所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。オリジナリティが高いアーティスト。アーティストはだれしもオリジナリティを大切にしますが、リスナー側からすると、「このアーティストは●●と〇〇の中間路線」とか「××を激しくした感じのよう」などと、他のアーティストを引き合いに出すことで方向性が示せてしまう場合も多々あります。そんな中、アコギを使ったファンク、という日本ではほとんど顧みられないジャンルを突き進んだアーティストの、初期シングルをご紹介します。
スガシカオ。最近は齢を重ねて?彼の中で、アコースティック⇔エレクトロの区別や、音楽ジャンルに対するこだわりがだいぶ少なくなってきたようだが、もともと結構フォーキィな部分があるアーティスト。特に「アコースティック系楽器をフィーチャリングしたブルージィな薫りがあるファンク」というのは、海外ではKeziah Jones
などほかにもいるが、日本ではほとんど見られないジャンルで、彼が第一人者かつ唯一のプレイヤーと言えるかも。
そんな彼の5thシングルが本作、“ストーリー”。
時期的にはちょうど、SMAPに「夜空ノムコウ」の詞を提供した直後あたりで、基本的に「アルバムアーティスト」で、シングルのチャートはアルバムの売れ行きに比べてあまり芳しくないスガに、それでもトップチャート100の前半(50位以内)を定着させた曲でもある(ちなみにアルバムは今まですべてチャート10位以内を獲っている)。
表題曲「ストーリー」。この曲、ファンキィなアコギのカッティングがすべて。3曲目に収められている「ストーリー(Backing track)」で聴くとよくわかるが、右chから聴こえるアコギのカッティングの音量を下げて、左chのワウギター+キーボード+リズム楽器だけにしてしまうと、凡庸なアレンジだが、アコギのカッティングが入って曲をリードするだけで、前進力がすごい。E♭m7一発のAメロをグイグイ進めていく。♪とりあえず/そーゆーふうに/笑っているのは/どうしたらいいかさえ/もうわかっていないから/ねえ/こんな適当な/生臭いキスに/どんなやさしさを感じればいいの♪-「生臭いキス」という字面がエグい。あとこの曲、F.O.でなくきちんと終わるのにアウトロが長いのが余韻を残すな。
「坂の途中」は退廃的なブルースフォーク。D♭⇒G♭7⇒E♭7⇒A♭7の循環コードで、物憂げに歌うスガ。バッキングは、アコースティックギターとストリングスが中心で、それを控えめなエレピと単調なパターンにあえて抑えたリズム隊が支える。カントリーな風合いもある小品。
このあとスガは、2ndアルバム“FAMILY”を出して、アルバムチャート上位の常連になっていくのだが、このシングルは初期の方向性を凝縮したような曲。
アコースティックファンク、というあまりほかにない世界を切り拓いていった作品です。
【収録曲】
1. ストーリー
2. 坂の途中
3. ストーリー(Backing track)
「ストーリー」(↓リンク切れているように見えますが、観られます....公式なのに扉絵が....)
アコギを使った日本語ファンクを聴きたいなら一択
歌詞を含めたこのあたりの雰囲気って、スガにしか出せないよなー...
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購入金額
290円
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購入日
2012年09月30日
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購入場所
Yahoo!オークション
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