Hotel California」を既に演奏していたのです。
この「Rubáiyát」がリリースされた時点では単独のシングルとしての発売はなく、1999年に改めてレコーディングした上でシングルとしてリリースしたものと予想されます。
楽曲は良いが商品としてはかなり難あり
まずは収録されている楽曲ですが、A面は2トラック共に「Hotel California」です。1曲目に「Radio Edit」と称するショートバージョン、2曲目にフルバージョンが収録されています。
B面は過去のヒット曲を少しずつ繋いだ「GIPSY KINGS HOT MIX '99」が2パターン収録されているだけですのでここでは特に触れません。
この楽曲の映像についてですが、TV出演時と思われるものと、公式に公開されている音源のものとがありますので、紹介しておきましょう。
当然原曲とは全く趣が違いますので、好き嫌いはかなり分かれる出来ではないかと思います。個人的には結構気に入っていて、だからこそ「Rubáiyát」のCDも当時わざわざ買っていた訳で…。
なお、1999年「再録の上」リリースしたと書きましたが、これはアレンジはほぼ同一なもののヴォーカルなどは明らかに別物であるためです。実は「Rubáiyát」の時には基本的にスペイン語で歌唱されているものの、サビは原曲に合わせて英語で歌われていたのですが、こちらのシングルでは全編スペイン語で歌われているのです。
音質で見ても、1999年盤の方がヴォーカルが大幅に鮮明になっていますし、フラメンコギターの音色も質感を増しています。音質の違いを考えると1990年盤のオケを使ったとも考えにくく、演奏ごと収録し直したと考えるのが自然でしょう。
収録内容に文句はありませんし、音質も予想より良く満足度は高いのですが、商品としては結構難があります。まずはこちらのジャケット裏をご覧下さい。
これ、正真正銘このレコードのジャケットなのですが、何故か「Compact Disc Digital Audio」のロゴが印刷されているのです。さすがにこのレコードがオーディオCD規格に準拠していることはあり得ないでしょう。CDのジャケットを何も考えずに転用してしまったのでしょうね。
また、普通のレコードは片面を聴き終わると、普通は最内周で溝が立てられていてそこに針がとどまるように設計されているのですが、このレコードはそこに溝がなく、紙のレーベル面まで針が滑ってきてしまうというかなり恐ろしい仕様なのです。このレコードを再生する際には、面の終わりで必ずトーンアームを上げられる場所にいないととても怖くて再生できません。
音も内容も十分に良い出来であるだけに、商品としてもう少しきちんと仕上げて欲しかったなと、ちょっと残念に思ってしまいます。
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購入金額
1,100円
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購入日
2022年09月14日
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購入場所
HMV
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