所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。アルバムの収録曲。最近は、サブスクでのシャッフル再生、ダウンロードでの一曲買いの文化が浸透してきましたので、ある曲がどのアルバムに含まれていたか、そしてそれがアルバムの何曲目だったか、ということはあまり気にかけられなくなりましたが、以前は「アルバムを貫くカラー」や「曲順」というものは、コンセプトアルバムでなかったとしても重要なことでした。その観点では、アルバムに収められている楽曲は良いものが多い割に、アルバム全体としては印象があまり濃くない作品をご紹介します。
MISIA。20世紀末~214世紀初頭にかけて、あまた出てきた「SOUL DIVA」の中で、楽曲のビート系とバラード系の比率調整はあるものの、ほぼ唯一当時のままのスタイルの「歌姫」であり続けるシンガー。すでに2022年7月現在までに14作のオリジナルアルバムをリリースしている彼女だが、本作“ASCENSION”は、7作目のオリジナルアルバム。
前作と2年空いたからか、やや収録曲に統一感がない印象があるのはバラエティ豊かと見るべきか、ゴチャゴチャしているのが正しいか。今まで通りのソウル系J-POPとバラード、アルバム3作目くらいから比重が高まったヒップホップ、フランス語のセリフを大きく入れた実験作、オーケストラとビートソングの融合曲....と盛りだくさん。
「FUTURE FUNK」は、その数年後に流行ったジャンルとしての《Future Funk》ではなく、どちらかと言えばHIP-HOP。曲はMISIAのHIP-HOP系楽曲の多くを手掛けるSAKOSHIN。イントロから鳴るギターのカッティング風の音色も、トラッシィなバスドラム風の音もすべて打ち込みで、積極的に音声加工やサンプリングスクラッチを入れて、かなりデジタルなノリなのだが、MISIAのメインヴォーカルと、ツアーにもコーラスとしてよく参加し、この曲では歌詞も共作するTIGERのコーラスが表情豊かで、この無機質で冷たいノリの曲に色を付けている。
「LUV PARADE」は以前からのテイストが濃い、ハッピーなアゲソング。Andreas GrillとNick Malmestromによる曲で、基本洋楽テイスト。これを編曲したのはギタリストで名アレンジャーのCHOKKAKU。リズムやキーボード系は打ち込みで、バンド系の生プレイは、CHOKKAKU自身によるギターと、名手種子田健のベースのみなのだが、ブラス隊とストリングスが生で、全体としてはアメリカンでハッピーな感じに仕上がっている。
この“ASCENSION”は、翌年のMISIAのレーベル移籍で、すぐBMG JAPAN盤が再発されるのだが、cybercatの持つのは、2007年発売のRhythmedia Tribeレーベルの方の初回限定盤なので、Bonus Trackは東京ディズニーシー5周年記念曲である「Sea of Dreams」(BMG JAPAN盤はBonus Trackが違う)。ピアノががっつり入ったバンド+ストリングス主体のオーケストラをバックに、MISIAが朗々と歌う。曲先の曲で、テーマパーク音楽の第一人者で本国ディズニーランドのテーマソングなども手がけたJohn Kavanaughが書いた曲に、MISIAが実際にディズニーシーを訪れて歌詞をつけたらしい。MISIAらしい前向きな歌詞♪風を呼べ/帆を上げて/漕ぎ出せ/涙が雨に濡れる日も/幸せ探していく強さを/この胸に抱いていこう♪
ドラマーが入っているのが、「Sea of Dreams」の他は1曲しかなく、あとは打ち込みリズムのため、わりにビート硬めの縦ノリ曲が多いのだが、一方で弦楽をバックにした楽曲や、パーカッションが主体であとはシンセと生ギター中心のアーシィな曲もある。でもどの曲もMISIAの一面だし、「MISIA」らしい曲でもある。ただ前のアルバムからかなり時間が開いたために、色々な色合いの楽曲が集まった結果、アルバムとしては結構とッ散らかった感じが。特に、これ前の6thアルバム“SINGER FOR SINGER”が、完全・完璧な「コンセプトアルバム」だったのでなおのこと。
一曲一曲取り上げると、結構印象深い曲が多いのに、アルバム全体を通すと印象が薄い作品。ある意味、現在のような「アルバムは、同時期リリース曲の単なるパッケージ」というとらえ方の奔り...だったのかもしれません。
初回盤はキラキラスリーブケース入り。歌詞カードはミニ写真集。
【収録曲】
1. Color of Life
2. FUTURE FUNK
3. REMEMBER LADY
4. TYO
5. 太陽がくれたプレゼント
6. Stay in my heart
7. 月
8. SHININ’〜虹色のリズム〜
9. 砂の城
10. Angel
11. LUV PARADE
12. We are the music
13. Song for you
14. 星の銀貨
15. Sea of Dreams -Bonus Track-
「LUV PARADE」
曲は良い曲は多いのだけれど....
「アルバム」として通して聴く必要性があるかどうか....
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購入金額
3,150円
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購入日
2007年頃
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購入場所
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