たまたま特売品を見つけて購入したイヤフォンです。
台湾DUNU TOPSOUND(TopSound Electronics社の自社オーディオブランド。TopSound Electronics自身は元々OEM/ODM主体のメーカーだった)製の1DD+3BAハイブリッドドライバー採用モデルとなるDK-3001です。発売時には5万円台の価格を付けられていた、当時のDUNUのフラッグシップモデルでした。
当時のフラッグシップモデルであるだけに、イヤーピースは各サイズ4種類、ケーブルは5N OCCを採用した3.5mmシングルエンド、2.5mm4極バランスをそれぞれ添付と、なかなか豪華な構成となっています。パッケージにはハイレゾロゴが印刷されており、高域方向は40kHzまで再生可能であることを示しています。
このイヤフォンはケーブルが2本添付されていることからも判る通り、リケーブルに対応していてMMCX端子を採用しています。MMCXはあまり強度が確保できませんので、出荷時にこのような形で固定されてしまうと、端子への負荷がちょっと心配です。まあ、極力力がかからない角度を考えているのだとは思いますが。
内容物を一通り並べてみたところです。
イヤーピースは前述の通り4種類用意されています。色違いのシリコン製が2種類で、他はSpinFitとCOMPLYというサードパーティーのメジャーなところを押さえています。もっとも、SpinFitとCOMPLYでは音質傾向が異なりすぎますので、このイヤフォンが目指す方向性も判りにくくなってしまいます。
出荷時には3.5mmシングルエンドケーブルが組み合わされていますが、全く同じ構造と思われる2.5mm4極バランスケーブルも添付されていて、バランス接続時にはこちらを利用することになります。この後の試聴はバランス接続で行ったため、こちらのケーブルを利用しています。
二次元的な表現が気になる
それでは早速音質の方を評価していきましょう。試聴環境にはDAPのCayin N6ii/R01を使用します。
MMCXのケーブルはこれというリファレンスとなり得るものを所有していませんので、リケーブルは試していません。
まだ数時間しか聴いていませんので、エージングが進んでいないことを予めご了承下さい。
試聴ソースは写真にあるものを中心に、主にアナログレコードから起こしたハイレゾWAVファイルです。
まず一聴しての印象としては、音場の左右はそこそこ広いのに、前後や上下が全くといって良いほど感じられないというものでした。イヤフォンでも良く出来た製品であれば3次元的な音場が構築されるのですが、DK-3001は左右は水準をやや超える程度に拡がるものの前後がかなり狭く、上下もさほど感じられません。
レンジは高域方向は割合素直に伸びていると思うのですが、低域はやや高い帯域にピークがあり、その下がキチンとは伸びていません。そのためベースラインの厚みは結構あるのですが、沈み込みのような要素は感じられません。高域はやや硬く刺激を感じるのですが、これはエージングが進めば気にならなくなる程度ではないかと思います。中低域~中域については割合素直でピークも感じられません。
また、結構気になったのは残響音や電子的に付加されたエコーのような成分がかなり少なく感じられるということです。直接音だけが目立ってしまうため、どうしても底の浅い表現に終始している感が拭えません。
もっとも、さすがに5万円台が付けられていた製品だけあり、ヴォーカルの質は全般的に良好ですし、ピアノやギターなど主な楽器の音も変な癖のようなものはなくその楽器らしい音がきちんと出ていて、低価格帯の製品とは一線を画すクオリティは保たれています。強いて言えばスネアドラムのヌケがやや悪いかなという程度です。
ハイブリッド構成を得意とするDUNUだけあり、帯域によって音色の統一感が保たれないということもなく、ドライバーの組み合わせの巧みさは感じ取ることが出来ます。
1万円前後なら文句はないはず
率直に言って本来の価格帯である約5万円で買っていたら、私の評価はかなり辛かったと思います。
しかし、今回は新品で1万円を割り込むほどの安さでしたので、1万円前後クラスのイヤフォンをライバルとして考えてみればかなり良好な音と評して良いのではないかと感じました。
確かに最近は1万円前後でもそこそこ聴かせるイヤフォンが増えてきましたが、幅広いソースをそつなく鳴らしたり、楽器の質感まで不満無く再現できるほどの製品はさすがに滅多にありません。それこそ1万円前後のMMCX端子採用イヤフォンとしては定番中の定番であるSHURE SE215/AONIC215系と比較してどちらを選ぶかと言われれば、私なら間違いなくDK-3001を選ぶでしょう。クラスの違いは確実にある訳です。
計4ドライバーを搭載するハイブリッドイヤフォンとしてはシェルの体積が小さく、耳への収まりも良好と感じる人が多いと思われる形状ですし、このくらいの価格であれば取り敢えず入門機よりは次元の高いイヤフォンを使ってみたいという方にお薦めできるものと思います。ただ、5万円台のイヤフォンとしてみれば物足りない部分も多くありますので、その点は予め納得しておく必要はあります。
-
購入金額
9,980円
-
購入日
2022年06月26日
-
購入場所
ビックカメラ
harmankardonさん
2022/07/11
でも,DUNUは,音作りをきちんとやっていますよね.
jive9821さん
2022/07/11
二次元的な表現の中ではきちんと音が練られているのは
確かだと思います。ただ、音場を立体的に捉えるという域には
達していないのが、老舗オーディオメーカーとの差なのかなと
感じました。
今回は購入価格からすれば満足なのですが、以前買ったiBasso
IT04(こちらは約5千円購入価格が上)の方が個人的には好み
かも知れません。