レビューメディア「ジグソー」

探していた逸品!からの…

※本レビューは2022年半ばに書いてる途中だったものを、2024年にひと段落ついたので、消すのももったいないくらいの気持ちで公開したものです。

 

 既にUSB-C充電器は4ポート100Wが同価格で買える時代ですので、古い情報かと思います。

 軽い気持ちでお読みください。

更新: 2024/01/09

[前置き]わがままなACアダプタ不満

 1年ほど前に「コスパのいいモバイルマルチ充電器」として、

Rytaki 78W出力 3ポート USB C & USB-A 急速充電器(PD 3.0対応 60W 2ポート USB-C 急速充電器)【QC 3.0対応18W USB-A 急速充電器 PSE認証済 折畳式プラグ】ACアダプター (Zigsow)

 を紹介しました。[以降Rytakiと呼称]

 購入当初「いやーマルチで充電可能なACアダプタは便利だなー」と意気揚々として利用していたのですが、転機が訪れたのは12月、

MISEDI 15.6インチ モバイルモニター (Zigsow)

 を購入したこと。

 

 これまでは (USB-)C1にノートPC、C2とAでスマホやヘッドホンを充電し、特に不満無く使っていました。

 ところがこのモバイルモニターとの組み合わせ、C1にノートPC、C2にモバイルモニターを繋ぐと、どういうわけかモニターが充電できない。モニターの充電を並行したい時に、これでは困ります。

 

 何故だろう。

 そこで私は仮説としてモニターに付属していたACアダプタが45Wに着目、モニターの充電や稼働にはそれなりに電力を使うものと想定しました。

 ノートPC(dynabook V72)の最大消費電力は45W。RytakiのC1とC2はシェアで60Wなので、15Wでは充電できない。

 ならば、もっと出力の高いACアダプタにすれば解決できるっ

 この時の私はこう考え、新しい充電器を探すことにしました。

(この時点では、USBのテスター(電圧電流計)をもっていませんでした)

 

 購入に際しての条件は、①78W以上

 ②折角なので前回買わなかったGaN搭載にしよう

 ③複数充電の際に、他の充電が遅くなっても1ポートだけは安定した電力供給を確保できるポートのあるモデルにしよう

 

 こうして一ヶ月ほど、あれでもないこれでもないと探していたところ、ふっと今回の製品を見つけました。

 

おお、キミは! Amazonでサクラレビュー云々と言われて一度は姿を消したAUKEYじゃないか!

 とまぁ、少しだけ煽りましたが、昨今の中華製充電器やモバイルバッテリーを見るに、あまり名前の知られていないメーカーのものを買うのはリスクを追う可能性があります。
 その辺を考慮し、一定の知名度があるメーカー製として今回はこの「AUKEY Omnia Mix3 PA-B6S 90W 3ポート (GaN搭載)」を購入しました。

更新: 2024/01/09
機器構成

小さな割に、意外とずっしり

では、各構成を見ていきましょう。

○大きさとポート形状

 

写真1:下から(USB-)C1・C2・A
写真2:Rytakiとの比較

※左が本製品 64mm x 62mm x 33mm (190g)

※右がRytaki 78mm x 78mm x 31mm (178g)

 これまで重さを気にしていませんでしたが、どうもGaN搭載機は小型化はできても、軽量化は図れない模様ですね。電力容量の分か、複数充電の機構の分か。

 何にせよ、小型でずっしりとした子がやってきました。とはいえ筆者はちょっと昔の人間なせいか、変に軽いよりは安心感が持てるため、ほぼ気にしておりません。

 


 

 

○ポート数と充電能力

USB-C 1/2出力(ポート単体の場合): 3.3-11V/5A(PPS);5V 3A / 9V 3A / 12V 3A /15V 3A /20V 4.5A (最大90W)
USB-A出力(ポート単体の場合): 4.5V 5A / 5V 4.5A / 9V 3A /12V 3A /20V 3A
合計出力: USB-C 1+USB-A : 60W+30W(最大90W)
USB-C 2+USB-A : 12W+12W(最大24W)
USB-C 1+USB-C 2 : 60W+30W(最大90W)
USB-C 1+USB-C 2 +USB-A: 60W+12W+12W(最大84W)
最大出力(合計): 90W (以上、AUKEY公式ストアより抜粋)

 これまでは共用60WだったC1が、どんな組み合わせでも単ポート60Wを維持。C1+C2(A)での利用であれば60W+30Wとなり、計90Wが利用可能。
 これなら、ノートPC+モニターの共用運用も可能でしょう!

 



○PSE取得 + 24ヶ月保証
 写真を撮り忘れましたが、この機種も前回同様、PSEマーク付で24ヶ月保証でした。

 

 

更新: 2024/01/09
総評

2ポートモデルとしては非常に優秀!

 タイトルや一部文章で不穏な空気を流していますが、詳細は次項にて。

 そのため話の流れや表現等が前後し、少し変則的な総評となります。

 

 あまりいないと思いますが、ノートPCを2台持ち歩く人の場合は本モデルでも能力不足になる可能性があります。そんな人はACアダプタを2つ持ち歩きましょう(強引)。

 一般的な組み合わせとしてノートPC1台とモバイルアクセサリ、もしくはスマホ等の組み合わせに持ち歩くなら、非常に優秀な機種です。

 

①1ポート出力最大90W

 45Wは勿論、60W~65W、87Wと、大体のノートPCで利用可能です。

 また、USB-Cの規格の一つとしてデイジーチェーン(パススルー)機能があり、例えばDellの14インチモバイルモニターでは、65Wのパススルーをしながらモニター本体の電力も取ります。1ポートでなるべく多く出力できるモデルが、これからのトレンドでしょうね。

②2ポート同時利用時に60Wを保証できる。

 だったら、100Wの充電器でいいじゃない? これが2ポート同時利用の時に違ってきます。

 100W 2ポートのモデルの仕様を見て下さい。大体の場合「2ポート利用時はそれぞれ最大45Wを出力します」とあります。ここが意外と重要で、理由は後述しますが、45Wより60W対応の方が有利な場合が多いのです

③4ポートモデルより小型です。

 100Wモデルでも4ポートなら、モデルによっては「60W+45W」が出るって書いてあります!

 ありますね。しかし4ポートモデルは大きくなりますし、ちょっと重くなります。

 なるべく小型、は万人の望むものでしょう?

 

 どうでしょうか。なかなかポイントを押さえたモデルと思いませんか?

 もしこれにビビッと来た人は、検討する一品に加えてみてください。

 

 


 

 

…なお、3ポート使う場合にはお勧めしません。理由は散々引っ張りました、次項にて。

 

更新: 2024/01/09

[長編]USB PDの仕様と大格闘!買う必要が無かったorz

 さて、本項では長文にお付き合いいただくことになります。

 何故か…。それは、この製品のレビューを書く下準備から始まりました。

 

 本レビューを書くにあたり、どうしても確認したかったこと。

 それは「モバイルモニターが実際にどの程度電力を使うか?」でした。

 調べると分かるのですが、今売られているモバイルモニターのほとんど(主に中国製)には「消費電力」や「USB何Vの何A以上必要」という記載が(少なくともホームページ上には)ありません。

 今使っているモニターの消費電力を調べるには…測定する機器が必要です。

 

 そこで今回、レビューを書くために「ルートアール 双方向・メタル筐体・多機能表示 USB Type-C電圧・電流チェッカー (ケーブル付きモデル) 」[RT-TC5VABK]を購入。

 PCWatch等のレビュー記事にも度々見られる機器のため、他機器より少々高めでしたが用意した次第です。(約3000円)

 

 さぁ、どの程度電力使ってるのかな…!

 

 …あれ? 9Vで1.35A…12W程度? だったらノートPCで45W取っても、合わせて57Wだから行けるはず…。

 そこで次は、RytakiにノートPCとモニターを繋ぎ、モニター側の電力を測定。

 

 …5V、0A…通電していない。…何故ぇ? 

 

※ここからは、色々な組み合わせで得た結果を基にした仮説での解説になります。間違っている可能性もあるため、参考程度に収めてください。

 

 ここまで様々な検証を進めるうち、ある資料にたどり着きました。

 USB PDの技術 〜安全と利便性を実現する技術〜  (ルネサス エレクトロニクス株式会社)

 あの有名なルセサスの公開資料に、USB PDの記事を見つけました。初めにある、USB PDのパワールールの表、これが原因究明の鍵となります。

 

USB PDパワー(消費電力)に応じて、電圧が定まっている

 

 つまりこれは、機器の方で定めた消費電力に応じて割り振られる電圧が変わるということです。今回の事例で、この現象を見ていきましょう。

 

 ノートPCの消費電力は最大45W。このPCに付属の純正ACアダプタをチェックします。

dynabook ACアダプタ PAACA047 [USB Type-C 5V:3A/9V:3A/15V:3A/20V:2.25A]

 そして充電80%程度でアイドル状態での動作時に、チェッカーにて20V稼働を確認。

 

 つまりこのPCは、最大消費電力45Wが発生するのを見越し、常に20VをACアダプタに要求していたのです。そして先の表にて、20Vは45~60W消費の際に利用されます。

 するとどうなるか。

 Rytakiは共用60Wのうち、20VをノートPC提供しているため45W分の枠を持って行かれます。

 残りは15Wですが、実質は15W以下です。するとPDは15W越は出せないと判断し、5Vしか選択肢を与えてくれなくなるのです

 そしてもう一つの罠、実は手持ちのモバイルモニター、最低動作電圧が9Vだったのです

 ノートPCを刺した時点で5Vしか供給しなくなった口では、もうモニターを充電できなくなる。例え合計容量が60Wを越えていなくても。

 という事象が発生したのです。なんてこったい!

 


 

 

 そして、Rytakiの充電口、よーく見てください。

・USB-C x2 (最大60Wで共用)

・USB-A x1 (QC3.0対応、最大18W)

 

 …あ、ひょっとしてAポートでモニター刺せばいけるんじゃね!?

 

 いけましたorz 買う必要なかったなんてこったい!

 


 

 

 最後に、AUKEYを3ポートでお勧めしない理由です。AUKEYの公式ストア、6枚目をご覧ください。

 大きな機器から小さな機器まで、この写真を見ると「3台同時充電もできるんだなー」と見受けられますが、ここに3台同時充電とは、一言も書いてありません

 もしこれを3台同時充電に書き直すと、こうなります。


 スマホやタブレットは比較的柔軟に電圧に対応できるため、充電状態にはなるでしょう。しかし急速充電とは程遠い数値となります。


 これらの事象を検証し、改めてUSB PDは、利用者の機器を安全に充電できるよう設計されていると感心し、それ故に柔軟な充電の組み合わせには知識が必要なのだなーと痛感しました。

 これらの検証が、皆さんの参考になりますれば、幸いです。ありがとうございました。

 

 

 

  • 購入金額

    5,249円

  • 購入日

    2021年09月07日

  • 購入場所

    Yahooショッピング

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