レビューメディア「ジグソー」

空の軌跡初代から17年でようやく一つの区切り

日本ファルコムから発売されているRPG「英雄伝説」シリーズは、初代「ドラゴンスレイヤー 英雄伝説」から数多くの作品がリリースされていますが、ナンバリングでいえば6作目となる「英雄伝説 空の軌跡」(2004年発売)以降にリリースされたタイトルは、いずれも「○○の軌跡」というタイトルが冠されていることから「軌跡シリーズ」と大きくまとめられていて、いずれも同一の世界観で制作され、ストーリーや設定も全て共有されています。

 

「空の軌跡」シリーズ(「空の軌跡FC」「空の軌跡SC」「空の軌跡 3rd」)までは日本ファルコム自身によりPC版がリリースされていたのですが、それ以降の「零の軌跡」「碧の軌跡」(この2作は実質的に前後編)や「閃の軌跡 I~IV」(計4部作で同一の舞台・人物を描く)はPlayStationシリーズ向けの家庭用ゲーム機専用タイトルとなってしまいました。

 

随分後になってSteam等のプラットフォーム上に限定されてはいますが、「閃の軌跡」シリーズのWindows PC対応版がリリースされはじめ、そのWindows PC版が日本語に対応したことで私もようやく一通りプレイすることが出来ました。まあ、その気になれば必要なハード(PSP、PS VITA、PS3、PS4)は全て手元に揃ってはいたのですが…。

 

「閃の軌跡」シリーズは全てここにレビューを掲載していますが、最終作となった「閃の軌跡 IV」については個人的に結構辛めの評価をしていました。4タイトルと長い時間をかけても広げた風呂敷を畳み切れていないと感じられたためです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その消化不良気味だった「閃の軌跡 IV」を補完しつつ、次シリーズとなる「黎の軌跡」のプロローグ的な要素も盛り込み、両シリーズの橋渡し的にリリースされたのが、今回取り上げている「創の軌跡」です。

 

 

 

 

▲Steamの販売ページ
▲Steamの販売ページ

 

 

 

 

「空の軌跡」シリーズの締めとなった、ファンディスク・外伝的存在の「空の軌跡 3rd」に近い位置付けではありますが、「創の軌跡」はメインストーリーなどもある程度充実していて、単独で成立しうるだけの内容となっています。

 

 

 

 

▲オープニングの背景は展開で変化する
▲オープニングの背景は展開で変化する

 

更新: 2022/02/07
総評

シリーズ初のマルチサイト展開

これまでの「閃の軌跡」シリーズでは主人公リィン・シュバルツァーの視点に基づいてストーリーが展開されていました(厳密には「閃の軌跡IV」の前半は違っている)が、「創の軌跡」では主人公が3人設定されていて、それぞれのシナリオを切り替えながらゲームを進行するというマルチサイトシステムが導入されました。

 

「零の軌跡」「碧の軌跡」の主人公ロイド・バニングス、「閃の軌跡」シリーズの主人公リィン・シュバルツァー、そして≪C≫を名乗る謎の人物がそれぞれのシナリオに対する中心人物として設定され、舞台はそれぞれのシリーズで設定されていた場所のままですが、「零の軌跡」「碧の軌跡」の舞台だったクロスベルと呼ばれる地域のウエイトが大きめとなっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▲それぞれのシナリオの中心人物
▲それぞれのシナリオの中心人物

 

 

 

 

このSteam版のリリースからも半年近くが経過していますが、一応露骨なネタバレは避けるようにして紹介することにします。

 

序盤は選べるシナリオを選んでいき、進行が行き詰まったら他のシナリオに移って進めるというのが基本線ですが、画面内でわかりやすく切り替えを指示される場合もあります。

 

 

 

 

▲「クロスストーリー」と表示され切り替えを促される
▲「クロスストーリー」と表示され切り替えを促される

 

 

 

 

▲2つのシナリオを交互に進めて解除するギミックも
▲2つのシナリオを交互に進めて解除するギミックも

 

 

 

 

なお、Windows版については、「閃の軌跡」とはPC移植を行った会社が異なっていて、その影響かどうかは判りませんが少しデフォルトのキー割り当てなどが変わっていました。日本語ローカライズの質は良く、ガイドも充実しているのですぐに把握できるとは思いますが。

 

 

 

 

▲ヘルプなども充実
▲ヘルプなども充実

 

 

 

 

メインストーリーは「閃の軌跡」シリーズのまとめ的要素が強いのですが、ゲームの進行に応じて解放されるサブシナリオで、次作以降への布石が色々と登場します。もっとも、サブシナリオの多くは、過去作に登場した人物に関するミニエピソード類ですが…。

 

 

 

 

 

 

 

また、過去作でお馴染みのゲーム内に用意されるミニゲームも充実していて、特にカードゲームの「VM」や落ちものの「ポムっと」は過去とは比較にならないくらいにやりこみ要素が充実しています。

 

 

 

 

 

 

 

▲「碧の軌跡」で初登場した「ポムっと」
▲「碧の軌跡」で初登場した「ポムっと」

 

 

 

 

ただ、「ポムっと」は最高難易度でも「ぷよぷよ」辺りの落ちものパズルゲームをある程度やり込んだ人には物足りない程度の難易度と感じました。ひどい操作ミスがなければ負けることはまずありません。「VM」については、最後の方はかなりえげつない手段を使わないと勝てない相手が出てきますが…。

 

メインストーリー内の戦闘については、基本的には「閃の軌跡IV」をベースに要素を拡張したものとなっています。難易度は程々で、気持ちよく進行することを重視したような印象でした。

 

 

 

 

 

 

 

メインストーリーについては「閃の軌跡IV」で感じられた単純作業感がかなり薄れ、ある程度じっくりプレイできる水準に戻ってきたと感じられました。サブシナリオを完全にストーリーから切り離したことが功を奏したように思えます。テキストの完成度もそこそこ良くなっています。

更新: 2022/02/07
ニューノーマル度

やりこみ要素が豊富で、時間をかけてじっくりプレイするのに向く

RPGにおいて、いわゆる「レベル上げ」はどうしても単純作業という感覚になりがちですが、「創の軌跡」では「閃の軌跡II」に登場した「夢幻回廊」を大幅に強化して導入したことで、レベル上げやアイテム稼ぎを退屈に感じられないよう進めさせることが出来ています。

 

 

 

 

▲夢幻回廊(拠点)
▲夢幻回廊(拠点)

 

 

 

 

夢幻回廊ではシナリオに関係なく好きなメンバーでパーティーを組んだり、無限回廊専用のプレイアブルキャラクターなども用意されていて、また入手できるアイテム類も豪華であるため、ここを攻略していくとかなりの時間を費やすことになります。回廊の構造を組み替えることでマップ内の入手可能品もリセットされますので、アイテムをひたすら収集して歩くのもありです。

 

2周目以降の周回プレイや、1周目でもメインシナリオがある程度進行した時点で、夢幻回廊とメインシナリオを自由に行き来できるようになりますので、例えば「○○を人数分集めてからメインシナリオに戻ろう」などというやり方をしていると、「閃の軌跡IV」以上に時間をかけてプレイすることになります。

 

ミニゲームだけでも相当なボリュームですし、夢幻回廊にじっくり取り組んでいれば休日があっという間に過ぎる程の所要時間です。外出を減らした分の時間をこのゲームに使った結果、全キャラクターのレベルが上限に達してしまいましたが、周回プレイでストーリーに集中して進めるにはそれくらいのセーブデータを作っておけば無駄な作業を感じさせられることも無いでしょう。

 

本作のようにやりこみ要素が豊富でストーリーもある程度楽しめるゲームは、外出自粛の重要なパートナーとなります。

  • 購入金額

    7,678円

  • 購入日

    2021年08月26日

  • 購入場所

    Steam

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