NECのファイルサーバーです。
2016年モデル、NF8100-231Yという型番だったみたいです。
ヤフオクで落札して、送料入れて1万5千円強でした。
ヨドバシカメラなどで売っている企業向けNASと同じで、Windowsベースのようです。
細かく見ていくと違いがありますけどね。
購入品のスペックと、安かった理由
今回入手したPCのスペックは以下の通り
- メーカー:NEC
- 製品名:iStorage NS100Tg NF8100Y-231Y
- CPU:Intel Xeon E3-1220 V5
※Skylakeコア、4c4t、3GHz。i5-6500が近い - RAM:DDR4-2133 レジスタード 32GB (8GB×4枚)
- HDD:なし
- RAIDカード:あり
- HDDベイ:2.5インチ×6 (標準4+追加2)、おそらくSASコネクタ
※OS側の制限により、HDDは6台が上限 - HDDトレイ:なし
- 端子:USB3.0x6 (前2後4)、GbEx3 (通信2管理1)、シリアルx1、アナログRGBx1
- 冷却:CPUファン1、電源ファン1、CPU排気ファン1
- 電源:250W、冗長化なし
- OS:Windows Storage Server 2012R2 Workgroup
※2023年10月10日で延長保守終了。インストールメディアを用意すればまだ使えます - 備考:正面パネルがカギでロックされており、開錠不可
安い理由がすぐわかりました。
フロントパネルがロックされてます。しかも鍵が欠品。
廃棄前にHDDを抜き取って、そのまま閉めてしまったのかと。
鍵ですが、八万ロックという種類みたいです。
筒状で外見はシンプルですが、内部に4つピンがあるので解除が難しそう。
仮にピンを押すだけだとしても、工具の入る隙間がないため同形状のキーが必要です。
業者が面倒くさいと思ったのでしょうか、清掃すらせずに出品されたようです。
先の写真でもUSBコネクタにホコリが詰まってます。
足元におかれてたのか、全体的に黒っぽい粉と綿のホコリが多いです。
分解
鍵がないため、強引に外すことにしました。
作業に夢中で、写真を撮り忘れました(汗
バラしてわかりましたが、全体的に非常に合理的に作られています。
- フレーム全体がリベット止め。分解はしづらいですが堅牢です
- PC98時代を彷彿させる硬質なスチールフレーム。
- カギがロックしてたのは0番~3番までのベイのみ
- 4番5番の増設ベイはフタの裏に格納式のベロがついており、0番~3番のドアがつっかえ棒としてロックする構造
- 振動の多いHDDケージは樹脂製のブッシュでフローティングしてる
- フロントパネルさえ外せば、前側のコンポーネントはすべてアクセス可能な構造
- 2.5インチHDD部分はトレイ式。おそらく同時期のサーバー用と共通部品
- RAIDカード用のバッテリーは電源スイッチの真後ろ。
- 全体的に交換頻度の高い部品はアクセスしやすく、そうでない部品はアクセスしづらい。
※CMOS電池やジャンパーは見やすい位置についてました。 - マザーボードやHDDベイのサブ基板はすべてギガバイト製。
- オンボードSATAコネクタは光学ドライブのみ。
- HDD用コネクタはminiSASコネクタ。SFF-8643というタイプ。
※HPのMicroserverが同一のコネクタを使ってたと思います。 - CPU前のファンがCPUファン。6cmぐらい
- ケースファンが排気ダクトに斜めに固定されている。
※冷却系が貧弱ですが、ファイルサーバーという商品特性上フル稼働がない前提かも
現時点での不具合
2021/9/23時点の不具合は以下の通り
- 清掃されておらず、非常に汚い。
- ホコリが詰まってて使えないUSB端子がある
- フロントパネルの鍵がかかっててHDDベイが確認できない → 鍵を撤去した。
- POST時に1-3-3-1のビープ音。BIOS出ない → メモリエラー。刺し直して解決
※memtest86で1時間半かかって100%到達。問題なし。 - 電源投入後のPOST動作が非常に長くて遅い → サーバー機なのでやむなし
- Ventoy(ISOファイルをUSBメモリからブートするツール)を認識しない → memtest86をCD-Rから起動して対処
- memtest86(4.3.7)がデフォルトだとハングする → 起動時に1CPUだけ使うモードにすることで起動
※memtest86+(5.31b)もデフォルトの1CPUモードでないと同じエラーでハング - ネットワーク未接続のためか、リモート管理ツールを一度も確認できてない
2021/9/25に見つかった不具合は以下の通り
- マザーボードにSATAコネクタが1個しかない。光学ドライブ専用
- マザーボードのHDD用コネクタがSFF-8644というSAS用になってる。変換ケーブルが必要
- 3.5インチHDDを取り付けるには専用のフレームが必要
2021/12/12時点の不具合は以下の通り
- SAS HDD搭載時の騒音がでかい
- 電源投入時に1本ずつスピンアップするため、OS起動前のPOST処理が長い
どうやってOSを動かす?
バラしてわかったのが、自作PCや端末用PCと必要なケーブルや部品が異なるということ。
さて、どうやってOS用ディスクをつなぐか?
- 純正のトレイとSAS HDDを調達して、RAIDカードからブートする
- 純正トレイだけ調達してSATA HDDを接続。RAIDカード経由でブート?
- miniSASコネクタからSATAへの変換ケーブルを調達して、SATAディスクを接続
- PCI-Expressバスに変換カードをつけてNVMeのSSDを接続する
- 光学ドライブを撤去して、SATAケーブルを転用してSSDを接続する
とりあえず、手持ちの部品でなんとかなりそうな「4番」を選びました。
刺せば動く……わけがなく。
BIOSセットアップに入り、拡張スロットのオプションROMを有効にする、という作業をしないと認識すらしませんでした。
これで30分ぐらい悪戦苦闘しました。
本体にフラッシュメモリが実装されており、そこからブートすることもできますがOSインストールがリカバリぐらいしかできないので今回は使いませんでした。
OSを入れる
この機種、USBメモリからブートが上手くいきません。
セキュリティ対策を重視して、BIOSレベルでオフにしてるのかも。
光学ドライブからはブートできるので、Windows10の古いバージョンを入れました。
書いてる間に入れ終わったんですが、バージョン10.0(ビルド10240)でした。
……いちばん古いWindows10のインストーラーじゃんこれ(汗
USB3.0のUSBメモリを差すと認識エラーが出るので、USB2.0のハブを通して接続しました。
フロントパネルのUSBコネクタを使ったんですがホコリが詰まってたのを適当に吹き飛ばしただけなので端子がサビてるかも。
※21H1まで更新すると普通に認識したので、ドライバが古かった疑惑もあります。
まだオフラインでセットアップしてるのでデバイスが全然認識されてません。
この後21H1のISOファイルでアップグレードをしてみます。
アップグレード自体は普通に終わりました。
ただし、ビデオドライバがどうしてもあたりません。
デバイスマネージャにもいくつか不明なデバイスがあります。
足りないドライバの入手方法
ビデオドライバ、チップセットドライバがどうしても足りない状態です。
その1:ビデオドライバ
これを見つけるのに、だいぶ苦労しました。
NS100Tgの後継モデル、NS100Ti用ドライバが使えます。
Windows Server 2016用ドライバですが、Windows10でも問題ありません。
- https://www.support.nec.co.jp/View.aspx?id=9010106126
- EXPRESSSCOPEエンジン3搭載装置用 グラフィックスアクセラレータドライバ(4.03.01.004)アップデートモジュール(Windows Server 2016)
その2:チップセットドライバ
どれだけアップデートしてもデバイスマネージャから?が消えません。
これは簡単でした。Intelのチップセット用INFファイルを入れるだけです。
- https://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/download/19347/chipset-inf-utility.html
- チップセット INF ユーティリティー
ここまでして、やっとデバイスドライバが一通り入りました。
BMCがキーボード、マウスなどを裏で接続してるため、OS的にはキーボードとマウスが2系統ずつつながってると認識しています。
ビデオカードも認識されてますが、表示はボヤボヤ、動作は超もっさりです。
本来はサーバー管理用でSXGAぐらいまでのモニタをつなぐし、画質も「写ればいい」レベルなのでWindows10の豪華なGUIは荷が重いようです。
適当なハブをつないでBMC(EXPRESSCORE3)にログインしてみましたが、どうやらリモートマネージメント用の拡張ライセンスは入ってないようです。
何度か設定変更の為にリセットしてたので、もしかしたら消し飛ばしちゃったかも。
ビデオカードを追加すれば多少マシになりますが、起動が遅いのでデスクトップ用途にはつらいかも。
HDDトレイを探す
部品番号リストを見つけました。
http://club.express.nec.co.jp/NaviSearch/modellist.asp?id=1661
これによると、N8150-489という型番が純正HDDであることがわかります。
HDDのスペックもSATAの7.2k(rpm)、ホットプラグ対応なのでNL-SATAですかね?
また、同じ部品を搭載した機種のリストもわかりました。
リスト内の機種についた部品なら転用できます。
さらにN8150-489をGoogleで画像検索すると、黒い樹脂カバー、オレンジ色のボタンがついたトレイだということまでわかりました。(白色+緑色のものもありますが違う型番用です)
あとは画像を頼りにヤフオクで探せば見つけられそうです。
NEC HDD トレイとかがキーワードですね。
……思ったより高い。
トレイ1個で安くて1500円、下手すると数千円します。
iStorage M100というラックマウントのガチ業務用ストレージとかでも同型のトレイなので、
最悪は筐体ごと仕入れてトレイだけ……本末転倒すぎますね。
※トレイとHDDを入手出来ても、不要部分の廃棄が大変なので後で困ります。
HDD6本、フル実装
2021/12にヤフオクでHDDとトレイを買いました。
出品数が多いサーバー向けのSAS HDD、300GB15krpmが2本と300GB10krpmが4本です。
フル実装した様子がこちら。
動作させると「HDDのモーター音がやたらうるさい」という欠点に気づきました。
元の製品がNL-SATAの7.2krpmだったのも、容量のほかに騒音問題があったからかも。
アクセスしているときにゴリゴリという音がしますが、短時間なのであまり気になりません。
もう1つ欠点があって、起動時間がさらに長くなりました。
見てると、HDDを1個ずつ始動するようです。
RAIDカードがそういう制御をしてるんじゃないかと思います。
回転数が高くて消費電力の大きなHDDを6本も載せてますし、致し方ないかなと。
RAIDを組む、Proxmoxを入れる
15krpmの2本でRAID1、10krpmの4本でRAID5を組みました。
設定はRAIDカードのBIOS……ではなく、本体のUEFIから行います。
※富士通のTX1310 M3でも同じ。UEFI化でRAIDカードのメニューがUEFIに取り込まれてる?
OSとしてProxmox VE 7.1を入れました。
vmwareやhyper-vと同じようなものだと考えてもらえばOKです。
本番環境向けの運用だとサブスクリプションへの加入が必須なのですが、開発用や検証用などは設定変更をすることで無償かつ無保証で利用することができます。
※手順として公式ドキュメントに記載があるので、開発元も認めている使い方です。
IPアドレス設定後はヘッドレスで動かしています。
以降の作業はWebブラウザから行います。
iPadのFirefoxからでも操作できるので、VPNなどを構成すれば出先からでも操作可能です。
2021/12/12時点では、Ubuntu20.04とWindows10を入れて動作確認しました。
※Windowsはライセンスがないので試した後は停止させました。
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購入金額
15,000円
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購入日
2021年09月23日
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購入場所
ヤフオク
mickeyさん
2021/09/23
鍵がロックされているのは厄介ですね(^^;
jakeさん
2021/09/23
そういえばHPEのも鍵つきがあったような。
幸いことに、ロックはフロントパネルだけのようです。
サイドパネルはツールレスで脱着できました。
かもみーるさん
2021/09/23
鍵がスチールシャーシと一体化してたら破壊が厳しいですが、プラ樹脂の方ならなんとかなるかもですね。
memtest86、バージョンが古すぎてCPUが対応して無いとかだった気がします。
新バージョンにしたら画面変貌してて戸惑った覚えがあります。
jakeさん
2021/09/23
オンボードSATAがあと2口ぐらいあるはずですが、コネクタ付近にRAID関連のケーブルが押し込まれてるので後日ですね。
memtest86+も試しましたが、こちらも1CPUモードじゃないと動きませんでした。
Passmarkのmemtest86だとUSBメモリが必要なようで、今回は使ってません。
かもみーるさん
2021/09/25
そのままファイルサーバーとして使用するなら純正トレイの入手して、OSはNVMeのSSD、管理ファイルなどはRAIDストレージですかね。
そういえばRAIDカードにも拡張ライセンスとかあるんですかね?
富士通だとそんなのがあったような気もします。
jakeさん
2021/09/25
少なくとも説明書に記載がありません。
Intel VROCだとライセンスの入ったモジュールが必要でしたね
富士通のオプションだとフラッシュバックアップユニットかもしれません。
停電時にデータを保護するためのフラッシュメモリ、バックアップ用キャパシタなどです。
他社でもRAIDカードのバッテリーがオプションで用意されてるかも。
jakeさん
2021/09/25
USB2.0規格のUSBメモリならPOST時に出てきてます。
ブート用に使ってるUSBメモリを変えればうまくいくのかも。