先日仕事の合間に渋谷のタワーレコード内に設けられたレコード専門フロア「タワー・バイナル」に行き、何枚かレコードを仕入れてきました。その中の1枚を取り上げたいと思います。
映画「ホワイト・ナイツ」のサウンドトラックには著名アーティストが多く参加しましたが、その中でも中心的に使われシングルカット、大ヒットを記録したのがフィル・コリンズが担当した楽曲「Separate Lives」でした。ちなみに曲を作ったのはスティーブン・ビショップで、彼自身も自分のアルバムでこの楽曲を取り上げているそうです。
当時既にジェネシスの中心として活躍し、あの一大イベント「LIVE AID」では超音速旅客機コンコルドで移動して英国会場と米国会場の双方に出演するという大物ぶりを発揮していた大スター、フィル・コリンズと、当時まだ駆け出しのソロシンガーだったマリリン・マーティンによるデュエット曲という意外性が話題を呼びましたが、マリリン・マーティンの実力に惚れ込んだフィル・コリンズが敢えてこの組み合わせを希望したとされています。
結果としてこの楽曲は米国ビルボード・チャートで総合1位を記録し、アカデミー賞の最優秀楽曲賞にもノミネートされるという大成功を収めます。ちなみに受賞は逃したのですが、この曲に代わって受賞したのはライオネル・リッチーが同じ映画「ホワイト・ナイツ」に提供した「Say You, Say Me」でした。同じサウンドトラックから最優秀楽曲賞を争う曲が出てくるという、何とも珍しい状況だったのです。
この曲自体一応持っていたのですが、タワー・バイナルで販売されていたのはこの曲の12インチシングルでした。当時の12インチシングルはやたら演奏時間を引き延ばしたリミックス盤も多くありましたが、通常盤と同じトラックを45回転かつ幅広のカッティングで提供しているという、音質面で極めて有利なものも一部にありました。この曲もリミックスという訳ではなく、音質面で有利な可能性が高いということで購入してみました。
密度が濃く間接音も豊かで12インチの意義を感じる
まずは盤面を確認してみましょう。
かなり溝が幅広に刻まれていることが見て取れると思います。
B面には「Only You Know And I Know」という楽曲がリミックス版で収録されていますが、こちらには特に触れません。やはり表題曲「Separate Lives」の方に注目です。YouTubeに公式でMVと音源がそれぞれ公開されていますので、そちらを紹介しておきましょう。
MVの方はアナログ時代ならではの現象ですが、少し回転数が速くなっているようです。音を楽しまれる際には下の音源のみの方をお聴きください。
12インチレコードについては、いつも通りの環境で試聴してみました。
以前7インチEPで聴いたときよりも音場の密度が濃く、残響音も豊かに記録されていることが一聴してわかります。特に重量盤というわけでもありませんし、高音質盤と銘打っている訳でもないのですが、音質的にも十分楽しめる水準で仕上がっていて、古き良き12インチシングルの良さをきちんと表現してくれます。
なお、この曲で一躍有名になったマリリン・マーティンは、その勢いでソロデビュー作「Marilyn Martin」を発表し、1stシングル「Night Moves」はそこそこヒットしたのですが、それ以降はヒット作を出すことが出来ず、所謂一発屋的な存在となってしまいました。
ただ、一時期流行ったJ-Popの洋楽アーティストによるカバー企画では元シカゴのジェイソン・シェフなどと共に頻繁に登場し、その中でも「遠い街のどこかで/中山美穂」や「天使のため息/竹内まりや」などのカバーは素晴らしい出来であり、その実力の高さを見せつけています。この辺りの楽曲はJ-Pop好きの方にも十分気に入っていただけると思いますので、機会があれば多くの方に聴いていただきたいところです。残念ながら公式で公開されている音源がYouTube等に見つかりませんので、興味のある方は検索してみてください。
-
購入金額
0円
-
購入日
2022年09月21日
-
購入場所
TOWER VINYL 渋谷
ZIGSOWにログインするとコメントやこのアイテムを持っているユーザー全員に質問できます。