格安中華イヤホン/リケーブルで有名なKZのマルチBAイヤホンAS16です.
このAS16は,8BA/Chを搭載しながら,$100程度で売られており,日本でも発売時でも1.4万円程度で入手できました(その後値下がりし,今では8000円前後).
8BA/ChのマルチBAが,この価格で入手できるのは破格であり,いくら格安イヤホンのKZとはいえ,画期的です.
ケーブルは,マイクあり/なしの2種類が発売されていますが,入手したのはマイク無しのタイプ.QDCタイプのカスタム2ピン仕様コネクタと,3.5mmステレオミニプラグです.
格安中華イヤホンは,コスパはいいけど結局聞かなくなるので,もう買うのは止めようと思っているのですが,8BA/Chが1万円ちょっとと聞くと試してみたくなりました.8BA/Chというのは,Angieと一緒です.それが,一桁安く値段で買えてしまうのです.半額とかのレベルではなく,一桁違います.9割引きです.
正確にはAngieを9割引きで売っているわけではないので,トリックですが.
流石に片耳8BAも入っていると,それなりの大きさのハウジングが必要になり,一般的なユニバーサルIEM形状になります.ハウジングは樹脂で,フェースプレートが金属という構成.クリアブルーのハウジングなので,中のBAが透けて見えます.
コネクタはQDCタイプの2ピンで,極性もQDCと同じです.コネクタの信頼性としては,このQDCタイプの2ピンが一番高いと思います(JH Audioの4ピンみたいな特殊形状を除くと).
今回は,はじめからWagnus.のDiamond Dust “type aeniguma”で聴きます(2.5mm→3.5mm変換しています).リケーブルして音の印象が変わると面倒なので,リケーブルの準備できる最大値です.
AS16自体は,100時間以上のエージングを,エージング専用基板で行いました.
それでは聴いてみます.DAPはZishan DSD(OPA2604交換)の3.5mmアンバランス出力.
イヤーチップは,FinalのE-typeです.
本当に多ドラの特徴である音場の広さとクリアさを感じます.解像度もあり,低域から高域までほぼフラット.低域に比べ高域のほうがやや強めで,超低域は弱いです.多分ハイレゾ対応させるべく,高域にピークを持たせた感じです.8BA/Chのオーソドックスな音で,多ドラBAイヤホンの入門機としてはとてもいいと思います.1万円で買えるなら,スペックに関係なく,コスパはいいです.
が,しかし,スペックがいいだけでは音楽が楽しめないところにイヤホン沼があります.同じ構成のAngieⅡの音が得られるかといえば,全く違い,音の傾向は似ていますが,全く別の音色です.どちらかを選べと言われれば,フィッティングの問題を除けば,ほぼ全員がAngieⅡを選択すると思います.
また,音楽を聴くということに関しては,シングルBAのQDC Neptuneに軍配が上がります.8BA対1BAですが,音場の広がりと解像度以外,音楽性はNeptuneの勝ちです.8BAの良さが発揮されたAS16ですが,音楽を聴くという意味ではメジャーメーカーのチューニングには勝てません.それだけ,AS16は印象が薄い普通の音菜なのかもしれません.
結局,2-3万円の価値(“type aeniguma”で聴いて)はありそうですが,スペック通りの音質は得られていません.コスパは非常に高いイヤホンであることは間違いありませんが,メインで使うようなイヤホンでもありません.非常にコスパとスペックの良く欠点のない格安中華イヤホンの一つです.
それから,価格相応というか,少しチープさが滲み出ています.もう少し高級感があるだけでも違った印象になると思います.
補足として,このAS16は多ドライヤホンだけあって,スマホレベルだと活かしきれません.それなりのDAPやHPAが必要です.スマホ直挿して,こんなものかと思われるとAS16が可愛そうです.
この価格で買える多ドライヤホンの入門機としては,オススメ出来ますが,過度な期待は禁物です.
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購入金額
7,899円
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購入日
2021年08月24日
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購入場所
がじおさん
2021/08/31
すっかりイヤホンから遠ざかっていますが、またちょっと興味が出てきました・・・。(^^;;
harmankardonさん
2021/08/31
この片耳BA8個に釣られて買ってしまいました.