所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。ヴォイスコントロール。シンガーには、自分の思ったとおりに声を操ることが求められます。音程の正確さはもちろん、強弱、ヴィブラート、ブレスの入れ方といった基本的なことから、しゃくり、抜きなどという装飾系の「味」まで。声を操ることにかけては、日本屈指のシンガーの作品をご紹介します。
久保田利伸。日本のポップス界にクロい風を吹き込んだ男。最近でこそ活動ペースが落ちているが、2010年代半ばあたりまでは、基本的にアルバムアーティストであるKUBOTAは、数年おきにアルバムをリリースし、その合間にはドラマを中心としたテレビ主題歌を、書き下ろしでシングルリリースしていた。
活動の拠点がNYにもあるKUBOTAにとっては、テレビ番組主題歌で日本での存在感を継続しつつ、本命であるアルバム制作の「間」を持たせるという感じの活動だったが、「つなぎ」のシングルもハイクオリティなのは、さすがの「KUBOTAクオリティ」。
本作“君のそばに”は、KUBOTAのアメリカ音楽界挑戦が一段落した2005年のリリース。ウラを強く感じるハネるリズムがKUBOTAらしい楽曲が、収められる。
「君のそばに」。映画「同じ月を見ている」のために書き下ろされた、ラヴソング。映画の方は窪塚洋介の主演映画であったそうだが、自分はまったく記憶がない。情報によると、心臓病を患ったヒロインと、そのヒロインを直すことを目標に医者を目指す主人公、その主人公の罪を被ることになって服役中だった男。この3人は幼なじみだった。三人の思いのすれ違いが、男の純粋さが、悲劇的なラストに繋がっていく...と言う感じのストーリーだったっぽい。KUBOTAは、このミドルテンポソウルを切々と歌うが、歌声の張るところと抜くところの強弱の付け方が絶妙。その曲を彩るのが、盟友柿崎洋一郎のシンセらしいシンセ音のオブリ。♪降り出す愛が/出会う呼吸が/想い/ほどいてゆく/生命の雨が/頬濡らすまま/ずっと/君のそばに♪愛を雨に例えた歌詞がもの悲しい。クボタのヴォイスコントロールの上手さが際立つ曲。
「Rock wit me Poh'」も表題曲と同じく、KUBOTA作詞作曲で柿崎がアレンジというミドルテンポ曲だが、マイナーな要素はなく、おとなしくてややスローな「SUNshine, MOONlight(某ソーセージのCM曲)」という感じの、ハネる微ファンキィな曲。こういうノリが日本人で出せるのは、KUBOTAだけだろうなぁ...
久しぶりに聴き直してみると、やはりヴォイスコントロールが素晴らしい。音程が正確なのはもちろん、 1小節の間でも細かいヴォイスコントロールをして、気持ちを込めている。映画主題歌という、ある意味キャッチーであることが求められる楽曲の、コマーシャル性とオリジナリティのバランスが高次元。
物理CDなら2年半以上、配信限定入れても1年以上、新作リリースが途絶えているKUBOTA。そろそろ次の作品ホシイな。
【収録曲】
1. 君のそばに
2. Rock wit me Poh'
「君のそばに」
KUBOTAワールド全開
KUBOTAのヴォイスコントロールの上手さが味わえる。特に細かい強弱の付け方が曲に表情をつける。
-
購入金額
1,020円
-
購入日
2005年頃
-
購入場所
ZIGSOWにログインするとコメントやこのアイテムを持っているユーザー全員に質問できます。